これは今は現役を退き、ホール経営は2代目にバトンタッチした会長が積年の思いを綴った投稿だ。書いたのは今から9年前。その時の提言が現実味を帯びてきた。
以下本文。
ほんの数年前には「年商30兆円の巨大ビジネス」とマスコミに持て囃され、政財界をはじめ、各方面からも注目を集めるなど大いに男を上げたパチンコ産業だった。
だが、その後、偽造プリペイドカード横行して社会問題に発展、また、一部CR機が射幸心を煽りすぎるとして規制が強化された。
これがケチのつき始めで、追い討ちをかけるように「平成大不況」が続き、ホールの倒産増加、年商の大幅減額で、今では「パチンコは落日の産業への道を辿りはじめた」とまで言われるほどの凋落ぶりである。
この数年来、余暇を楽しむにはほど遠い環境にあり「レジャー白書」によれば、余暇産業への参加人口は、年々減少の傾向にあるという。
パチンコの愛好家も確実に、しかも大幅に減少しているが、パチンコ愛好家の減少は、果たして「余暇を楽しむには、ほど遠い経済環境」だけが原因なのだろうか。
今、パチンコ愛好家の大幅な減少や業績の不振を経済環境に原因を求め、やむを得ないと結論づけてしまうことは、安易すぎるのではなかろうか。
かつて、「パチンコは庶民のささやかな娯楽」であり、大衆の中にどっしりと根をおろした結構おもしろい遊びだった。
それだけに世間の好・不況に左右されることが非常に小さい娯楽であり、そんな事業であることをパチンコ業界は誇りにしていたこともあった。
昨今のパチンコは「ホール(営業店)」の努力が奏功して、サービスというソフト面も至れり尽くせりになり、施設・設備も充実し遊技環境は格段に向上した。
しかし、反面、ハード面が高度化し、ホールの設営に多額の資金が必要となり、投資資金の回収上、必然的に賭博的要素の強い営業政策のホールが多くなった。
この結果、パチンコ愛好家の間からも「この頃のパチンコは少しも面白くない」という声が聞こえて来るようになった。
日本人の個人の金融資産はおよそ1400兆円である。この個人金融資産から住宅ローンなどの個人負債総額を引いた純金融資産の70%は、60歳以上の高齢者のものである。
ハードの高度化は、かつて単純な遊びだったパチンコを難解な遊びにしてしまい、この金持ちの高齢者たちが楽しめない遊びにしてしまったのである。
いわば、パチンコのハード面の高度化は、顧客ターゲットを間違えた結果の所産なのであり、それがパチンコの愛好家や参加人口の減少に拍車をかけることになったのは自明の理である。
なぜ、マーケティングの基本である「顧客ターゲット」を読み間違えたのか。原因の一つは、パチンコが儲かる事業だということで、業界の本当の動静を熟知していない「他業種」からの参入の増加が、歩むべき道を誤らせたのである。
そして、決定的な誤りは、ハードメーカーの姿勢である。
本来、メーカーはユーザーのニーズを調べて「物」を創り、売るものである。
とことが、パチンコ業界ではユーザーである「ホール(営業店)」のニーズなど調べた試しがないのである。
プリペイドカードの一件、一部CR機の規制強化で露呈したようにハードメーカーは、円滑な許可を得るために「許認可権」を持っている「行政」の顔色だけを伺い、さらにメーカーだけの利益を追い求めてハードを製造しているのである。
そして、パチンコ愛好家はもちろん、ビジネスの要を担うホール不在のシステムが出来上がってしまっているのが、今のパチンコ業界なのである。
各方面、各段階で規制緩和が叫ばれ、具現している今日、巨大産業であるパチンコビジネスだけが世の中の趨勢から取り残されているのが現状である。
この辺で行政、メーカー、ホールが一体一元になって、今日を反省し、未来を思考しないと、パチンコビジネスそのものの未来が無いことを厳に認識すべきである。
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