パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

月150時間の残業が楽しかった釘調整の駆け引き

宝塚歌劇団・宙組の有愛きいさんが9月に自殺した問題で、西宮労働基準監督署のメスが入ったのは11月22日のことだった。劇団員の労働時間や勤務実態の調査が行われた。

入団7年目の有愛さんは、若手による「新人公演」のまとめ役だった。自主稽古などの活動時間を労働時間とすれば、公演までの1カ月で118時間以上の「時間外労働」があった。そこに上級生からのパワハラなどが重なり、精神状態が不安定になっていた。

芸能の世界に時間外労働の概念そのものがなかったのかも知れないが、今回のケースは宝塚の伝統とも言える上級生からの執拗ないじめが引き金になっている。そこに過労が加われば精神状態は鬱になり、死にたい願望が強くなる。

パチンコ業界での過労死を検索すると2004年の大手ホールの事件がヒットする。23歳の新入社員が接客や台の入れ替え作業など、早朝から翌朝までの長時間勤務をさせられたり、指導のないまま不慣れな仕事を任されたりして、疲労や睡眠不足から鬱状態となり、同年6月26日に社員寮で自殺に追い込まれたとしている。もう20年近く前の話でもある。当時よりは労働環境は改善されていると思われる。

その一方で、仕事を楽しんでいた店長は月150時間の残業も厭わなかった。本人に残業という意識がなかった。

「閉店後から明け方の4時ぐらいまで毎日のように釘調整をやっていました。当時はハネモノのレッドライオンの時代。10分間で何回鳴かせたら、お客さんが追っかけるか。鳴いても何回拾わなければ追っかけなくなるかのデータを取り、それに基づいて釘調整していました。その研究が楽しくて仕方なかった。それまでのレッドライオンの稼働時間が5時間だったものが、私が導き出した調整方法で9時間半まで稼働を上げることができた。私のように、そうやってお客様との駆け引きが楽しい人にとって、150時間の残業は苦労でもなんでもなかった。それよりも稼働を上げる方が楽しかった」と述懐する。

今は釘の本数そのものが大幅に減っているため、釘調整で時間をかけることもないし、ハネモノのように釘で稼働を上げられる時代でもなくなった。

ま、本人が目的を持って残業している場合は、残業が苦にならないようだが、宝塚歌劇団にも労基のメスが入ったように、芸事でも許されない時代に変わっている。

労務管理から解放されたいホールにすれば、人材派遣会社に丸投げした方が楽だ。時給換算では自社雇用より割高だが、求人コスト・教育コストなどをトータル的に比較すれば安くなる、というわけだ。しかし、肝心の派遣会社の方が人集めに苦労しているぐらいだから、いい人材は派遣会社には回って来ない。

そうなるとホールの無人化ニーズはさらに高まってくる。

業界のヒトの問題は無人化が解決してくれることになるのだろうか。



人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。
記事一覧

コメント[ コメント記入欄を表示 ]

  1. >当時はハネモノのレッドライオンの時代
    レッドライオンは85年の登場だから、全盛期は1980年代後半ですよ。実に35年以上も前ですから、もう事例として比較するには時代がずれすぎています。個人的な体験としては87年頃の夜に千葉県の栄町の繁華街(関東では当時有名な色街でもありましたね)内で食事をした後、客が2~3人のパチンコ屋にふらりと入って暇つぶしにレッドライオンを打ったら300円であっさり3000個打ち止め、なんて事がありました。そんなひなびた店でも打ち止めになる台を置けたわけですから、現在と比較すると店が負担しなければならない固定費やランニングコストが桁違いに低かったことが伺えますね。現在スマート機のヒットで顧客が戻ってきた、というニュースもネット上で見られますけど、戻ってきた顧客がそのコスト分から更にむしり取られるであろう金額を考えると、到底「娯楽」としての復活は不可能なんじゃないか、と思えます。
    麻雀が地域の集会所や家庭で、金を賭ける事を禁止する事で静かなブームとして再興している(実は故阿佐田哲也・五味康祐氏ら作家の人達も、著作で遠回しに娯楽としての麻雀の可能性を指摘していたんですけどね)ようには出来ないんだろうな、と思えます。
    tameiki  »このコメントに返信
  2. ピンバック: tameiki

  3. 「本人が目的を持って残業している場合は、残業が苦にならない」の対偶は、「残業が苦になる場合は、本人が目的を持って残業をしていない」。
    元命題が真と言うのは対偶も真と言っているのと同じであるが、このような本人に責任を押しつけるような言論は冗談や余談であっても無価値である。
    数学ⅡB  »このコメントに返信
  4. ピンバック: 数学ⅡB

  5. 同時期の羽根物はレッドライオン、エアプレーンは名機でしたね。最低半列20台~ボックス40台入れて居ました。
    猫オヤジ  »このコメントに返信
  6. ピンバック: 猫オヤジ

コメントする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です