電話を入れたのは10数年ぶりなので、相手が会社に在籍しているかどうか不安だった。
「●●さんいらっしゃいますか?」
電話口に出た女性は「少々お待ちください」。
ということは在籍している、ということだ。「よかった」とホッとしたのもつかの間。
「●●は現在こちらにはいません。●●にいますのでそちらに電話を入れてください」
そうして教えられた社名が「●●庵」。てっきり飲食部門と思って「●●庵はどんな会社ですか?」と尋ねたところ「葬儀会社」という答えが返ってきた。
新規事業で飲食をやっているのは知っていたが、まさか葬儀会社経営までやっているとは。
さっそく教えられた番号に電話した。
「はい●●庵の●●です」といきなり本人が出てきた。執行役員になった、と聞いたのに。
「●●でお世話になりました●●です。覚えていらっしゃいますか?」と恐る恐る尋ねる。
「お~久しぶりです。もちろん覚えていますよ」
葬儀会社とはなかなか目の付け所がすごい。
死んだらすぐに葬式を出さなければいけない。あれこれ迷っている時間はない。そういう意味では勝負が早い商売だ。
ホール企業で葬儀会社も経営しているところは、あまり聞いたことがない。パチンコ業界誌記者で、葬儀業界誌の仕事も掛け持ちしている記者は知っているが。
2年ほど前から参入している、とのこと。
「ずいぶん、儲かるんでしょう」と水を向けると、
「10年前なら儲かったけど、最近は家族葬が主流になってきていて、葬式に見栄を張ってお金をかけない時代になっている」とのこと。
儲かるビジネスと思えば新規参入も激しい。
斎場もそんなに広くはないので、家族葬にターゲットを絞り、低価格を売りにしている。
昔は一月に葬式が1件あれば食えて、2件あれば貯金ができ、3件あれば家族で海外旅行に行けた、といわれるほど競争が少ない時代には儲かった商売だ。
祭壇にしても使いまわしなのに、べらぼうな金額をふっかける。
戒名だってしかり。
葬儀会社とお寺はネットワークを組み、高い戒名代の何%かは葬儀会社にキックバックされる。そんなこんなで儲けてきた葬儀業界だが、今は競争も激しいので葬儀会社も決して儲かる業種ではなくなってきているようだ。
人気ブログランキングへ
コメント[ コメント記入欄を表示 ]
コメントする
>今は競争も激しいので葬儀会社も決して儲かる業種ではなくなってきているようだ
これがまたやり方次第。
亡き父や祖母の葬儀は知り合いの葬儀屋で。
そこの話は、葬儀屋仲間の中で、仕事内容を分担してやったり、仕事を振り分けたりして、上手にやってますね。各自治体の市民葬儀指定を受けて、数をこなしてます。
元々、原材料費が多くかかる訳ではないし。
手数料商売の中ではいい商売。ただその業界の人から言わせれば、昔に比べて儲からない!と話しているだけで、薄利多売の他業種から見れば、まだまだ儲かる商売のようですよ。
墓石販売や位牌販売の手数料も入るし、棺おけだって利益率が高い。骨壷や棺おけの原価率はエエエッ!です。
あと葬儀業界で言われているマンション坊主って言葉をご存知ですか?
寺を持たない坊主の事で、そんな人たちが葬式で戒名を付けてぼろ儲けなんですよ。
一時期、私も知り合いの葬儀屋からやらないか?と葬儀業界に誘われました。自分の気持ちが乗りませんでしたが、コツさえ知れば簡単に開業できます。
ピンバック: 元店長
坊主丸儲けとはよくいったもので、戒名の値段の相場はあっても、はてさていくら払えばいいかは、葬儀屋の言い値。
葬儀屋が吊り上げれば、その分キックバックも増える。
マンション坊主はアルバイトも結構いるんですかね。お経を練習して。
ピンバック: 営業1号
>マンション坊主はアルバイトも結構いるんですかね
マンション坊主自体がアルバイトや派遣と変わらないです。寺院を持たない訳ですから。
ただ各宗派の坊主資格はちゃんと所持しています。
最近は檀家を持たない寺院の坊主も多くなり、坊主の派遣制度があるんですよ。
その派遣制度とは、僧侶専門の派遣会社が何社もあります。検索すれば見つかります。
法事などに僧侶を派遣するのです。
都心部では、無宗派が多くなったりして、その関係からお経だけ上げたいという家族が居ます。そこへ僧侶を派遣する会社です。
その派遣だけで食べている僧侶も多いのが現実です。
ピンバック: 元店長