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業界も注目し始めたキャッシュレス化

パチンコ業界のキャッシュレス化をテーマにしたエントリーは2018年10月30日の「パチンコも2%のポイント還元?」を皮切りに、2019年6月18日「パチンコ業界にもQRコード決済の波は来るのか?」、2019年7月22日、「キャッシュレス化の波に取り残されるな!」、2019年10月15日、「キャッシュレス化で換金にギフトカードを使う発想」、2019年11月26日、「ネットバンク+貯玉の一元管理=キャッシュレス」の5本だった。

2月16日に開催された第2回MIRAI経営勉強会で「キャッシュレス社会への移行とパチンコホール業への影響」をテーマに一般社団法人キャッシュレス推進協議会の福田好郎事務局長の講演があった。

この中で、キャッシュレス化が進んだ各国の事情が面白い。

例えば人口1000万人のスウェーデンは、日本の人口の12分の1しかないのに、銀行強盗の発生件数は、2009年を比較するとスウェーデンが70件台、日本が80件台で拮抗するほど。人口比からしても強盗事件が多発していた。バスの運賃箱を狙う強盗犯もいるほどで、運転手からも現金をなくす声が挙がっていた。強盗対策の一環がキャッシュレス化でもあった。

キャッシュレス普及率98%以上の韓国は、1997年に通貨危機に直面した経験から事業者の適正な申告に向け、消費者の現金取引をクレジットカードへ誘導するために、1999年、所得税においては、クレジットカードの利用に応じた控除を導入した時代背景がある。年商240万円以上の店舗はクレジットカードの導入が義務化されている。クレジットの取引記録はオンラインで国税庁と結ばれている。さらに2015年には硬貨発行コストを削減するためにコインレス社会の実現を開始した。

偽物天国の中国は、昨年5月にも4億2200万元(65億円分)の偽札が押収されている。加えて最高額で100元(1600円)のため、10万円分の買い物をするだけでも63枚のお札が必要と言う不便さがあった。

各国で事情は違うにせよ、強盗犯罪防止、脱税防止、偽札防止などからキャッシュレス化が促進されていったわけだが、日本が出遅れたのはそれだけ、安心、安全な国だったから?

で、2017年、経産省が旗振り役となってキャッシュレス化を推し進めるようになり、2025年までにキャッシュレス40%を目標に掲げている。

日本でもキャッシュレス化が迫られるようになった背景には2060年の日本の人口は9284万人、と推計されていることにある。働き手の中心年齢の20~64歳の人口比は1995年の62.7%から47.7%まで減少する。働き手が不足する分をキャッシュレスというテクノロジーを使って補って行こう、ということだ。

現金を扱うことで一般的な店舗でもレジ締め作業や、夜間金庫に持っていく作業が伴うが、これがすべてコストになる。銀行がATMを維持するにもコストがかかる。現金を扱うことにより、年間1兆6000億円もの現金コストがかかっている。

消費税が10%に上がった時、キャッシュレス決済では5%を還元した。これが日本ではキャッシュレスの裾野が広がるきっかけとなり、QRコード決済のように1000円以下の少額多頻度使いの機会が増えている。

交通系のICカードは今や必需品で、路線図を見て、切符を買う手間がなくなった。IC専用の改札機は切符を通す機構がないので、製造コストも大幅に安くなる。

身の回りではキャッシュレス化が進みつつあるが、ホールでのキャッシュレスはどのような場面が想定されるのか?

キャッシュレスになれば、新紙幣が登場するたびに、台間玉貸し機の識別機を取り換えるコストが発生していたが、それがなくなることが挙げられる。

福田事務局長が注視するのは依存症対策だ。

「入場制限などはデジタルの方が制御しやすい。本人確認で年齢制限も可能になるほか、利用回数の制限、利用金額の上限もキャッシュレスの方が掛けやすくなる」とした上で、「依存症対策をがっちりすると経営的な問題も出てくる。正しいキャッシュレスを理解する必要がある」と〆た。

ホールでキャッシュレス化が進めば、現金を狙った強盗犯罪の抑止にはつながる。

しかし、本来はキャッシュレスによってホールでのサービス向上が図られるようなことに使うべきだろう。それが第一部で登場したデジタルデータでの賞品提供ということになる。

風営法では玉の保管表を発行してはならない。しかし、貯玉カードが認められているのは、カードに玉数が記載されていないためである。カードはコンピュータの鍵を開けるためのもので、玉数はコンピュータの中にある。この原理を使えばQRコードが付いた賞品の提供を模索することも必要になってくる。キャッシュレス化時代にはQRコード賞品の提供がセットで求められる。



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コメント[ コメント記入欄を表示 ]

  1. もうかなり乗り遅れているとは思いますが
    なんとか電子決済出来るようにしておくんなさいまし!
    たんのます。。。
    ヤマモリ  »このコメントに返信
  2. ピンバック: ヤマモリ

  3. 私は業界のキャッシュレス化に反対です。
    なぜなら、お金を投資しているという感覚がなくなるからです。間違いなくパチンコで人生を狂わされる人は増加すると思います。逆に店の売上は増加するとは思いますがいかに減少傾向にある客からボッタクッてやろうかという意思がみえみえです。ホール関係者はもっと考えなければならない事がたくさんあると思います。
    超お父さん  »このコメントに返信
  4. ピンバック: 超お父さん

  5. う~ん、今でも脱税業種の上位にいるから、キャッシュレスとの相性は悪いけどね。まぁ、まっとうな業界になる第一歩かもね。
    ベン  »このコメントに返信
  6. ピンバック: ベン

  7. まあ業界のキャッシュレス化は、話題提供してみました程度であり、現実はこんな段階ではない。
    第一、巷のキャッシュレス化自体が進んでいない。
    それどころか、携帯料金の強制値下げで、5Gの普及すらままならない状況なのだから。
    5G移行には設備投資がかかる。スマホだって買い換えてもらわなくてはならない。
    むしろ携帯の料金は値上げしたかったぐらいなのに、国民ウケのいい安易な
    値下げをさせて、通信業界の歩みに待ったをかけてしまった。
    現状の政府は、未来に対する明確なビジョンをもっていない。
    その場しのぎの政策しかできない現行の政府で、キャッシュレス化を
    巷に普及できるかどうか、甚だ疑問である。
    スウェーデンにしろ中国にしろ、国の後押しがあってこその普及。
    今の日本で、そんな強力な後押しができるか?
    キャッシュレスはセキュリティの問題もあるし、キャッシュレス会社の多さと
    種類の多さも問題だ。
    業界にまでキャッシュレスの波が押し寄せるのは、当分先であろう。
    一般ゆーざー  »このコメントに返信
  8. ピンバック: 一般ゆーざー

  9. キャッシュレス化になれば、パチンコ業界は終了するだろう。
    なぜなら、脱税ができなくなるから。脱税前提で成り立っている店も多くあると感じる。
    封入式パチンコとパチンコ税の導入、さらにキャッシュレス化が進めば、まぁ倒産する店が続出だろう。同時に、過去の脱税が明らかになって、追徴課税もバリバリ発生しそう。
    キャッシュレス化は、どんどん進めて欲しい。真面目に納税している者が、バカを見ないようにね。
    勤労と納税はワンセット。日本国民の義務ですから。
    換金禁止  »このコメントに返信
  10. ピンバック: 換金禁止

  11. 「依存症対策をがっちりすると経営的な問題も出てくる」
    どんな問題?

    「正しいキャッシュレスを理解する必要がある」
    どう理解すれば正しい?
    遊半  »このコメントに返信
  12. ピンバック: 遊半

  13. でもパチンコ業界には、素晴らしい牛丼パイセンみたいに頭が化石になってる店員が沢山いるんじゃないの?
    頭が付いていくの?対応出来ないじゃん。

    パチンコ業界は、現金収入が取り柄なんだからいつまでも現金取引のままでいましょうよ。
    牛丼の子分  »このコメントに返信
  14. ピンバック: 牛丼の子分

  15. QRコード賞品とやらが明確ではないですね。
    風営法規則上賞品は物品と規定されているから情報による賞品提供はできない。
    現行法令の条項を踏まえたうえで、もう少し詳しく説明をお願いしたいものですな。
    やれやれ  »このコメントに返信
  16. ピンバック: やれやれ

  17. キャッシュレスは、良い面も悪い面も有りますね。
    このバランスをどうクリアするか。
    良い面は記事に書かれていますので、以下の悪い面をどうするのかな?
     ・使いすぎの問題(依存症対策)
     ・高齢者への配慮(現在の主要顧客ですよね)
    賛成でも反対でもない  »このコメントに返信
  18. ピンバック: 賛成でも反対でもない

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