しかも勤務地は県内。引っ越しの必要もなく、家庭にも影響を与えない。これほど好条件の話はそうそうないと判断し、彼はほとんど迷うことなく転職を決めた。
しかし、その決断は、すぐに大きな後悔へと変わる。
着任したホールを初めて視察したとき、彼は一抹の不安を覚えた。店内は古びており、稼働も芳しくない。スタッフの動きには覇気がなく、接客も雑だった。だが「自分が来たからには変えてみせる」と最初は前向きだった。
本格的に業務に関わるようになると、その期待はもろくも崩れ去ることに。社員の多くは業界経験が浅く、基本的な遊技機の知識もあやふやだった。接客教育をやっている形跡もなく、客からのクレーム対応一つ取っても要領を得ない。中には、客と口論を始めるような社員もいた。
以前の職場では、正社員はもちろん、アルバイトにも教育が施され、日々の業務をきちんとこなし、客との距離感や遊技機のトラブル対応にも慣れていた。シフト管理も徹底していて、売上目標に対する意識も高かった。
ところが、今の職場は、まるで組織として機能していない。むしろ彼が入社して初めて「上司らしい上司が来た」と現場でささやかれるほど、管理体制は崩壊していた。
中でも厄介だったのは、オーナー企業特有の「金は出すが口も出す」体質だった。現場の声を無視して好き勝手に施策を決め、失敗すれば責任は現場任せ。設備投資もろくにせず、客離れの原因すら正しく把握していない。数字だけでホールを評価し、「出玉で釣れば客は戻る」と短絡的な思考に固執していた。
店長は思った。
「これは1000万円もらっても割に合わない」
むしろ前職の方が、収入こそ若干劣っていたが、組織としての一体感があり、なにより信頼できる仲間たちに囲まれていた。数字をつくるプレッシャーは今も昔も変わらないが、職場の“空気”がまるで違っていた。
「前の店に戻りたい」——何度もそう思ったが、一度辞めた身が簡単に戻れるわけもない。後任も決まり、かつての部下たちも新体制に慣れてきているはずだ。何より、裏切り者のように見られることが耐えられなかった。
年収1000万円の甘い誘いは、実態を見抜けなかった自分への皮肉な報酬だった。パチンコ業界に限らず、年収の多寡だけでは測れない“現場の地獄”がある。それを学ぶには、あまりにも高すぎる代償だった。
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こんな事は入社を決める前に、一度でも客として店に足を運べば分かること。
というより、同じ県内なら組合関連も含めて何かしらの情報は入るはずです。
そもそも年収800万円の店長って、業界ではかなり上位クラスの給与水準。
そのレベルの人が店の状況を調べずに転職するのって感じですね。
ピンバック: 疲れ目
彼が本当にオーナーなり代表なりだったならこんな糞店なんだろうな、の典型なのだが。
冗談はさておき、後悔先に立たずの良い例になってしまってますな。
疑問なのはそんな1ランクも2ランクも劣る企業なのに年収は200万アップなところですかね。
金は出すから口答えするな!ということでしょうかね。要するにオーナーに都合が良い店長をおきたいだけだと。そう考えるとまさにどんぶり君…。
今までの店長は牛に逆らったから辞めさせられた?
うまい話には落とし穴があることを見抜けなかったんでしょうね。
根が真面目な人なら耐え難い環境でしょう。
朱に交われば、でうまく適応していくしかないのかと。
ピンバック: 通行人
その中でもオーナーがまともでないホールから淘汰されてきた気がします。
ピンバック: crazydoctor
金だけに眼がくらんだ末路
ピンバック: お馬鹿さん