「これで大ヒット間違いなし!」そう信じて疑わなかった土谷部長。しかし、現実は残酷だった。焼きコロッケはさっぱりと売れなかったのだ。世間の冷たい反応を目の当たりにして、土谷部長は気づく。「みんな、油で揚げたコロッケが好きなんだ」と。たしかに、健康志向は大切だが、消費者が本当に求めているのは「おいしさ」。そして、そのおいしさには少しばかりの「背徳感」が不可欠だったのだ。
脂っこいコロッケの誘惑には誰も抗えない。それは、健康には悪いと言われるラーメンに至福の時を感じるのと同じだ。「健康に悪いかもしれないけど、このドロドロのスープがうまい!」。こういう感情が、食品における背徳感を一種の「スパイス」に変えていたのである。
この失敗を教訓に、土谷社長は次なるステップを踏み出すことになる。それは「安さだけではなく、買い物自体を楽しめる商品を作ること」だった。
そして彼女が見事に成功を収めたのが、近年の大ヒット商品「超ガッツリ飯」である。1人前420gというボリュームで、食べ盛りの若者や、カロリーを気にせずに「とにかく満腹になりたい!」という人たちの心をがっちりと掴んだ。メニューには、バターチキンカレーと牛丼のセットや、チャーハンに汁なし担々麺、さらに唐揚げまで付いた豪華セットがラインナップ。消費者の食欲を満足させた。
ここで、ふと土谷社長の考えはパチンコ業界にも通じるものがあると気づかされる。
今、パチンコ業界は射幸性を上げることばかりに血道を挙げている。ユーザーの財布が持たないから遊技人口は減少の一途を辿っている。
その反省から射幸性を抑えた本来の大衆娯楽と言われた遊技に引き戻さなければならない。
これは、土谷社長が商品開発部長時代に売り出したヘルシー志向の「焼きコロッケ」とそっくりだ。射幸性を抑えた遊技機を作っても、今のユーザーはでは誰も振り向いてはくれない。同様に、コロッケは揚げてこそ魅力的だったように、パチンコも連チャンによる大量出玉が獲得できなければ、魅力は感じない。
しかし、ここで考えるべきことは「それで本当に良いのか?」という点だ。消費者の欲望に応じるだけで、企業は良いのだろうか。例えば、カロリーを気にせず食べられる「超ガッツリ飯」は確かに売れるかもしれないが、それが「健康は自己責任」と放置する企業姿勢として批判される可能性もある。
パチンコ業界も同じだ。射幸性を抑えた機械を導入することでユーザーが減ってしまうかもしれないが、それでも新しい低射幸性に満足するユーザーを育てる努力をする必要がある。
土谷社長の「カロリーを気にしないで腹一杯食べる」という姿勢と、パチンコ業界が射幸性を徹底的に追求することが、本当に消費者のためになるのか——その問いは、どの業界にも共通する深い闇なのである。

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逆に言えば、まったりと時間潰しのようなレベルのパチンコに魅力を感じ、それを楽しみたいと思っていた人はもうこの業界にはいません。
お店側が「カネを使わない貧乏客」を邪魔だといって排除したんですよ。
イメージを最大限に悪くしたのに、今さらマイルドな方向へ舵を切る?
無駄ですよ。
それはなぜか?
>新しい低射幸性に満足するユーザーを育てる努力をする必要がある。
2015年でしたっけ?16年でしたっけ?
確率変動の最大継続65%、ヘソの返し玉は最低でも4個。
そんな低射幸性の時代がありましたよね。
その時代こそ
新しい低射幸性に満足するユーザーを育てる努力をしていた時代でした。
まぁ強制的だったし嫌々やってたんでしょうけど。
最初こそガクンとユーザーは減りましたが(内訳的にはパチンコからスロットへ内部的に移動した方が多かったようですが)馴らすには良い時期だったと思います。
減るのは当然ですしね。徐々に馴れていけば低射幸性が当たり前になっていったはずです。
しかし、我慢できませんでしたよね。
舌の根も乾かぬうちに徐々に、だんだんとゆるゆるになっていきました。
最終的には当時のMAX399よりも高い「超」高射幸性の機械だらけになりました。
無駄だという意味、わかりますよね?
同じこと過去にも繰り返してるんですよ。
また強制的に低射幸性の機械にしたところで、すぐ戻りますよ絶対に確実に。
信用無いんですよ、あらゆるところに言えるんですよ信用の無さは。
どうせ戻るのに。
その都度疲弊しますよ。馬鹿らしい。
パチンコ業界はもう何をやっても回復はしません。
癌の末期みたいなものですよ。
自己責任。
それを理解するべきですね。
ピンバック: 名前はサイト管理者が勝手に変えるから書く意味を感じない
酷い内規変更でした。
抜け駆けした大手ホール企業がの1種2種合とCR北斗無双を大量導入し、中堅ホール企業からお客は流れてしまいました。
内規変更が数年であり、65%は撤回されました。
大損をしたのは、虎の子のMAX機を撤去させられた中堅ホール企業です。
ピンバック: 憂う者