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90年代半ばブランド景品がブームになった時期があった。それまでのパチンコ景品と言え掛け率の低いおもちゃなどが多かった中、ブランド品は衝撃的だった。
当時は40個交換時代。一般景品なら上代1万円のものが取れるが、換金すると6000円に目減りする。それが魅力的な景品であれば、換金せずに景品を取る流れがブランド景品によって生まれた。
パチンコ業界へティファニーのオープンハートのネックレスを持ち込んだ会社があった。「あった」と過去形になっているように今は存在しない。
シルバーのオープンハートの定価1万5000円を1万円景品で出していた。もちろん偽物だからできたことだ。箱から巾着袋までコピーして、業界の景品業者に卸した。
当時の銀価格は1g6円。ペンダントトップに3g使っても20円。加工賃を入れて1000円ほどで偽物を作っていた。
「日本中のティファニーの偽物は、100%自分がやっていた」と独白する。
景品業者はそれを本物と思って3000~4000円で仕入れて、ホールへは5000~6000円で販売していた。
日本でも一流企業になった会社の中には、草創期にはかなりヤバいことに手を出して財を成し、その後紳士になって行くパターンがあるが、まさにこのケースがそれ。偽物で16億円儲け、今は年商190億円の貿易会社になっている、という。
景品の方に話を戻そう。
ティファニーのオープンハートが流行った時代ということもあり、景品でも飛ぶように出た。景品が魅力的だったので、「オープンハートが入荷しました」とポスターを貼ると、これ目当ての若者が増えた。
品不足から「1万円でもいいから入れてくれ」というホールも出るほど。損して得取れ。ティファーに欲しさにお客は2500発出すためにおカネを使ってくれた。
この社長は中国製の偽物Gショックにも手を出そうとしたが、Gショックは触れる機会が多いので、偽物とバレそうなレベルだったので思いとどまった。オープンハートはどれが偽物かも比べようがなかった。
ブランド景品もやがて等価交換になってからはさっぱり出なくなる。それまでも一般景品は5%未満の市場でブランド景品によって引き上げられたわけではないが、その数%の市場が失われたことで景品業者も淘汰されていく。
本来はタバコやお菓子など景品を取るためにおカネを使ってくれるのがパチンコのビジネスモデルだったものが、店の外で客からタバコを買い取る暴力団がすぐに出てきたように、換金の歴史は長い。
等価は高額景品を扱う景品業者を駆逐してしまった。

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景品についてですが、やはりそもそも昔はタバコやお菓子をメインにしている、高額景品は1万円までみたいな設定(これは今も)からもわかるように、パチンコは勝っても負けても数千円の娯楽だったんですよね。だから発展した。それが今じゃ負けるときも勝つときも余裕で6桁いきます。しかもパチンコは基本負けるもの。トータル10回行けば平均7~9回は負けます。しかも負け額は言わずもがな。
そりゃ廃れますよね。
最近のパチンコを見ていると早く廃れるべきだと思います。
そして、景品御者を駆逐したのは等価交換ではなく、等価交換を選んだ業界です。今もそうです。パチンコが高射幸性になっていくのはユーザーが望んだのではなく業界側の都合です。
他責思考がこういうところにも出てきますね。
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