この会社は飲食業を主に営んでいるが、ホールを1店舗だけ経営していることもあり、社長は言葉の正しい使い方に関心を持っていた。そして、実施したテストの結果に愕然とすることとなった。
その中で、「春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)」を「はる・なつ・あき・ふゆ」と書いた社員がいたのだ。社長はこの結果に驚きを隠せなかった。役職者でありながら、このレベルの誤読をするとは思いもよらなかったのである。
そこで社長は、社員の語彙力向上のための対策を考え、日本語に精通している国語学者に手紙を書き、「自己啓発の参考資料を作ってほしい」と相談を持ちかけたのだ。この手紙をきっかけに、国語学者と直接会って話を聞く機会を得ることができた。
その席で、思わぬ話題が持ち上がった。パチンコに関する話が、先生の方から次の様に出たのだ。
「風営法では『ぱちんこ』とひらがなで表記されていますが、それはなぜかご存知ですか?」
その問いに、社長は答えに窮した。
パチンコの起源は西洋のコリントゲームとされ、「パチン」と弾く擬音から「パチンコ」と呼ばれるようになった、と一般的にはいわれている。しかし、なぜ法律上は「ぱちんこ」とひらがな表記されているのかは知らなかった。
国語学者によると、法律では外来語を使わない方針があるため、和製外来語の一つである「パチンコ」はひらがな表記となった可能性が高いという。また、ひらがな表記にすることで、日本語らしさを強調する意図も考えられる。さらに、「ぱちんこ」という表記を用いることで、風営法に基づく特定の遊技機を明確に定義する目的もあるとのことだった。
パチンコ業界では「パチンコ」とカタカナ表記が一般的であるが、法律におけるひらがな表記の意味を知ることができたことで、社長は新たな学びを得た気がした。
しかし、国語学者はさらに衝撃的な見解を述べた。
「パチンコという言葉はいずれ廃れるかもしれません」
驚いた社長は、その理由を尋ねた。
「学生にパチンコの説明を求めても、見たこともやったこともない学生が増えていて、説明できない人が多いのです」
国語辞典の改訂では、時代とともに消えていく言葉がある。三省堂の国語辞典第八版(2021年12月発売)では、「スペースシャトル」「コギャル」「マイナスイオン」「派手婚」「MD」「赤外線通信」など、一時的に流行した言葉が削除された。
パチンコの場合は一時的な流行ではなく、戦後から庶民の娯楽として定着してきた歴史があるが、若者にとっては過去のものになりつつあるのかもしれない。
昔の国語辞典では「チューリップ」という項目を引くと、花以外に「パチンコ台に付いている機能」と説明が加えられていた。しかし、現在ではその説明は削除されている。
このことから、国語学者は業界人に対して「パチンコ」という言葉を大事にしなければならないと指摘した。
「例えば、業界では『1パチ』『4パチ』という略語がよく使われます。しかし、これを『1円パチンコ』『4円パチンコ』と省略せずに表記することを勧めます。初心者には『1パチ』といわれても何のことか分かりませんし、何より『パチンコ』という言葉自体がなくなっていく危険があります」
実際に、若者の間では「パチンコ屋」とは言わず、「パチ屋」と呼ぶことが一般的になってきている。こうした省略が定着すると、「パチンコ」という言葉自体が次第に使われなくなる可能性がある。
社長は、この話を聞いて考えさせられた。
言葉は時代とともに変化していく。しかし、パチンコ業界に携わる者として、業界用語をただ省略するのではなく、正しい言葉を使い続けることの重要性を改めて感じた。
日本語の正しい使い方を学ぶつもりが、業界の未来について考えさせられる機会となったのである。
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まー、パチンコのひらがなとカタカナの違いは業界人なら理解しておく知識ですが、ユーザーにはもうでも良い事です。例えば、電チューが何の略語か知らなくても遊べますからね。
しかし、1パチが何の略語か伝わっていないとなると問題ですね。業界の思い込みを問い直すことが大切だと思います。
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はたしてパチンコという言葉がいつ無くなるのか
今70代80代の高齢者がいなくなって数年とかで廃れるんじゃないですかね
あと20年~30年程度で一般的な言葉ではなくなると予想します
この社長さんはホール1店舗だけだから業界情報に疎いんでしょうね
メインでホール運営している企業のトップなら「パチンコという言葉はいずれ廃れるかもしれません」なんて言葉は今更ですから
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