旧年中はありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願いします。
ある人との出会いが私の生き様に変化をもたらしました。その結果が今の山田塾です。
今回からその物語を書き綴ってみましたのでお暇な時に読み物としてどうぞ。
じいさんと俺の釘 vol.1
「山田、お前さんホールに来て人前で釘は打たんがええな。これじゃ釘学校の先生が聞いて呆れるわ」
じいさんは俺の肩越しからスッと手を出し、ハンマーを取り上げた。
じいさん60歳、俺が41歳。人様のホールに行って海物語の釘を打っていた時のはなしだ。
41歳になって何度目の職場なのか数えるどころか、そんな気力すらない。パチンコ稼業でメシ食って、そりゃ真面目に生きてやろうと思った時期もあったと思う。だが現実はそうそううまく行くもんでもない。会社入っちゃ辞め、入っちゃ辞めの繰り返し。この世界にはそんな奴がゴロゴロしている。俺もそのうちの一人ってことだ。
ただ40歳になってまた会社をクビになった時は正直焦った。そろそろ腰据えてかからねえと家族に顔向けができねえ。そんな時だ。この会社に入ったのは。ところがここの社長、俺の何をみて言ったのかは知らねえが、俺に釘の学校作るからそこで先生やれ、ときたもんだ。
そりゃあどこかのホールで部長やら店長やらやったこともあるし、客もつけてきた。営業にはソコソコ自信もあった。だがそれはパチンコやる客が多かったから、つまり時代が良かったからこそ、俺みたいなハンパ者でもお偉いさんの椅子に座れたわけで、化けの皮はすぐに剥がれ、社長と喧嘩してクビになるっていうパターンを何回も繰り返してきた。
釘は特に嫌いだった。夜中に一人で釘打っていると、なんかバカバカしい気分になる。なんでこんな思いを一年中しながら燻ってんだ。俺は釘が嫌いだし、お世辞にも上手いとは言えねえ。でもやんなきゃしょうがねえし、ま、それが仕事だからボチボチやってきた。
そんな俺に釘の学校の先生はねえだろ。俺はひとりごちた。だがそこの社長は有無を言わさず、結局俺を「先生」にしちまった。
俺はね、容貌は柄が悪くて口も悪いが、それでも仕事やるときゃ、結構真面目にやるタイプなんだな。ま、なかなか自分から仕事を進んでやろうとは思わねえけどよ。今回は少し勝手が違った。ほれ、誰にでもあるでしょう。普段はそうでもないけどたまには真面目になってみるか、なんて思うことが。一種の流行病みたいなもんだな。
とあるメーカーから秘密裏に釘のトレーニング方法のカリキュラムをタダで借りてきて、それを参考に2ヶ月かけてオリジナルのテキストを作った。表向きは、だ。それを見た社長と釘専門のじいさんは俺を神の如く褒めちぎった。
へ? こんなもんでか? 世の中これだからチョロいんだよな。と思っていたら人様にものとことを教えるっていうことがいかに難しいかってことを嫌というほど知らされる。知識不足にツッコミが入るし、時間が長えだの小便してえだのとまとまらねえったらありゃしねえ。
それでも不思議なことに五日経つとみんな釘が上手くなって帰っていく。おまけに最後、別れの時に「先生、ありがとうございました」なんて言われた時にはびっくりした。俺に先生と呼ばれる謂れはないはずだが。
ある日のこと。
件の社長が藤本と長野まで行って海200台叩いてきてくれ。3日でな」と言った。
藤本とは釘のじいさんだ。出張はなんか楽しみだ。だいいち気晴らしになる。
俺は二つ返事で長野行きを承諾した。安直な思考による行為は時に予想の範疇を超える
結果を生むことになる。東京にいた俺はそんなことを知る由もない。

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オーナーも売上、粗利報告聞くのが楽しいと言ってました。
私は好きなCDを聴きながら叩くの好きでした。
ピンバック: 猫オヤジ
へたっぴな私でもみるみる業績が上がるものだから、怖いものなしでしたね。
で、会社を辞めると誰も見向きもしてくれません。私が金メッキを貼ってもらっていたのを周りのみんなは知っていたのですね。
そうとも知らず馬鹿な私でした(泣)
コメントありがとうございます。
ピンバック: 山田塾
2000円勝ちで帰ってきました。
今であの調整だと5号機無くなったらどうなるやら…
ピンバック: パチンコがなくなれば幸せ
そうですか、2000円でも価値は価値ですね。
これを5回も繰り返せば10000円に…
おっと!これがいけない。
クワバラクワバラ(笑)
おっしゃる通りこの先が問題ですね。
ほどほどにしときましょうか。
コメントありがとうございました。
ピンバック: 山田塾
あけましておめでとうございます。
そうなんです。私は細かい作業が苦手というより面倒臭いのが苦手なんですね。
それでもひと通りのことをやってきた自負はありますが、私が良い業績を残せたのは、
全て人様、神様のおかげさまと今では謙虚になりました(笑)
コメントありがとうございました。
ピンバック: 山田塾
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。
昔話はなぜか楽しいものですね。
山田塾様が釘が嫌いだなんて、想像もできませんが…
(^^;
続きのお話が楽しみです。
今年もたくさん為になるお話期待しております。
ピンバック: 販促の変人