パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

激しい市場競争を勝ち抜く挑戦する心 下

新店を全国大手や道内大手が鎬を削る地区に出店した。

ローコスト店舗で、玉を出して薄利多売でやっているが、ファンが減っている。ということはファンには通じていないということだった。

1台当たり5万円を作るのに、どれだけのコストをかけているのか? この5万円を作るのにお客様は喜んでいたのか? 

出店前は社内から「楽勝ですね」という声も上がっていたが、いざ、ふたを開けてみると全然勝てない。

海も大量導入したが勝てない。

台粗600円でやって、見た目の稼動は保ったが、経営的には赤字だった。しまいには「あんな場所に出店した会社が悪い。おれたちは悪くない」という声が聞こえてきた。これでは成長する余地はない。

ニコパチに反対していたが、ニコパチをやったのは1年後だった。

すると1.5倍の稼動で台粗も上回った。結局、機会損失を1年間続けたことになる。

営業の原点、利は元にある。

仕入れたものを高く売って利益が発生する。

パチンコの日々の営業管理は釘調整であるが、個人差、バラツキがあり、利益損失があった。

そこで釘の調整技術の徹底を図った。パチンコ業界は見えるものから変わった。

戦闘、戦術、戦略はある程度見えるので、それを真似ていた。戦略や戦術は時代とともに変わるが、変えてはならないのが理念やビジョン。

見えない価値の重要性にトップは気づかなければならない。

1000億円にするまでは社員に対して戦意を求めたが、1000億円を達成するとプラスして戦力(釘、計数管理能力)を求めた。

店は赤字を打って玉を出しているのに、稼動が上がらないのはお客様に出ている、という実感がないためだ。

伝えたい情報と伝わった情報は違う、ということでもある。

ということはトップの意思が最大のエネルギーにならなければいけない。

トップが変わらなければ、会社は変わらない。決断すると人の話を聞きに行き、学びに行く。

それでも失敗することは多い。

でも、気づき力が大事。気づいたら変える。そして確実に実行すること。

その方向が正しいかどうか分からないけど、決断しないと前に進まない。

決断しないと確実に衰退する。

以上

その後、東京、福岡、沖縄などの遠隔地へも出店を果たすが、全部撤退する結果となった。決断して出店し、決断撤退した。どこでどう歯車が狂ったのか? そこから学ばなければならない。

激しい市場競争を勝ち抜く挑戦する心 上

16年以上前の2007年、業界で注目されていたホール企業社長の講演録だ。その後を検証する意味で当時を振り返る。そこから見えてくるものは何か。

以下本文

売上高が2000億円を超えたとき、社内風土が官僚主義的、セクト主義的になっていた。この体制で出店してもいい会社にはなれないことを感じ始めていた。そこで着手したのが社員教育の前に、人間教育だった。

社員としての8時間より、人間として生きている24時間を豊かにするために。

自分とは何者か? この仕事を通じて何がやりたいのか? その辺りから見つめなおした。

能力主義よりも共感主義。ガバナンスをしっかりしなければ外からの資本は入ってこない。そこでISOを取得したり、監査法人と監査契約を結び、上場企業という気持ちで経営している。

最終的に重要なことは、経営理念を持つこと。さらに経営の目的を持つことが大事で、それをトップがいい続けることが大事。

2000億円を超えたことで、気づいたことが一杯ある。

売り上げは上がったが、財務内容がよくなかった。得たもの失ったものは何か?

2000億円を超えた第3ステージではパチンコ版ビッグバンが起こる。

財務と人材にダメージを受けた。年間で11店舗も出店したため、人事戦略は滅茶苦茶無理をかけた。そのため、出店した店舗が軌道に乗るまでに倍の時間がかかった。

株主に約束した利益を出すことができなかった。責任を感じた。

組織を立て直し、本部長制をやめてすべてフラットにした。営業は直轄型で私の下に置いた。

社内風土が官僚的になっていた。

非常時にはトップが決断して変えるしかない。決断と責任はトップが取る。

人事の混乱も起きた。

本部長がいらなくなった。エリアマネージャーもなくなった。降格人事と取られて辞める幹部もいた。掲げた目標が理解してもらえなかった。

依存型から自立型に転換中のこの時期しか変えられない、と思った。

5号機問題は1年半前からシミュレーションを重ねた。

今後5年間一切の出店を止めて、売り上げをスロットから40%ダウンさせてやっていけるのか? 最悪のシミュレーションをやった。

そのとき、スロットの売り上げを捨てる決断をした。

それまでは、1台当たり5万円を維持することを目安に、これがお客様の支持だと思っていた。

大型店、多店舗展開、メイン機軸になる機械を入れて、イベントを繰り返し、客単価を上げる。

客数を増やしたのではなく、客単価を上げての5万円だった。

この勝ちパターンが通用しなくなった。やったことといえば、1人当たりの客単価を上げただけだった。

台売り5万円がわれわれの存在価値だと思っていたが、これを捨てて低玉貸しにシフトした。そうしなければ生きていけないから。

1円貸しに対してエリアマネージャーは「無理」「できない」「粗利が取れない」と反対した。

どんどんマーケットは変わっている。

そこで昨年4月23日に踏み切った。1460台を低玉貸しに移行して売り上げを捨てた。

できない常識が簡単に変わった。非常識が簡単に常識に変わった。

われわれがやっている常識は正しいのか?

松下幸之助は「執念ある者は可能性から発想するが、執念無き者は困難から発想する」という言葉を遺している。

反対するものは1円パチンコができないと困難から発想していた。

今まで大切にしてきた価値観を捨てることはトップが決断しなければならない。

そこで売り上げという目標を捨てた。

つづく



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廃業寸前のホール再生物語 下

S代表がホール運営で拘り続けるのは、パチンコは大衆娯楽であり、ストレス解消の場でなければならい、ということだ。自身が毎日のようにパチンコを打つヘビーユーザーで、ユーザー心理をホール運営に反映させているからだ。

コロナ禍で在宅ワークが増えた結果、「コロナ離婚」という言葉も生まれている。毎日夫婦が家で顔を突き合わせることでストレスが溜まり、それが喧嘩や家庭内暴力に発展したことが離婚原因である。

「本来、ホールはストレス解消の場で、その受け皿としてコロナ禍ではパチンコは右肩上がりでなければいけないのに、そうなっていない。去年4月から禁煙化になり新規客が増えなければいけないのに、衰退するのは経営者の考え方が間違っているからだ」と指摘した後で、さらにこう続ける。

「過激な差玉を出す機械作りが過熱して行った結果、度重なる規制が行われた。人間の射幸心に制限はない。1万円で10万円も勝てる機械が出れば、客はそれに飛びつく。10万円勝たせるためには、10万円の負けを作らなければならない。つまり、10人に1人しか勝てないソフトを作ることになる。パチンコ店がストレス解消の場から賭博場になったので崩壊した」(S代表)

過激な機械づくりや等価交換で、よりギャンブル性を高めたことが、パチンコ業界を衰退させて行ったことは、業界人なら百も承知していることだ。しかし、業界は分かっていながらも社会的ジレンマから抜け出すことができない。

そこでS代表が取った行動は、新台入れ替えや出玉合戦のパワーゲームの土俵から降りて、前回お伝えした低価交換戦略で独自路線を歩むことだった。

「遊ぶお客さんの気持ちを理解しているようで、理解していない。ギャンブル志向のお客さんは減ることはあっても増えることはない。4パチは伸びない。基本は1000円スタートで20回。交換率に関わらずこれが、ギリギリストレスが溜まらない。スランプがないように22回回すには技術がいる。昔は4分5厘の傾斜で玉のスピードを殺したが、今は3分5厘で玉のスピードが速く、技術もない。コンピュータのデータだけを見て、お客さんの顔を見ない店長にお客さんが満足するものは提供できない。コンピュータの答えは平均値であって、途中経過は見えない。1分間スタートは6回を良し、とすれば、1分目は8回で、2分目は3回。その平均値が6回。1分間にコンスタントに6回回れば、お客さんは安心して打てる。そのためには釘の技術と玉のスピードも重要になる。交換率は15割が一番ストレスが溜まらない。良心的な商売をするところが稼働を伸ばす」と力説する。

では、ユーザーを増やすためには何をすればいいのか? 答えは良心的な営業と言うことではあるが、一般的な業種でも安くいいものを提供することが鉄則である。

薄利多売で成功した者が勝者で、薄利だけで終われば敗者である。

「韋駄天を導入すれば利益が取れるとばかりに、こぞって入れたがる。儲かる機械のことばかりを考えるから見誤る。これはレベルが低すぎる。稼働を上げることを考えずに、利益のことばかりを優先するからダメ。お客さんを痛めつけることは絶対にやらない、というポリシーを貫く。お客さんが何を考え、何を求めているか。それを実行すれば自ずとお客さんはついてくる。パチンコを打っている人たちは、夜8時半にスーパーの半額セールで総菜を買っている層。そういう人たちの気持ちが分からない人がホールを経営している。何のためにホール経営しているのか、経営者の意識改革が必要」と断言する。





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廃業寸前のホール再生物語 上

「等価交換がダメだとか低価交換がいいとかの問題ではない。客商売とは何かということを考えれば自ずと答えは出てくる。お客さんが合点してくれることを追求するのが商売の本質」と話すのはS代表。名刺の肩書にはチーフアドバイザーと印刷されている。

同社の役割はホールの再生。患部を治療し、元気なホールに立て直すことを業務としている。
 
2009年から立て直しを担当したホールは、中国地方の人口14万4000人のS市にあった。主要産業は重化学工業で石油コンビナート群は、工場夜景のメッカともなっている。ブルーカラーの人口が多いことからマルハン、ダイナム、それに地元の強豪店が鎬を削るエリアで競合していた。

昭和のボーリング場を転用したホールは、建物も古めかしく、中高年の従業員が働く店内は昭和の香りがする。再建を請け負った当時の稼働は1割以下。オーナーは廃業も視野に入れていた。

立て直し以前はMAX機の新台をたくさん買う割には、稼働は芳しくはなかった。原因は客の管理が全くできていないことにあった。他店で出禁になるような不良客の溜まり場にもなっていた。雰囲気が悪いので一般客は寄り付こうともしなかった。

立て直しに際して、オーナー側から提示された条件はたった一つ。従業員をそのまま雇用することだった。勤続年数の長い中高年が主体で、正社員のコストが他店に比べて1.5倍の高さだった。従業員、建物、設備の三拍子で古く、すべてのレベルが他店の水準には達していなかった。唯一の救いは無借金経営だったこと。

目指したのはオンリーワン営業だった。手始めに、4金種対応の台間サンドの導入と古かったトイレの全面改装を実施した。と同時に客の気持ちと市場の流れをチェックした結果、導き出した答えが低価交換営業だった。
 
「全国的に等価が蔓延して、お客さんの懐を痛めていた。等価の釘は回らないものということも根付いていた。パチンコは回らなければ面白くない。それに毎日来てもらえることを考えたら、答えは低価交換で差別化するしかなかった」(同)

立て直し前、4円パチンコは33個交換で営業していた。35個交換も考えたがそれではスタートの差を体感できない。回っていると感じるのは40個以上の交換だ。

最終的には射幸性が満足できるバランスを考えて38個=15割分岐を選択する。しかし、それをどう告知するかが課題となった。交換率などを表示することはご法度。この時チラシに謳ったキャッチコピーが「新感覚パチンコ営業」だった。

これが思いのほか反応は良かった。「新感覚とは何?」と集まってきた。打てば実際によく回る。その代り交換率が悪いことを1人1人に説明して回った。15割営業でも納得して来てもらえるようになると、利益も目標金額以上に達成できるようになった。

好事魔多し。一物一価の徹底指導が入る。パチンコの38個に合わせてスロットを7.5枚交換にしたところ、スロットが壊滅状態になった。それが原因で赤字に転落する。

一物一価に対応するために、稼働が少なかった4円パチンコと20円スロットを思い切って捨てることにした。3カ月かかって導き出した次の一手が、貸し玉料金がパチンコは2.5円、1.25円、0.62円、スロットは6.25円という営業スタイルでの15割営業だった。

「4円を捨てた時に一番の課題は4円の受け皿をどうするか。1円は4円の受け皿ではない。勝負したい人には2.5円が必要になってくる」(同)

全国的に2円パチンコの成功事例も少ないが、2.5円パチンコは4円の受け皿として成立していた。廃業一歩手前だったホールが競合7店舗中、3~4番手争いができるぐらいまでになり、利益もしっかり残していた。

総台数は344台。ピーク時で200人を超えた。軌道に乗りながらオーナーには跡取りがいなかった。オーナーが亡くなられたことでホールは1年前に廃業を選択してしまった。

つづく



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パチンコは必要か不要か? 必要ならナゼ必要か

「立て直しに際してまず行うのは、自分たちの商売であるパチンコが、世の中にとって必要かどうかを問いかけるところから始めます。必要でないと思えばどんな商売だって世の中から排除されるのは自然の摂理です。不要なものは投資しても衰退するだけ。では、必要と答えた場合、何のために必要なのかを徹底的に掘り下げていきます。現場の従業員がなぜ、必要なのかが分かっていないと立て直すことはできません。商売に対する信念がない。信念なきところで商売は潰れていく。意識改革から始めることが第一歩です」と話すのはS代表。

昭和のアナログ人間を自負するS代表は、パワーポイントを駆使して講演するタイプではない。その代わり他のコンサルと大きく違うのは、毎日パチンコを打つパチンカーでもあることだ。元来、パチンコ好きでもあるが、そこでは日々繰り広げられるパチンカーの行動・心理をウォッチングする目的がある。

「毎日パチンコを打っている。だからパチンカーの気持ちは概ね分かる。そのニーズに応える営業に持っていくのが、私のパーラードクターとしての役目。お客さんの気持ちを理解することが一番先なのに、お客さんの気持ちも分からずにやっているのが今の商売。バクチ打ちもいればリスクを少なくして長く遊びたい人もいる。店はどういう客層を求めているのか、その店の方向性を明確に打ち出していない。人情味のある商売でなければ長くは続かない」

今、パチンコ業界は八方塞がりの状態とも言える。

集客の3大手法だった新台入れ替え、リニューアルオープン、イベントの経験則で結果が出なくなって久しい。その理由はS代表が言う「人情味のある商売」ではなくなった表れでもある。

ホール従業員が「負けるからパチンコはしない」。それを商売にしているのが現状では、一般客も「笛吹けども踊らず」。結局、新台入れ替えのコスト負担は、客にのしかかる。それに耐えられなくなってユーザーが離れて行った。にもかかわらず、韋駄天がいいとなれば、それを買うことをコンサルは勧める。ホールもそれを買うことしか頭にない。スロ専に韋駄天を導入する発想になる。

これから業界がどうなるか分からない不安を抱えながら営業を続けているホールにはこうアドバイスする。

「信頼を先に作る。信頼ができれば4円の稼働も上がってくる。大半の店は信頼を失っている。しくじっていけないのは玉粗。私の支援先は玉粗は固定で平坦で走らせます。常に同じ玉粗であることが安心感につながる。安心とは変わらないこと。玉粗を変えるとお客さんは『搾り取られた』と言ってホールを去る。等価で遊びは提供できない。交換率を下げることで遊び率が上がる。娯楽とバクチの中間点を探りながら『これなら文句は言えない。よく回るから』と思って頂く交換率がキーポイントになる。その次が丁寧で親切な接客。皆さんが困っている信頼回復のための意識改革の方法を教えます」




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