私は気軽に了承の意を告げて一緒に困っているという海物語地中海の台まで行ってみました。
私はコンプライアンスの件もあるのだから釘を左右に振る整備はあってはならないときつく言い伝えています。その店の副店長もそこらへんはよく理解をしていて見た目には、まっすぐな釘でした。が、よく見てみると上段の上下角にかなりの開きがあるのです。
「これ、3度から6度くらいに開きがあるように見えるけど」
「はい、かなりいじってます」
「これじゃワープにはなかなか入らないという意図が見えすぎているよね」
「そうなんです。実はこの台に毎日座るお客さんがいて、ほぼ単発打ちでワープ狙いなんですよ。それがまた上手くてですね、正直どうしたらいいのか困っている状態です」
「君たちはそのお客さんには何も言ってないの?」
「1円でもありますし、それでお客さんが楽しんでくれているのなら仕方ないかな、と」
それまで黙っていた店長が一言横から
「この顧客さん、貯玉が99万発あるんですよ」
「4円ならお願いしたかもしれませんが1円だから目をつぶっている状態です」
私は99万発の数字に驚きもしましたが、この二人の顧客に対する取り組みになんとなく、親しみを感じながらその後も話を聞き続けました。
とにかくその客は毎日来ては少しの投資金額で少しづつ貯玉をして帰っていくそうで、その話をしている二人は困っている
というよりも何だか楽しげにも見えました。
私は、コンサルティングはしないからその解決策については何も語らず、ただ釘の基本的なメカニズムをもう一度よく思い出して、その客と勝負をしてごらんとだけ言いました。
釘は勝負です。お店と顧客を繋ぐ唯一の勝負どころ、なのです。久しく現場に足を運ぶ機会がなかった私はやはり現場は生きているんだな、などと一人感傷にふけっていました。
くどいようですが、企業オーナーがどうであれ、業界の未来がどうであっても、現実に今釘を叩いている人間がいて、内心ほくそ笑みながらその台を打つ客がいる。
これがパチンコ本来の姿だったのではないのか、と思いました。
だから私はこの仕事を辞めることができないのだと再認識した次第です。
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