どの業界のメーカーもそうだが、新製品の発売までは、企画書の立ち上げから設計を経て、完成までは数年かかる。
それらの期間をパチンコ機で2年と仮定した場合、発売時の諸事情とタイムラグが2年間あることになる。
その間に調整をしながら、発表までにこぎつける。
家電や自動車の開発ならば、エコの時代に入っているので、熱効率の良い製品を開発することが求められる。
自動車なら1%でも燃費が良い製品、冷蔵庫なら電気代が安くなる製品の開発がポイントになる。
これは開発陣にとっては、目に見える数値目標を科学的に突き詰めて行くことができる。
しかしパチンコ機の場合は、それらの開発とは違う。
発売する製品は、基本的に技術を向上させる開発とは違う。それは発想との戦いだ。
どの製品でも発想は重要だが、パチンコの場合は、発想を演出関係に重点を置く傾向があり、自動車や電化製品と大きく異なる。
従って、市場受けする製品かどうかは、パチンコやゲームソフトの場合は、発売してみないと分からない面がある。
自動車の場合、大ヒットは予測できなくても、最低ラインの予測は可能だ。
しかし、パチンコ機の場合、大きな版権モノを除けば、最低ラインさえも切る機種も多い。
だから、パチンコやスロットの開発陣は、自動車産業の開発陣よりも大きなプレッシャーを感じている。
ヘタすると、会社が傾く可能性もあるので、尚更、力が入ることだろう。
遊技機メーカーは、上場企業と非上場に分かれる。
実はこの業界を大きく変貌させたのは、このメーカー上場が一つの原因でもある。
昔の低価交換やラッキーナンバー制を含めて、昔を懐かしむことが多い。
しかし、その時代は、二度と戻ってこないだろう。
20年前にくらべて、2倍以上になった機械代。
これを下げてくれ!と嘆願するホール側の声が聞こえる。
ならば幾らくらいにして欲しいのか?
これは組合は戦略的に物事を行なう必要がある。都遊協の40万円発言もその一つだろう。
この40万円の件で組合に提言した時、組合「批判」と受け取った関係者の方もいらっしゃる。
受け取り方は自由だが、私は批判したつもりはない。
私が他の業界にいた時の目線から語ったものが、その様な誤解を招いたのだろう。
いずれにしても、業界各所から仕事を頂戴している訳ではないので、私は私の主張を書くだけ。
ある仕事の依頼を頂戴したが、受けてしまうとパチンコ日報で好きなことが書けないのでお断りした。
依頼主の方には申し訳ないと思っている。この場を借りてお詫びする。
現行販売されている機械は、本当に良くできていると思う。
各メーカー共に、実力を出し切っていると思う。
稼働が伸びない機種でも、その時のメーカーの実力一杯の内容だと思う。
確かに、ホールやお客様側から見たら、もっと言いたいことがあるだろう。
でも、考え方を変えて見ると、それがその時のメーカーの最大限の実力だ。
10年前、あるメーカーの開発さんとこんな会話をしたことがある。
「私たちのアイディアは、発表寸前まで秘密にしなくてはならない。それが独自性であってパチンコ開発に大切な点」と開発さん。
加えて、「販社の営業やホールからの意見を聞いていたら、その独自性が薄らいでしまう」とも。
つまり同じ開発の仕事でも、製品が違えば、開発のアイディアを得る策も違うのだ。
メーカーはこんな状況の中、上場と非上場に分かれている。
先にも書いたが、上場メーカーの影響で、パチンコ業界は大きく変わってしまった。
上場する意味は、株主にも気配りが必要になる。
経営者は自社の株価を上げる努力も必要になってくる。
前年比で、売上や粗利や営業利益などを落としてはならない。
前年比で落ち込まない様にするには、新製品を数多く手掛けることが重点的に行われるようになる。
過去、年間の製品数が1社あたり2機種まで、と制限された時代もあった。
今はそんな事はない。
上場企業は、売れる価格を設定して、売れる時にできるだけ高く売るのは当たり前のこと。
これは非上場企業にも同じ事が言える。
上場企業の出現により、メーカーの考え方が変わってきて、それがメーカー間のバランスに影響して、非上場企業もその競争に巻き込まれる。
シェアや機械代金や販売方法にも影響を及ぼしている。
ホール側が、機械代を安くして欲しいと要望を出しても、上場企業はそんな理由で、そう簡単に安い機械を出すことはない。
非上場メーカーも、人気機種を抱えている会社は、それに乗ることが可能だ。
ならば、非上場の中堅メーカーが、安い機種でヒット作を出すことが、ホール側には重要となってくる。
本当にホール側が、機械価格を安くしたいのなら、こういった目を養うことも必要だろう。
現状のままなら、売れる機種を抱えるメーカーは、価格を下げる必要がない。
特に上場メーカーなら、尚更。株主の目があるから。
ましてや、このご時世。機械の販売台数が減少気味になっている。
今まで1ボックス購入していたホールが、半分にするケースも多い。
販売台数が25%減と言われるが、これから先はどうなるのか。
つまり、メーカーは今のままのコスト管理では、販売台数が大幅に減少していることを考えたら、遊技機の価格を下げる事は基本的にはしない。
そこで壮大な構想の話がある。
つづく

今日の記事を読み、元店長さんがホールに言いたいコトがわかりました
アリガトウ
ピンバック: 菊正宗
ホール関係は、機械価格を下げろと要求しても、そう簡単に下げられない事情を加味して要求せよと言う事ですね。
それを踏まえての都遊協の40万発言だったのでしょうかね?それなら歩み寄り杉です。
ピンバック: ANA
私がまだ機械を購入する立場にあったころ、遊技機メーカーが「売れ残り」を抱えることは当たり前のことでした。これはメーカーである宿命とさえ言えるかもしれませんね。
実質的には「受注生産」に近い現在の販売方法に違和感を唱える人もめっきり減ってしまったようです。
現在の遊技機の販売、いえ購入実体はゆがんではいませんか?
ピンバック: ロートル
機械高騰の原因を知らずに
機械価格下げを要求することの愚かさがありますね
ピンバック: 乙津
ぜひ各社の特徴がある機種が出てほしいです。三共がパトラッシュを出したときは「やるな!」と思いました。価値ある商品は高くても買う時代です。パチンコの価値は版権だけじゃない!と思いたい今日この頃です。釈迦に説法ですがコストダウンはがんばってほしいです。
ピンバック: 普通の店員
その3は何時頃になりますか?
ピンバック: ナンニャ
乙津さん
機械代高騰の原因は何であるとお考えですか?
「機械メーカーとホールは車の両輪である。」とすれば、こんな車、タイヤのサイズが違いすぎて走りにくいですね。
買い手であるホールが売り手であるメーカーに気兼ねしなければいけない本質的な理由は何でしょう?
ピンバック: ロートル
ロートルさんこんにちは。
>>「機械メーカーとホールは車の両輪である。」
これは現状ではありえませんね。
>>気兼ねしなければいけない本質的な理由は何でしょう?
これは販売方法などの圧力だと考えます。
この2点、力関係はメーカーが上になっているので、ホール単体では無理が多過ぎます。
かと言いましても、組合が抱き合わせ販売是正を求めても、現状では水面下で形を変えて行われています。
私はホール側がメーカーを長年野放しにして、何も言わないでいたツケと、
メーカー側が、何も言わないで機械高騰を野放しにしたホール側を、甘いと見ているのが、機械高騰の原因だと思います。
それを機械価格が30~40万円になってから文句を言うホール側は、時既に遅しですよ。
ピンバック: 開門
開門さん、コメントありがとうございます。
>私はホール側がメーカーを長年野放しにして・・・
私も同様に考えています。
それゆえに、時間をかけてでも表現方法を変えてでも、要求し続けなければどうにもならないと思うのです。
まだまだ「あの手この手」試しているとはいえないんじゃないかな。
>「機械メーカーとホールは車の両輪である。
ホールの新年会等に招かれたメーカー幹部の常套句ですね。
ピンバック: ロートル