有床診療所を使って出店妨害する発祥の地で、最もえげつない妨害が今から6年ほど前にあった。
今は出店妨害目的とみなされた場合は、警察も営業許可を出すようになったので、この手の妨害は通用しなくなったが、オーラスを飾るにふさわしい妨害劇だった。
このケースは組合単組がグルになって妨害を敢行したところがすごい。
まず、妨害する場合、直接客を取られる店がやるのだが、今回はライバルで影響を受ける店が、中堅ホールの親戚筋で、その妨害話に組合長までが乗っかってしまった。
単組内のホール数は7店舗。
新参者が立体駐車場付きの大型店を出店するので、影響は広範囲に及ぶということで組合長らが出店阻止に向けて謀議を謀る。
それを組合長が招集して組合事務所でやったというのだから驚かされる。
診療所を造ってしまえば、営業許可が下りない。幸い、近くに診療所がある。そこをけしかけることになった。
医者への成功報酬は3400万円。これを組合員で分担する話し合いが組合事務所で行われた。
7組合員中、2人がこの分担金の話に反対した。
うち、1人は店を閉めるつもりだったので最初から協力する気はなかった。
建築中のホールのすぐ目の前に、診療所が移転することになり、「有床診療所オープン予定」の看板が揚げられた。
この看板を見てオーナーはすぐに医者にアポを取った。
「6カ月待って欲しい」と申し入れた。ホールがオープンした後から診療所をオープンして欲しい、という交渉だった。
3回面談したが話は平行線。
「有床診療所をやりたくてやっている。運が悪いな。諦めてくれ」とそっけない返事を繰り返すばかりだった。
組合から金を貰っているわけだから、当然といえば当然だ。
交渉は決裂。
診療所はホールよりも先にでき上がり、開業してしまう。建築中のホールはこれで営業許可は下りなくなってしまう。
ここで、救世主が現れる。
組合の謀議に参加したホールで、協力しなかったホールが「妨害目的で組合で金を出し合った」と証言してくれたのだ。
この証言を下に地元の人権協議会へ相談に行く。
示談屋ともいわれる大物で、この人が動いたことで医者も「ホールから金をもらってやっている」自供。一端はベッドを外す。
しかし、医者はホール側に「ベッドを外すのに5000万円必要」と要求してくる始末。
ホールはこの要求を無視していたら、再びベッドを入れた。
人権協議会の大物示談屋は妨害ホールとの交渉に入った。
医者が「3400万円受け取った。領収書もある」と供述したテープを突きつけたが、妨害側は応じることはなかった。
そこで裁判で白黒をつけることにする。
診療所はベッドを入れたり、外したり、また入れたりを繰り返した。妨害のために金のやりとりがあったことも公になり、ホール側の訴えが100%認められた。医者にも悪意があったことが明らかになる。
そして、地裁判決は「無床に変更する届け出を出せ」。
予定より1年以上遅れてホールはオープンすることとなる。
親組合でこの単組の恥ずかしい行為が問題になった形跡はない。
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