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低貸しは破滅への序章だった

年令57歳。役職は店長。ホールは1店舗だけの単店。築30年以上のホールは、低貸し専門店で細々と運営している。建物も設備も老朽化している。オーナーは改装費用やスマート機導入などの経費を軽く見積もったところ8000万円だった。低貸しで8000万円の経費をペイするには18年もかかることが分かった。従業員には申し訳ないが、これでオーナーはホール経営を続ける気が失せてしまった。年内に廃業することを決意した結果、店長は還暦を目前に失業することになった。

オーナーは不動産業もやっているので、ホールの廃業に未練はなかった。失業する店長はオーナーに不動産部門での雇用を申し出た。不動産管理部門の仕事は時給950円のビル内清掃ぐらいしかなかった。最低時給も下回るような清掃作業はさすがに受け入れられなかった。

オーナーは廃業を決意してから、ホールの資産価値を評価してもらったところ、1億500万円と算定された。上物の価値はほとんどないので土地代だけと思われる。

オーナーは店長に次のように提案した。

「ここを1億2000万円で買う人を見つけてきたら、差額の1500万円を退職金代わりにやるのでどうだ?」

ちなみに物件は首都圏の郊外店だ。

店長はこの話に乗るしかない。さっそく、前職で同僚だった他法人のホール関係者にこの話を持ち掛けると共に、自分も雇ってもらえないか、と相談した。

困った話が舞い込んできた。元同僚で先輩でもあるので、就職話を無下に断ることもできないが、年齢的なハンディーがありすぎて雇える状態ではない。どう相手を傷つけずに断るかを悩んだ。ここはオーナーがNGを出したというしかない。

当該ホールも廃業の判断を先送りにして、やれるところまでやるパターンだが、最後は従業員が路頭に迷う。

特にホール専業だとそうなる傾向が強い。ホール以外に多角化経営をしていれば、そちらにシフトして行けばいいので、廃業の決断も早い。ところが、中小・零細のホール専業は、ホール経営にしがみつくあまり、踏ん切りがつかなくなって、最後はどうにもならない。

あるホールは、競合エリアに大手の進出が噂された。そうなれば一気にやられるので、その時は売却を考えた。結局、大手の進出はなかったものの、黒字のまま店を畳んだ。ホールの敷地にはドラッグストアーが20年契約で入った。借地にしたわけだが、ホールの利益とそう変わらなかった、というのだから、ホール経営にうま味があったことはとっくに終わっている。

特に低貸し専門店は形態こそホール経営だが、4パチ20スロしかなかった時代のうま味は遠の昔になくなっている。

等価でドロップアウトするお客の受け皿と思われた低貸しは、結局は破滅の道だった。

追記

2018年8月、ダイナムの新たな挑戦の全館0.2パチ、2スロのダイナムパーク(伊勢崎市)は超低貸しスタイルで経営が成り立つのかを疑問視していたが、コロナ禍の2020年6月には閉店している。


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