
これは東京・目黒のミシュラン一つ星イタリアン「ラッセ」のオーナーシェフ・村山太一氏が、2017年からサイゼリヤ五反田西口店でアルバイトして学んだことを本にしたものだ。
すでに自分の店を持っているシェフが、三ツ星で修行するのならまだ話は分かるが、サイゼリヤは子供から大人まで気軽に行ける大衆イタリアンだ。そこで学んだこととは味ではなく、効率化を図るためのシステムだった。
人時生産性(従業員1人の時間当たりの生産性)は、3.7倍に上がり、劇的に経営が改善できたのだ。
その結果の数字がこちら。
・スタッフ1人当たりの年間売り上げ850万円→1850万円(約2.2倍)
・経常利益率8%アップ
・労働時間16時間(8時~24時半、休憩30分)→9時間半(10時半~22時、休憩2時間)→約4割減
・従業員数9人→4人(効率化で少人数で店を回せるようになった)
サイゼリヤで効率化を学んだ結果、売り上げは2.2倍に上がったのに、労働時間は4割減である。しかも、半分の従業員で達成するのだから、経常利益も上がる。生産性が上がった賜物である。
コロナ禍では数多くの飲食店が苦境に立たされ、名店でさえも廃業せざるを得ない状況の中で、黒字を達成した期間があり、飲食業界の奇跡とも言われた。
それは村山シェフの「よりよい方向に変化し続ける」という原理原則を忠実に守ってきた結果でもある。
つまり、パチンコ業界も生き残るためには、「よりよい方向に変化し続ける」を実行しなければならない、ということ。
では、村山シェフがサイゼリヤで学んだことを具体的に見て行きたい。
まず、アルバイト初日、驚いたのがオーダーシステムだった。iPod touch端末を使って注文をその場で打ち込むこと。データは同時にPOSレジに飛ぶ。会計時は伝票のバーコードを読み込み、おカネを入れれば自動的にお釣りが出てくる。伝票を見ながらレジに打ち込む作業はすでにショートカットされている。経験の浅いバイトでもレジは担当できる。
次にキッチン周り。レストランなのにサイゼリヤには包丁がないことにビックリする。材料はすべて下処理された状態で店に送られて来るので、包丁でカットする必要がない。キッチンでやるのはパスタを茹で、グリルで温め、サラダはカット野菜を盛り付けるだけ。
下処理をショートカットしているので、少ない人数でキッチンが回せるだけでなく、調理が簡単なのでアルバイトでも短期間でキッチンに立てる。
そして、何よりも感銘を受けたのはサイゼリヤには上下関係がないこと。高校生のバイトからシニアまで様々な年齢層の人が和気あいあいと働いていることだった。
店長は新米バイトにも仕事を丁寧に教えてくれる。師弟関係が厳しい料理の世界にあって、料理は盗むもので、教えるものではない。先輩は常に上から目線で下に対して威張り散らす世界の人間には、衝撃的だった。
実際働いてみて「なんだ! この楽しさは」と感じた。この職場が楽しいということも重要であることに気づいた。
以上が大まかな内容だが、サイゼリヤは安くて美味しいから繁盛する。安くて美味しいものを提供するには徹底的に抑えるべきコストは抑えている。
一方のパチンコホールの現状は高くて不味いものを提供し続けてきているわけだから、客離れが進むのは当たり前の話。こんな話は耳にタコができるぐらいで、聞き飽きているだろう。でも、業界は「よりよい方向に変化し続ける」ようには動こうとしない。
釘調整を禁止されてから釘の技術がどんどん劣化しているのなら、その辺りの見直しも必要だろう。
営業方法然り、お客さんは営業が辛くて付いていけないと分かっていながら、低価交換で他店が成功するまでは動かない。
残っているユーザーが等価・高価交換志向なら、客層をガラガラポンすることも必要。そのための機械も必要。
新規則機に完全移行する来年は「よりよい方向に変化し続ける」元年になってもらいたいものだ。

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パチンコ屋は読み返せと言いたいな。パチンコ日報は、良質エントリの宝庫だな。匿名店長に問う。コスト管理シリーズを読まれても軽蔑するのか?お前のせいで元店長は去った。損失でと思う。
ピンバック: ジョンウン
結局、何も変えられない今のパチンコ業界は、ホールは今後も老人たちの社交場というか保養施設的な立ち位置で良いということだろう。若者はいりません!!と宣言しているようなものだ。
ピンバック: 換金禁止
ピンバック: ベン
今の中年や若者は女の腐ったようなナヨナヨした覇気のない者が多すぎる。
記事の村山太一氏本人や、彼のような人間を是非、部下に加えたいものである。
ピンバック: 牛丼通行人
ピンバック: 名無し
土下座して頭を床に擦り付けて無給で教えを乞わないと。
給料を渡して牛丼を雇うとか何の罰ゲーム?
ピンバック: G印通行人
コストダウンに成功するか否かは、牛丼さんのような経営者側の英断がまずは第一ですよ。つまり、利益は半分になっても、従業員の給料は下げない。だから、半年間、思いっきりコストダウンと常連客への還元をやってみろと、それが経営者としての判断でしょ。違いますか?牛丼さんの私財、つまり、貯蓄、家、そして土地を手放してまでコストダウンに取り組めますか?
きっと無理でしょう。それが答えですよ。
ピンバック: 換金禁止
企業の経営層のやるべき事は、安定して経常利益を上げるシステムを構築することです。
滅私奉公の精神で私財を投じる事は美談なのかもしれませんが、私に言わせれば私財を投じる必要があると言うこと自体、そのシステムが破綻している証拠だとおもいます。
そして企業経営はギャンブルの様な投資は極力避けるべきだと思います。
経営層が「半年間、顧客への還元を行ってみろ!」と指示を出すのなら、当然ある程度の根拠を持ってやるべきです。
「きっとお客が増えるだろう」などの甘い見通しで行い、たまたまうまく行けは英断、たまたまそうならないと愚挙という様では、その企業は長続きしないでしょう。
古代中国の兵法書である孫子の言葉です「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む。」
今の若い人には分かりにくい表現かもしれませんが、平易な表現に直すと
「勝者とは勝つための算段をしてから、はじめて戦いを求める者である。
敗者とは戦いを行ってから、はじめて勝ちを求めるものである。」という内容です。
ピンバック: 牛丼通行人
タメ口と和気あいあいは紙一重。
第三者からは良く見えても実際は長期間入らないと見えてこない事もあると思います。
ただこのケースに関しては結果が出ている以上、実際に素晴らしい関係を作れているんだろうなとは思います。
ピンバック: カニミソ
ま、ホールなんて1台毎に差玉、差枚数がどれだけ店のプラスになっているかだけ。1台毎に1日単位は勿論、1週間、1ヶ月、1年間どれだけ差玉、差枚数が店のプラスになっているかだけ。どの期間に於いても、1台たりとも客のプラスにさせる気がない調整だしな。だから、毎日全台設定1、渋釘で暴利を貪るわけやな。粗利益=店の収入だからな。売り上げや稼働が減っても粗利益が前年同月比、前月比よりも上回っていれば店長が評価されるのだから。
ま、その1台の生涯稼働において客のプラスになっているかだけ。根本的に客が金儲けが出来るのか、だけである。
ピンバック: 匿名希望
同じ事しか書けないなら猿と一緒
そら猿客で猿経営者、廃れるわない
ピンバック: 毎度毎度感心する
私が小さい頃はファミレス等のリーズナブルな外食店はまだ存在しておらず、外食は非常に贅沢な時代でしたね。
洋食屋でステーキなど頼もう物なら安くても3000円以上、今の感覚だと1万円位かな?
家の近くにサイゼリヤ2号店が出来た時は家の親なんか驚愕していましたよ。
本当にしょっちゅう連れて行ってもらいましたねw
今と違って店の内装も洒落ていて高級感も有り30000円のワイン何かも置いて有りましたね。
当時確か焼き肉ハンバーグが690円で、他所の店のハンバーグの相場が1200~1500円位でしたかね?
高級感の有る店なのに価格相場で云うと半額以下みたいな感じでしたね。
これって多分パチンコ商売も同じだと思いますよ。
店どうしでガチガチやり合って居た頃は、いかにして玉粗利を下げつつ店を維持していくかしか考えて居ませんでしたもの。
月1台あたり12万、日4000円位の設定でアウトが上がってくれれば、その分玉粗利を更に下げるみたいな感じですね。
勝ち残る店と落伍して行く店の玉粗金額は多分倍以上違っていたハズですね。
パチンコ店も必要な機種なら台数は多少無理してもキチンと「出玉の抜き差しが出来る台数」を購入して長く運用。
バラ購入で良い様な機種は絶対に買わない位の感覚に切り替えた方が良いと思いますね。
ピンバック: もと役員