7月29日、大阪で開かれたパチンコ情熱リーグのセミナーで講師として登場したのがパチンコ富士の恩田泰久副社長だった。
広告宣伝の規制が強化される中、新台入替えや出玉イベントに頼らない富士の営業手法は非常にタイムリーでもある。
年間40~50回の講演をこなす恩田副社長は、函館の観光大使の役目を果たしている。「パチンコ富士に来るついでに函館の観光もしてください」とアピールするように「地域密着」経営を実践している。
たとえば、地域密着を標榜する富士のチラシがこれだ。


はこだてもりあげ隊朝市実行委員会のメンバーでもあるパチンコ富士は、毎週日曜日、自社の駐車場を使って朝市を開催している。
時間は午前9時から10時までの1時間。それが上記のチラシだ。
人、物、心の交流の場、出店者と来場者の交流の場を提供することが目的で、すでに90回以上開催されている。
市民と地元企業で地域を「豊かに」したい、という思いがこのチラシに込められている。
モノクロ1色、B4のコピー用紙で作られたこのチラシは、折り込みチラシが全部カラーなので逆に一番目立つ。
そして、コピー用紙を使うには訳があった。紙に腰があるため、チラシの折に使ってもらえるので、このチラシが一番上に来て地域情報が目立つようになっている。
一見すると安っぽくて貧乏臭いチラシであるが、そう思われた時が最大のチャンス、と恩田社長は捉え「だから玉が出せるんです」と切り返す。
建物はかなり古い。というよりボロボロといった方が近い。それを「古色蒼然」と呼びかえる。
金がかかるものは一切排除しているので、手動ドアである。
パチンコ富士の特徴の一つが一般景品の豊富さ。その9割以上が地元で生産された商品で占められている。
白菜、ねぎ、ダイコン、活けホタテ、エビ、ホッケの開き、と生鮮野菜から魚介類まで。醤油やジャムもすべて地元の商品で、掛け率が5掛け以下なら基本的にOK。
さらに、端玉景品は地元の授産施設で作られたクッキーや珍味。取引のある授産施設の数だけでも16施設も。
授産施設の商品だけでなく、身体障害者も6名を雇用している。
授産施設の端玉クッキーは、当初は客からは気持ち悪がられて、捨てられることが多かった。そこで社員が授産施設に取材に行き、製造現場を見学して、改めてカウンター係が「無添加で安全」と勧めるようになると捨てられることもなくなった。
地元密着ぶりを実践していることが十分伝わってくるが、古き良きパチンコの原点を感じさせるパチンコ富士の原点とはなんだったのか?
「実は原点の先に行けなかった。等価に潰されると思い2.5円交換で立ち止まっていただけ。今では函館で2.5円で遊べるのは富士だけになった」(恩田副社長)
金も人材もいない中小企業の生き残りのヒントがパチンコ富士には満載されている。
ここ3年間、新台は1台も買ったことがない。
買わなかった、というより買えなかった。
中古でも古い海を導入した場合は、お客にこうアピールする。
「安定した人気があり、5個戻しで、1回の出玉が多い」
富士の常連ならそんな古い台でも初めて打てば新台である。
今でも必死で生き残ることを実践しているパチンコ富士は、18年前に始まった「共育」との闘いであった。
客を騙してのギャンブル業という思考、社員間では陰口やイジメ、殴り合いもあった。
それが人間尊重経営によって少しずつ変わって行く。
つづく。

端玉のクッキー
なんか凄く美味かったので、わざわざ数枚別に取って友人にあげたら喜ばれた記憶がw
たしかにここの一般景品は凄いですね
地元に住んでいたらかなりテンション上がるようなセレクト
美味そうなモノがたくさんあります
朝採りの野菜とかもあったな
旅行中だから手を出せなかったのが悔しいほどw
恐らく続きに書くのでしょうが、従業員に色々な社会見学をさせてそのレポをホワイトボードにまとめさせていたのも面白かった
NHK教育の番組とかをボード一枚にまとめた感じで分かりやすかったですね
私が言うのもなんですが、他のパチンコ企業と違って従業員に社会参加の機会を積極的に与えているように感じました
経営者が従業員をきちんと社会的に育てようとしているようで、決して「使い捨てのコマ」的な扱いをしていないように感じました
メールも特定の役職が発行ではなく、数人で交代、しかも名前入りでの発行
そのメールも一番上に来るのは地元企業や地元イベントの紹介です
自社の話はやっつけかと思うくらい後半にちょろっとw
先日のエントリじゃないですけど、横並び体質からはもっとも遠い位置にあるお店ですね
あ、そうそう
震災時、及び数日間のメールとかも非常に人間として「まともで常識的」なものでしたね
ピンバック: 三角形
http://blog.livedoor.jp/rasin/archives/2007-10.html
古い記事ではありますが上記URLが写真もあって詳しいですね。
私もこれはひとつの理想形だと思います。地域密着&福祉&コミュニティとの融合。必要とされるパチンコ屋。
“金も人材もない”かもしれないけど、”心”はふんだんに詰っている(笑。
逆にたとえパチンコ全体が社会の標的になっても、富士には地元住民が守ってくれるような力強さを感じる。
結局、お客さんが店の味方になってくれる密な関係を築けてるんですよね。
以前、地域密着を時代遅れと仰る方がいましたけど、私は時代遅れなのは”地域密着を謳った押しつけ”だと思っています。
例えば”買ってくれよ”はいいけど、買った方には明確なメリットが無い(見えない)ような一方通行なもの。
共存共栄を計ったもの、嫌らしい言い方ですが「ギブアンドテイク」は絶対に必要だと思うわけです。
その意味では「自店を選べば何がお客さんにとってメリットがあるのか」を整理し実行していった先に富士は存在すると思います。
そういえば、以前地元に「海で地域活性化」なるのぼりをかかげていた店がありましたね。
当然ですが、その店の海にお客さんはいませんでした(笑。
そりゃ、そうだ。意味がまったくわかんない。海と地域活性化が結びつく根拠も述べられていないわけですから。
説明できないのなら、もっともらしい文言使うなと思いますね。
ピンバック: ちらし屋
九州某地域…
当局の指導によりしばらくの間イベント等の宣伝広告を自粛させていただきます。
Pワールドの更新順位にも多少変化があるようです。
ピンバック: 通行人
感謝です。
本当に上手く伝えていただいていますね
昨年、函館で恩田さんから講演の依頼をいただいた時に意気投合して今回の講演を企画しました。
多くの人に聞いていただきたい内容だったので取り上げていただき感謝です。
ありがとう
ピンバック: 木山修助
僕自身、新台の入替が
客に対するサービスだ
とは思ってないので、
パチンコ富士のように
新台入替をあまりせず
、出玉で還元しようと
する店は大賛成です。
新台入替すると、その
機械代は、客に来る訳
だし、大型店に見られ
る、大量入替などその
台がヒットしなかった
ら、また入替でその分
客にしわ寄せ来る訳だ
から、新台入替頻繁に
する事が、客へのサー
ビスと考えている店は
勘違いしています。
ピンバック: サンダードラゴン
でも入替しないと確実に支持を失って、
翌月の経費も捻出できなくなるようなホールが少なくない中
「富士流のやり方に移行するタイミング」
ってのには言及されてるんでしょうかね。
現状独自の地位を築いてて、それが取りざたされているも、
恩田氏は結果こうなった的な事も述べられてるわけで。
入替合戦から脱却できて利益もあげられりゃ、そりゃ言うことないですけどね。
依然新台が支持されている現状に対して、
「こんな価値がありますよ」って謳ったものが受け入れられるまでの痛みとか
現存する構造的な歪みに言及しないと意味ないと思うんですよね。
ピンバック: うーん