大阪府堺市の「P-ROOT CASINO」(552台)は、平日6割、土日7割稼働で、グループ8店舗の旗艦店でもあった。

それは、2013年までの話だった。同年12月末、隣接地に全国大手の1200台の新店がオープンしたことで、平日、土日とも稼働が2割落ちた。P-ROOT のお客さんの2割は新店へ流れて行った。

競合店がグランドオープンする2カ月前に転勤してきたのが川崎店長だった。
秘策はあった。台数でも設備でも負けても、人は感情の動物である以上、人によって動く。差別化できるのは人材面で戦うしかなかった。ところが、旗艦店の割にはできていないことだらけだった。
「今のままでは勝てない。お客様との強固な信頼関係も出来ていない。まず、基本動作の見直しからしなければいけない。決意のない者は去ってくれ」と檄を飛ばした。
まず、心掛けたことは形から入ることだった。接客に対する考え方から始まり、笑顔の出し方、立ち方、声の出し方を一から徹底した。教えるだけではスタッフは付いて来ないので、自らが手本を示すために、ずっと現場に立ち続けた。
しかし、スタッフからは「なんでこんなことをせなあかんの」と反発する声が挙がった。
競合店がオープンするまで残された期間は2カ月。あまりにも時間がなさすぎた。
案の定、競合店がオープンすると稼働が2割も落ちた。
スタッフたちは「やられた、無理やな」「このままでは潰れる。隣で働くか?」とすっかり自信を失くした。
形を徹底的に拘り続けたある日、「浮気していたけど戻って来た。やっぱり、あんたとこの店が好き。隣に負けたらあかんで」と常連客が戻って来た。

それから1人1人と常連客が戻り始めた。
スタッフはいう。
「この時の叱咤激励の言葉が私たちにパワーを与えてくれた。お客様が私たちを必要としてくれている。それが意識と行動を変えてくれた」
こんな気持ちが芽生えるまでに半年を要した。
この時改めて川崎店長が掲げた目標が「日本一の店舗。情熱リーグ制覇」だった。
そこでも、まだ目標を理解していないスタッフもいたが、全員が理解すると、どうやったらお客様が喜んでくれるか——アルバイトスタッフ自らが考えて行動するようになった。
これが成果となって表れた。成果が出るから続けることができる。この変化が一番大きかった。
お客様に喜んでいただくための「サービス」、もっと良くなる「改善点」を話し合うアルバイトスタッフミーティングは、毎日欠かさず行われており、現在進行形で820日にも及んでる。
スタッフはお客様の挙動を見逃さない。出入口にも常に目を光らせ、雨降りの日に濡れたお客さんの元にはタオルを持って走る。
お客様情報を共有するための「お客様カルテ」作りは、珍しいことではないが、同ホールはそれを徹底することを武器にしている。カルテを作る目的は来店動機にしてもらうために情報を集めるが、これを元に、より高いコミュニケーション能力を磨くことにある。

今では553名分のカルテが出来上がっている。
いつも自転車で来店するお客さんに夏は冷たいオシボリ、冬は暖かいオシボリをそっと差し出す。

「接客をよくしても稼働は上がらないという言葉をよく耳にする。お客様目線でひたすら考え、悩み、妥協なき行動に移した時に、台数や設備、新台の数で太刀打ちできない大型店が誕生しても、スタッフ1人ひとりが、『また来たい』と作っていったから、お客様が戻ってきてくれた。スタッフの想いが今の稼働を作っている」(川崎店長)
稼働率で最大36%も差を付けられていたが、今は拮抗するまでに稼働が回復している。

接客とは笑顔だけではない。接客の奥深さが顧客にも伝わることで稼働が上がることを教えてくれる。

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これはエグイ出店戦略ですね。規模からいけば、地場の中堅スーパー
の隣に大手のショッピングモールが出来たようなものでしょうか。
こちらのマルハンさんも地場中堅店から車で30秒かからない所に
ありますけど、なんとも強烈な力の論理と感じます。
>浮気していたけど戻って来た。
>それから1人1人と常連客が戻り始めた。
きつい言い方かもしれませんけど、ぶっちゃけ、マルハンさんが
出さなかったかあるいは浮気が本気になる前に回収にかかったか
らじゃないでしょうか。正直、マルハンさんの釘はきつい(自身
も休日に遊びに行く時は周辺の4店程で甘海の打てそうな台を探
して遊んでいるのですが、マルハンさんに落ち着く頻度は低いで
すね。)「これなら、行きつけていた店の方がいいな」と思う気
持ちは解ります^^;
>アルバイトスタッフミーティングは、毎日欠かさず行われており、
>アルバイトスタッフ自らが考えて行動するようになった。
ここには具体的に書かれていませんけど、それを実現した川崎
店長のアルバイトに対する働きかけも相当なもので、現在も実
践が続けられているのでしょうね。そもそも「正社員並みの責
任は負わない(負わせてはいけない)」のがアルバイト(非正
規雇用)で、また待遇が良ければ他店に移るのも自由なはずで
すから、彼&彼女らのモチベーションを維持して待遇面でも不
満のない、あるいは将来解消していける状況を実現している川
崎店長と正社員の方の行動力も接客自体の質に劣らず素晴らし
いと思います。後は(人材の流動は不可避ですから)これを
今後どれだけ維持していけるか、ですね。吉報が続報になる事
を期待しています。
もちろん、マルハンさんも頑張ってください。遊ぶ側にとって
選択肢は多いほどうれしいですから。これだけの至近距離で
潰しあいにならずに共存できるとしたら、それも凄い事例にな
りうると思います。
ピンバック: tameiki
接客も大切ですが台の状態や選定も大切だと思います。
現在は両店共に通っていません。私のように車で移動する客は自分にとって遊びやすい店を見つけると気軽に移動します。
ピンバック: あさ
集客するには顧客離反を止めないとね。
ピンバック: 1エンドユーザー
でも、自身は大手さんに良く行きます。
何だか、過剰な対応なんで、嫌気がさしてます。ある程度ならば、問題ないんですが、やっぱりお金がかかってますし、大半の人間が景品の一つも持って帰れないんですから、過剰な対応されると、何だか腹立たしくなります。適度に対応してほしいよなぁ。やりすぎだわ。
ピンバック: りょうが
マルハンは近くに出来て半年間で仕事帰り80万勝ちましたがその後のリニューアルで期待通り見事ぼったくり店に変身
その後は5回位トイレで寄ったけどぼったくりホイホイなんで行きませんよ
こことは、違いますがよく似た状況はありますよ
所詮儲ければ店舗増やすだけのぼったくりグループなんで頑張れるぞ
ピンバック: ボッタクリからボッタクる方法
業界は違いますが、自分の仕事にも応用したいと思わされますね。
ピンバック: カニミソ
ガンガンこられるとちょっと引きます。
最近接客の向上のネタが多いですが、そんなことよりも花火に高設定をいれてみてください。BIG中にハズレが出れば「この店ちゃんと設定入れてるんだ」という体験ができます。この体験が数機種であれば、客は高設定を探すようになります。パチスロは宝さがしみたいなものです。
探し当てた過去の成功体験が多い店に客は集まるのです。
自分の近所にはすごく愛想の良いキレイな店がありますが、花火でハズレが出た経験がありません。
自分的には完全に店への信頼は0です。
成功体験が多ければ客は必ず宝探しに戻ってきます。
ピンバック: rambo
店にとっちゃそれでいいんじゃないの?
ずっと抜ける、でも来てくれる。まさに理想のカモネギ。
俺のコメを店側から解釈したらそうなるね。
永久に入れる訳ないだろう。あなたみたいな人がいる限り。
それによってあなたが取りうる最良の手段は
他の店に行く事じゃないの?
抜きまくってる店に近づかない、ってのは
普通の立ち回りかと思うんだけども。
それでもその店に行きたい、ってなら負けても納得する事ですね。
ピンバック: 嵐雪達磨 (@emofuton)
パチンコ店に自分の顔と名前なんて覚えていてほしくないのだが
常連の特に年輩層はそうでもないのかな
ピンバック: 辛酸なめ夫
稼動を比較するんだったら設定状況とかも公開してしかるべきなんじゃないの?
還元については無視っていう暗黙の了解でもあんの?
もちろん出玉出玉じゃなくて還元を起爆剤にして接客で定着とか合わせ技もあるわけだし
ピンバック: 馬鹿の壁
働く側の意見としても時給が近隣店舗とさほど変わらないのなら絶対に働きたくないのですが。
ピンバック: カフェオレ
CS=顧客満足度じゃないんでしょうか?
この記事を書いている方の意識レベルが知れますよ。
近所に大手が出来た時の事。
大手グランドオープンの際にはやはり大手に客は流れましたが、1ヶ月位後、マイホの客は、ほぼ戻りましたよ。
マイホがやってる事。
大手が釘をあけ、設定を入れれば、マイホも同じ様にする。
ただ、それだけです。
勿論、なんの手立てもしない店の稼働は下がったままです。
ピンバック: 通りすがり
あるある探検隊ですか?(笑)
なんだかんだこの手の接客も浸透しましたね。
もう「オジギより玉出せ」みたいな杓子定規な意見も減ったでしょ?
完全な大手の戦略勝ちですね。
ピンバック: 横並
平日朝、出勤前のサラリーマンが食事に来店。
何人かはほぼ毎日、同じ席に座り、同じものを注文し、食事し、新聞を見て仕事に行かれます。
卵焼きの焼き方は固めとか、サラダのドレッシングは何かとか毎回同じでフロントのスタッフの頭には全て入っています。
厨房ではそのお客様の方々の顔は見たことがないのですが、毎日作っていると、その日常を壊さないようにと自然と感情が入ったものです。
常連、固定客を掴むのはその何気ない日常をうまく演出することにあるのかな、と記事を見て昔を思いました。
ただ、ぱちんこは勝ち負けがあるのでそこもうまくやらないといけないですね。
記事の店、稼動が6割もあってそんなことができているのならすごいことです。個人的には全国ではやっている変な作り笑顔は嫌いですがね。
ピンバック: 山
抜けるからいつまでも抜いたらいいとか思ってるんだろうか?
ピンバック: 嵐雪達磨 (@emofuton)
今の業界には「余程の事」が必要なのでは。
ピンバック: 金魚鉢
業界のみなさんはご満足でしょう。
もう諦めたんですよ^^
ピンバック: 無名のパチンカス
業界人に熱く語っても意味ない。
ピンバック: 虎