3人兄弟の末っ子で、実家暮らしが続いている。認知症に罹った母親の介護をしていたのもAさんだった。そのお母さんも旅立ち、お母さんの預貯金を3人兄弟で分けて20万円の臨時収入が入った。
この日は歌舞伎町に繰り出しスマパチを打って負けて、店を出たところで若い男から「今日のパチンコはどうでした?」と声を掛けられた。
金額は明らかではないが、負けてむしゃくしゃしていたので、顔色を見れば負けているぐらい察しは付いた。
「負けを取り戻すために、ゲームをしませんか」とスマホを取り出した。
そこには当たりとハズレがのルーレットゲームの画面が表示されていた。
「確率は2分の1です。掛けてしませんか? 掛け金は1万円。私が声を掛けたので、私が負けたら1万1000円払います。あなたが負けた時は1万円でいいです」
ギャンブル好きのAさんの気持ちが揺らぎ始めた。
「いきなり1万円は掛け金が大きいので練習で、1000円でやってみませんか?」
レートが下がったことでAさんはやってみることにした。
1000円でやってAさんが当たりを引いて、1100円をもらった。
結局、1000円で2連勝して2200円プラスになった。
「そろそろ上げてみませんか」と1万円で挑戦した。
後になって冷静に考えれば、裏でコントロールしているはずだと思ったが、2連勝したことだし、確率は2分の1なので、ギャンブラーの虫がうずいた。
1万円の掛け金ではあっさり外れた。
Aさんの方から「5000円でもいいか」と聞いたら快く受けてくれ、この時は勝った。この勢いで1万円に再チャレンジするも3連敗で3万円の負け。パチンコの負けを取り戻すどころか傷口を大きくした。
20万円はこうして消えていくのかと思いきや、そうでもなかった。ギャンブル好きのAさんは渋谷の裏カジノにも行った。
ここで海物語の甘デジとライトミドルとミドルの3機種があったことにビックリしたが、さらにレートを自分で選べることももっと驚いた。ヒントになったのが、ベトナムのパチンコ店の1玉1000円レートだった。
この裏カジノのシステムでは1万円単位で玉を買うのが基本で、さすがに1000円は手が出ないので、1玉100円でチャレンジした。ということは1万円で100玉だ。Aさんは100分の1の確率をチョイスした。
100発以内で単発を引いて、350玉出てきた。これだけで3万5000円だが、根っからのギャンブラーのAさんはこれで止めることはせずに、続けて打った。次は確変を引き3連チャン。10万円勝ったところで止めた。
店員に1玉1000円で打つ客がいるのかと聞いたところ、これがいるらしい。太客ともなると10万円分玉を買って打つのだが、ミドルで900発出して90万円勝った客もいる。
バカラは2倍、ルーレットは最高でも36倍。パチンコは確変を引くと何倍になるか分からないのが魅力らしい。10万円分打つと負けてもそれ以上打つことはなく、さっと切り上げて帰るそうだ。
「パチンコで久しぶりにハラハラドキドキした。1玉100円は痺れるね」とAさん。また行くのかどうかは聞いていない。
大阪にできるIRカジノではパチンコの導入予定はないようだが、1玉のレート次第では昔の普通機だってギャンブルマシンになる。
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