パチンコ日報

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廃業寸前のホール再生物語 上

「等価交換がダメだとか低価交換がいいとかの問題ではない。客商売とは何かということを考えれば自ずと答えは出てくる。お客さんが合点してくれることを追求するのが商売の本質」と話すのはS代表。名刺の肩書にはチーフアドバイザーと印刷されている。

同社の役割はホールの再生。患部を治療し、元気なホールに立て直すことを業務としている。
 
2009年から立て直しを担当したホールは、中国地方の人口14万4000人のS市にあった。主要産業は重化学工業で石油コンビナート群は、工場夜景のメッカともなっている。ブルーカラーの人口が多いことからマルハン、ダイナム、それに地元の強豪店が鎬を削るエリアで競合していた。

昭和のボーリング場を転用したホールは、建物も古めかしく、中高年の従業員が働く店内は昭和の香りがする。再建を請け負った当時の稼働は1割以下。オーナーは廃業も視野に入れていた。

立て直し以前はMAX機の新台をたくさん買う割には、稼働は芳しくはなかった。原因は客の管理が全くできていないことにあった。他店で出禁になるような不良客の溜まり場にもなっていた。雰囲気が悪いので一般客は寄り付こうともしなかった。

立て直しに際して、オーナー側から提示された条件はたった一つ。従業員をそのまま雇用することだった。勤続年数の長い中高年が主体で、正社員のコストが他店に比べて1.5倍の高さだった。従業員、建物、設備の三拍子で古く、すべてのレベルが他店の水準には達していなかった。唯一の救いは無借金経営だったこと。

目指したのはオンリーワン営業だった。手始めに、4金種対応の台間サンドの導入と古かったトイレの全面改装を実施した。と同時に客の気持ちと市場の流れをチェックした結果、導き出した答えが低価交換営業だった。
 
「全国的に等価が蔓延して、お客さんの懐を痛めていた。等価の釘は回らないものということも根付いていた。パチンコは回らなければ面白くない。それに毎日来てもらえることを考えたら、答えは低価交換で差別化するしかなかった」(同)

立て直し前、4円パチンコは33個交換で営業していた。35個交換も考えたがそれではスタートの差を体感できない。回っていると感じるのは40個以上の交換だ。

最終的には射幸性が満足できるバランスを考えて38個=15割分岐を選択する。しかし、それをどう告知するかが課題となった。交換率などを表示することはご法度。この時チラシに謳ったキャッチコピーが「新感覚パチンコ営業」だった。

これが思いのほか反応は良かった。「新感覚とは何?」と集まってきた。打てば実際によく回る。その代り交換率が悪いことを1人1人に説明して回った。15割営業でも納得して来てもらえるようになると、利益も目標金額以上に達成できるようになった。

好事魔多し。一物一価の徹底指導が入る。パチンコの38個に合わせてスロットを7.5枚交換にしたところ、スロットが壊滅状態になった。それが原因で赤字に転落する。

一物一価に対応するために、稼働が少なかった4円パチンコと20円スロットを思い切って捨てることにした。3カ月かかって導き出した次の一手が、貸し玉料金がパチンコは2.5円、1.25円、0.62円、スロットは6.25円という営業スタイルでの15割営業だった。

「4円を捨てた時に一番の課題は4円の受け皿をどうするか。1円は4円の受け皿ではない。勝負したい人には2.5円が必要になってくる」(同)

全国的に2円パチンコの成功事例も少ないが、2.5円パチンコは4円の受け皿として成立していた。廃業一歩手前だったホールが競合7店舗中、3~4番手争いができるぐらいまでになり、利益もしっかり残していた。

総台数は344台。ピーク時で200人を超えた。軌道に乗りながらオーナーには跡取りがいなかった。オーナーが亡くなられたことでホールは1年前に廃業を選択してしまった。

つづく



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コメント[ コメント記入欄を表示 ]

  1. まあ非等価・再プレイ500枚までにしました。
    状況は、等価時代以下の醜い状況になりました。
    東京物語  »このコメントに返信
  2. ピンバック: 東京物語

  3. 頭が悪いのか、はたまた読解力が無い為
    なのか?
    分かる様な分からない様なモヤモヤした
    気分なんですけど・・・

    4円の交換率を下げて良い感じになった。
    しかし一物一価の指導が入ってしまい
    スロットのレートを下げた所、スロット
    の稼働が激減して赤字に転落、なので
    “稼働が無かった4円”を低貸しにetc。
    なんか良くわかんない・・・
    もと役員  »このコメントに返信
  4. ピンバック: もと役員

  5. 廃業寸前なら潔く廃業しろ。
    そこに至るには絶対に理由がある。
    改善できない理由が。
    廃業寸前のホールが延命すればするほど周りに悪影響。客が疲弊するから。
    どのみち超高確率で廃業する運命。
    勇気をもって退け。
    立つ鳥跡を濁さず  »このコメントに返信
  6. ピンバック: 立つ鳥跡を濁さず

  7. 一物一価のせいでスロットに合わせて、パチンコが等価交換になってしまい、現状の惨状になってしまいました。
    明らかに行政により人災です。
    責任者はどう責任をとったのでしょうか!
    牛丼通行人  »このコメントに返信
  8. ピンバック: 牛丼通行人

    • 別に等価にしろなんて言ってないしギャンブル業界を是正してあげてやってるんだから表彰してあげなきゃいけない位だよ。
      おまエラは、天下りを受け入れ感謝の意を示しなさい。
      名無しのポルスメン  »このコメントに返信
    • ピンバック: 名無しのポルスメン

  9. 結局、客が金儲けが出来るのかが、全て。
    客が金儲けが出来ないから、客が少なくなる。
    台の演出で面白いと、思った機種は一つもないし。
    匿名希望  »このコメントに返信
  10. ピンバック: 匿名希望

  11. 一物一価って、風営法の法律で定められてるの?
    定められているとしたら、どこの条文になるのだろうか?
    交換率に関しても。
    一般景品に関しては、等価、非等価関係なしに、等価と変わらないが。
    匿名希望  »このコメントに返信
  12. ピンバック: 匿名希望

    • 賞品の提供については
      風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第36条の2の(1)のイ、2の(2)、3に書かれています
      一物一価や交換率に関しての記載は当然ありません

      第23条の禁止行為を参照ください
      建前を厳格に守るから存在できている業界だということが理解できるかと思います
      等価交換の(実質的な)禁止や一物一価などは建前を守るためにやらなくてはならないものなのです
      しょうゆ  »このコメントに返信
    • ピンバック: しょうゆ

  13. そんな昔話をいまされてもな…
    匿名さん  »このコメントに返信
  14. ピンバック: 匿名さん

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