警察は不審者が警察から目をそらすなどの一瞬を見逃さないことが容疑者逮捕の決め手となる。
とある県警で実際に起こった事件も不審車両を見逃さなかったことから始まる。ここで薬物でも出てこようものなら、警察官も手柄になる。20代の若者が乗っていた車ら出てきたのは、大量のメダルだった。
警察官はこのメダルは何のために、どうして持っているのか、と問いただすと、閉鎖されたパチンコ店から盗み出したものだ、と素直に白状した。
窃盗容疑となれば、警察官はこれを立件して行かなければならない。
手始めにメダルが何枚あるかを把握することから始めなければならない。署に帰って人海戦術で数えた結果、約9500枚あった。警察署にはメダル計数機なんて気の利いたものがあるわけでもなく、中には数えているうちに腹が立ってくる職員もいた。枚数を数えるだけでも一仕事だった。
容疑者は盗んだメダルをポケットに忍ばしては、打ちに行っていた。車内にあったのはその残りである。
盗んだ店を聞くと県外のホールだった。警察官は県外のホールまで出向き、今度はホールから被害届を提出してもらわなければならない。さらに、容疑者を伴って実況見分をしなければならない。どこから、どうやって侵入したかを調べ上げて行く。
容疑者は盗んだメダルを数軒のホールで使っている。こちらも、使ったホールへ出向き、容疑者が使った、とされるメダルを探し出さなければならない。こっちも大変な作業である。
薬物なら警察も力が出るが、閉店して廃墟となったホールから盗んできたメダルの窃盗容疑捜査ほど気の抜ける事案はないだろう。
労ばかり多くて逮捕した容疑者は初犯で小物。本当に立件する作業が大変だったことが目に浮かぶ。

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