近年のパチンコ業界は、駅前の小型店から閉店に追い込まれる傾向が強い。4年前にオープンした新店も駅前の居抜き物件だった。大型化・郊外化が進む中で、この企業の戦略は時流に反しているようにも見える。
しかし、同社は小型店ならではの強みを徹底的に活かしている。その象徴が「ワンオペ運営」だ。300台クラスの店舗を、基本的に1人で回す。500台規模でも2人体制に抑える。飲食業界で深夜ワンオペが社会問題化したことを思えば、驚きの取り組みである。
ホールにおけるワンオペとは、カウンター業務と表周りを一人で担うことを意味する。当然、負担は軽くない。しかし、意外にも、スタッフ側がそれを望んでいるという。
理由は明確だ。時給である。
従来は時給1500円、3人体制で小型店を回していた。それをワンオペに切り替える代わりに、時給を2000円へ引き上げた。全国的に小型店の稼働率は2~3割程度にとどまるケースが多く、その水準であれば一人でも運営は可能だと判断した。
3人で1500円より、1人で2000円。仕事量は増えるが、手取りは上がる。結果として多くのスタッフが高時給を選択した。ワンオペは会社の押し付けではなく、スタッフの合意の下に成立している。
「1人で300台を回すなど、以前は考えられなかった」とオーナーは語る。確かに、カウンターで客を待たせる場面もある。しかし、スタッフが真摯に対応することで理解を得られているという。
さらに同社は、アルバイトにも役職手当やボーナスを支給する。高時給に加え賞与まで出るため、「アルバイトの手取り水準は業界でもトップクラス」と自負する。
固定費の中でも最も重い人件費を圧縮しつつ、個々のスタッフには手厚く還元する。この構造改革により、店長の年収が1000万円を超えるケースも珍しくないという。
小型店は不利という固定観念を捨て、稼働率に合わせた最適人員で運営する。
300台を1人で回すという発想は、縮小市場における生存戦略の一つの答えかもしれない。
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