高度成長期から平成初期にかけては、人口も最盛期には3万3000人を数え、街には活気が溢れていた。そんな時代、駅前から幹線道路沿いにかけてホールは6店舗が並び、工場帰りの労働者でにぎわったものである。
しかし今、その街の人口は2万5000人。わずか数10年で8000人が減少し、それに呼応するように遊技人口も縮小の一途をたどった。結果、現在残っているホールは駅前の1店舗だけ。かつてのにぎわいを知る人々にとっては、隔世の感を抱かざるを得ないだろう。
興味深いのは、1店舗しか存在しないにもかかわらず、いまだに「単組」が存続していることである。本来、複数店舗が集まり意見を交わすことで意味を持つ単組だが、1店舗だけでは組合活動など形ばかりにすぎない。しかし、コロナ禍で全国的にホールが自粛要請を受けた際、この“単組”が思わぬ役割を果たした。
「組合会議の結果、通常営業を続けます」――。そう決議したのである。
全国的に休業の流れが広がる中で、周辺の組合からは「どうなっているんだ!」と抗議の声が殺到した。しかし当の単組は、会議といっても出席者は1社1店舗のみ。「会議の結果」とは、要するに自分で決めただけのこと。周囲の批判を意に介さず、平然と通常営業を貫いた姿には、苦笑するしかなかった。
問題はこの先である。1店舗単組では、もはや組合としての機能を果たすことはできない。そこで隣接する市と組合を統合しようという話が持ち上がった。合理的に考えれば当然の流れに思える。しかし、意外なところから反対の声が上がった。それが所轄警察だ。
新台入れ替えの検査や書類処理といった事務手続きの負担が軽減されるはずなのに、なぜか所轄は統合を嫌がる。縄張り意識の表れなのか、それとも別の思惑があるのか。
「他所の警察に検査に来られるのは面白くない」といった心理的抵抗が根強いのかもしれない。組合統合という小さな出来事にさえ、警察組織のメンツや序列が絡むあたり、日本的といえば日本的である。
しかし、大局的に見れば、地方都市からホールが消えつつある現実は変わらない。人口減少と遊技人口減少という二重苦の中で、今後も店舗閉鎖の波は確実に広がる。その先には、単組の統廃合、さらには業界団体そのものの再編が待ち受けることになるだろう。
地方の駅前にポツンと残る最後の1店舗。その背後には、産業構造の変化、人口動態の変化、そして組織の縄張り意識という、いくつもの時代の歪みが折り重なっている。
パチンコホールが町の風景から消えるのは時間の問題かもしれない。しかし、本当に問われているのは、ホールが消えたあとに地域が何を残し、何を失うのかということだ。
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自分の住んでいる所も似たような人口だったが今や減少の一途。最盛期はここでも6店舗あったが、今や郊外に中小チェーン店の1店舗を残すのみ。
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