従業員に日報を書いてもらって2カ月もすれば色々な情報が入ってくる。
・BGMが煩い
・エアコンの効きにムラがある
・あの従業員の態度が悪い
・出ない!
最初はこんな苦情が多いが、中にはキラリと光る声も出てくる。
いつも羽モノで遊んでいる坂さん(仮名)は、リハビリの散歩を兼ねて来店していることを従業員に話した。
それから坂さんと従業員へのヒアリングから分かったことはこんなことだった。
坂さん(55歳)
・元会社員
・1年半前に脳梗塞で倒れ、右半身に麻痺が残る
・退院後リハビリに通うが、時間をもて余すようになった
・自宅から2キロの当該店に通うようになる
最初はパチンコ遊技が目的ではなく、地域のランドマークだったパチンコ店まで歩くリハビリのために来店していた。
杖を突きながらなので、2キロを1時間半かけて歩く。
パチンコをしないで、トイレを使うために来店して、店内の自販機で牛乳を飲む。
はじめの数カ月はこの繰り返しだった。
坂さんのパチンコの経験は、手打ち時代に数回遊んだ程度だった。
今のパチンコは未経験だ。
来店回数が増えれば、遊技してみたくなるのも当然だ。
坂さんは事情を従業員に話し、どの機種で遊技すればいいか相談した。
その時に勧められたのが、羽モノだった。
それからは雨が降らなければ、毎日来店して遊技するようになった。
これで自店に対するお客様の生活導線が一つ増えて、さらに太くなった。
しかし、話はまだまだ続く。
坂さんは、毎朝開店前に到着する。
体調がいい時は2キロを1時間10分、普通の体調の時で1時間半、体調が悪いときは来店しない。
早めに店へ着いた時、坂さんは開店までの時間が辛いと話していた。
2キロも歩いた後、杖で体を支えて待つ時間が辛いのだ。
そこで店は坂さんのために、丸椅子を用意することにした。
坂さんのためだけではなくて、他のお客様にも座って待ってもらおうと全部で10脚用意した。
これが好評だった。椅子の数は徐々に増えていった。最終的には日曜日の朝は40脚にまで増えた。
お客様は開店を待つ間、立っているのは辛いのだ。
競合店にはないサービスの誕生で、朝からの来店者が増えたのはいうまでもない。
(ただ、最近はこのサービスすら組合から横槍が入るケースもあると聞く。お年寄りなどの弱者に対して何を考えているのか?)
ただ椅子を用意すれば集客できるわけではないことはお分かりだと思うが、要は、お客様の立場で考えることの大切さとこの志を大切にして欲しい。
こんな細い、細い糸を紡いで太くする。
丸椅子作戦は小さな事例の一つだが、些細なことに敏感な感覚を持つことは、サービス業では当たり前のこと。これからのパチンコ業界でも不可欠の要素となる。
開店前の話題をもう一つ。
お客様の待機場所は店舗によっても違うが、もしBGMを流すことが可能な場合ならこんな工夫ができる。
あくまでもヒントなので、自店に合わせて考えてもらったらいい。
以前、前置き編で「小谷田さんの様な日曜の朝からパチンコをするお客様の頭に、真っ先に自店が思い浮かぶようにさせよう」と書いた。
そこで、開店前の朝のBGM.にTBS系列日曜朝8時から放送中の「サンデーモーニング」のオープニングテーマを流す。
この長寿番組のテーマ曲が、日曜朝の食卓で流れると、自然とその店舗を連想させる戦略なのだ。
継続することで効果が上がる。テレビCMの露出効果と同じなのだ。
以前私が店長をしていた店舗では、夜8時からのイベントタイムの曲を東京ディズニーランドの「エレクトリカル・パレード」に決めていた。
その店は千葉県にあったので、TDRへ行く地元の人が多かった。
ある日、常連の男性から「店長聞いてよ。子供を連れてTDRに行ってエレクトリカル・パレードを見ていたら、この店を思いだしちゃったよ!」といわれた。
つまり習慣の継続性はそれだけ大きな効果があるのだ。
習慣とは「生活導線が太い」ということだ。
前もって断っておくが、ギャンブルを習慣化させるという低レベルの話ではない。
自店に対して習慣があるお客様のことをよく知り、より理解を深め、より大切にせよ!という話である。
続く
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