退社時に警察から職質を受けたホール社員がいた。
初めての職質だった。安倍元首相が凶弾に倒れて以来、街頭パトロールを強化しているのか、その影響かと思った。
カバンの中を見せて欲しいということで素直に応じた。
そこから出てきた双眼鏡に警察官が食いついて来た。
「これは何に使うのですか?」
「サッカーが好きで、試合の時に使っています」
試合が近々あるわけでもなかった。
「今度はいつ行くんですか?」
「出し忘れただけです」
怪訝そうな顔つきで、疑っている様子が読み取れた。
カバンの中には色々なものが入っていた。全部出してホコリまで調べ始めた。
カバンの次の取り調べはスマホに移った。「履歴を見せて欲しい」と言ってきた。
ドキッとした。これはヤバかった。写真ファイルの中にはエロ写真が多数保存されていたからだ。絶対に観られたくなかったから拒否した。
見当たり捜査ではないが、警察官の不審者を見抜く眼力が当たったように思われた。
拒否するということは何かを隠していることになるので、警察の追及も執拗になる。
任意捜査に移った。これ以上拒否しても変な疑われ方をしてしまう。警察官の心証を悪くするだけだ。
画像ホルダーから出てきたのは、ロリコンではないが、18歳未満に見える少女の画像がたくさん出てきた。写真を1点ずつチェックしていった。写真の女性たちが年齢不詳ということで無罪放免となったが、1日潰れてしまった。
児童ポルノは所持しているだけでも、懲役1年以下または100万円以下の罰金となる。
会社に事の顛末を報告した。すると営業本部長の行動は迅速だった。
危機回避の専門家を呼び、早番、遅番のスタッフに2回も講演をしてもらった。
職質を受けても所持品検査をされても困らないようにカバンの中には怪しいものを入れないのはもちろんのことだが、護身用のナイフとかは刃渡りが6センチ以上になると銃刀法違反となる。マイナスドライバーもピッキング用に使うことがあるので、正当な理由があっても持ち歩いたりしないことだ。
写真もたとえ自分の子供でも入浴シーンの裸の写真は、児童ポルノの疑いをもたれるので、スマホには保存しないことだ。
ちなみに、職質を受けた社員は安倍元首相を撃った犯人のようにオタクっぽさがあったそうだ。

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