そん中、業界の欠陥構造とも言える点を抜本的に改革する業界が現れた。
パチンコホール産業である。
ご存知のように、参加人口が3000万人と言われたが、いまは1000万人を切る。この様な産業の中で、昔から抱えるアキレス腱に3店方式がある。
3店方式は監督する官庁からは、グレーゾーン方式と呼ばれる。直ちに違法とは言わないがシロではない、と正式に発言されている方式。いつ社会情勢の変化で黒、すなわち違法と判断されてもおかしくないのである。
この半分違法ともとれる3店方式にメスをいれ、画期的な方式を県警に認めさせたホール企業が出現した。
北海道と青森で9店舗を展開する池安物産がそれ。同社のレジャー事業部・全純姫事業本部長に聞いた。
全本部長によるときっかけは「3店方式をいつまで中途半端な立ち位置でやっていけるのか」との心配からであった。
消費者金融のグレーゾーン金利が、ある日突然ブラック金利になったあの日、いつか3店方式もグレーではなくなる日が来ると感じたそうである。
池安物産は、なんとか3店方式に代わる方式がないか、6年間の歳月をかけて、やっとこのほど、青森県警と各行政機関からお墨付きを得た。
既にこの方式でシステム上の特許を申請しており、テスト期間で問題が無ければ、2017年実施される見込みがたったと言う。
この方式は、2018年から全国に導入されると見込まれる。
国内の株式市場では、現行の3店方式の存在で、ホール企業の上場は事実上見送られ、海外株式市場を目指すホールも少なくない。しかし、新方式が全国都道府県警察と関係行政機関に浸透すれば、ホール企業の国内株式公開へ道筋が開けるメリットも大きい。
3店方式に代わる新方式の誕生について全本部長は経緯をこう話す。
「きっかけは、息子の親友のお父様が警察庁関係者で、3店方式の欠点を直す方式を考えれば『大きなビジネスチャンスになる』という話を聞いたことです。息子の親友は、東京都内のIT関係者で、ビジネスチャンスになると確信したそうです。そこで開発された新しいシステムは、2.3店方式と呼びます。簡単に内容を説明しますと、2016年から始まるマイナンバー制度を利用します」

日本に住む全ての人に1枚のカードが送られてくるマイナンバーは、近い将来日常生活の様々な場面で必要となり、そのカードに記された「12ケタの番号」からなる。


「マイナンバー」
かつて「国民総背番号制」と呼ばれていたものだと言えばピンとくる人も多いだろう。
「2.3店方式は、このマイナンバー制度を利用します。特殊景品を交換所で買い取りをしてもらう際に、マイナンバーの提出を行うことにより、グレーゾーンだった3店方式が、完全にホワイトゾーンになるわけです」
全本部長の息子の親友は、勤め先の会社で、既にシステムを完成させている。
システムは1店舗あたり、110万円。システム使用料となるランニングコストは、1カ月3000円前後の見込みだという。
特殊景品交換所に、マイナンバー識別機を設置して、持ち込み者の詳細を確認することにより通常の金券ショップと同じ扱いにするわけだ。
警察庁幹部を父親に持つ親友は、父親から助言やアドバイスを受け、北海道道警と青森県警にシステムを説明している。先にテスト許可が出た青森県でテスト期間を設定して、来年から実施される予定だ。
行く行くは全国展開になり、3店方式のグレーゾーンはなくなる見込みだ。
詳細は分かり次第報告するが、ユーザーが特殊景品を換金するには、マイナンバーカードが必要になり、マイナンバーにより、行政機関に換金内容を把握されることは間違いない。
これにより、ホール企業の脱税も防ぎ、また地方で散見される、実質上の2店方式もなくなる。
そして、上場を目指すホール企業に光が見え、株式市場の活性化につながる。
ホール企業、警察関係、行政機関関係にとってはいいことだらけだが、ユーザーにとっては、面倒な点も捨て切れない。

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