パチンコ業界ではよく「ナットク」という言葉を使う。
例えば、
①「当店で負けてもナットクして頂ける店にしましょう!」
②「お客さまはナットクの上で負けてくれている」
この「ナットク」というキーワードを業界は、あまりにも安易に考えている。本当にお客さまは負けたときに「ナットク!」と思っているか!
ケース①の場合
これは上司が部下に訓示するときに多用する。この意味は「お客さまにそれくらい思われる店にしよう!」という思いが込められているはずだ。
その思いは非常に理解できるが、私は昔から違和感がある。 あるセミナーでも講師の締め言葉は「お客さまに負けてもナットクできる店にしましょう!」だった。
しかし、それは業界人向けの言葉であり、果たしてお客さまに通用するだろうか?
負けてナットクしているお客さまは本当にいるのか?
私はいないと思う。
ナットクして負けているお客さまがいると思う人は、試しに負けたお客さま1000人に聞いてみたらどうだろうか。
「お客さま、本日の収支はマイナスですがナットクされて負けましたか?」と。
先日の寄稿で「快感を得る」度合いの話をした。
実はあのフレーズは、心理学的記述で、「不規則な快感」を使うことだ。
店長時代いつもこのことを頭の隅に入れて調整を行っていた。
併せて、心理学の先生とお客さまが負けた時の心理について、共同調査をしたことがある。
その時の話をこれから書き進める。
暇つぶしやストレス解消にパチンコするお客さまはいる。
それらのお客さまは一見、勝ち負けは関係なしで、負けてもナットクしている客層だと分析している講師や評論家を見かける。
それって本当だろうか?
もう一度いうが、私はいないと思う。
お客さまが負けたときの心理を考えたらこんな発想はおかしい。
お客さまの立場になれば業界人は「ナットク」と吐いてはいけない言葉だと感じる。
ホール運営者はこの業界のプロだ。もっと違う方向性から見た方がお客さまの心理を理解できるかも知れないと感じる。
この話を10年前、あるホールで話したことがある。
それで店長と大喧嘩になった。
店長は「お客さまが負けてもナットクするホールを目指そう!」と社員に訓示していたからだ。
ただ、私の意見が全て正しいとは思わないが、その「ナットク」という言葉は、業界人側の都合の良い使い方だと思う。
このテーマは賛否両論があるので、あえて書いた。
負けた時、お客さまが自分自身をナットクさせるために「今日は1万円で3時間遊べたからナットクだな」と思うことはあるだろう。
だから業界人とお客さまとの言い分に大きな温度差があるのではないかと思う。
「お客さまが負けてもナットクするホールを目指そう!」とは具体的にどの様なホールを指すのか?
接客が良くて、遊技環境がいい・・・・となるのであれば、他の言い方があるはずだ。
完璧なホール運営の店舗。その店の固定客はほとんどがナットクして負けているのか? となる。
あるいは、機械の特性や遊技性を熟知しているお客さまがその台で負けた時、機械との勝負に負けたと思いナットクしているのか?
「負けてもいい」と思って遊技している時、これをイコール「負けをナットク」していると業界関係者が解釈するのは乱暴すぎないか?
遊技客の中で「ナットクして負けている客層」とはどの様な客層なのか? 想像はできるが、負けてナットクするお客さまはお金持ちぐらいか? その客層は層をなすほどいるのか?
私はこの「ナットク」という使い方や発想は誤解を招くと思う。誤解とは従業員教育の現場で誤解が生じるのだ。
掃除の行き届いた綺麗な店舗、満足する接客、業界ではトップレベルのホール設備、駐車場も停めやすい。ホールには何ら不満がない。
そんなホールがあったら、お客さまは負けても全員ナットクして帰るのか?
機械特性を熟知しているお客さまが負けた時、それをナットクで済ませてはお客さまに失礼だと思う。
ここまで書けば「負けてナットク」するお客さまは、ほとんど存在しないと思わないだろうか。
ナットクして負けているとは、業界人側から見た都合のいい話でしかない。
★お客さまは「負けたことを忘れる」
★「負けたことを正当化させる」
そのためにお客さまは「自分の心の中で『ナットク』という言葉で『慰めている』のではないか」
パチンコ業界の本質に目を背け、簡単な言葉で済ませているから「ナットク」と全てを一括りにしてしまうのは危険だと思う。
パチンコに詳しいユーザーは多い。
パチンコファン向け攻略誌に機械特性や勝敗のボーダーラインも分りやすく説明されているからだ。
彼らが負けた時、どの程度ナットクしているのか?
あるパターンの場合、たぶんパチンコがしたいと思う心理が強く、負けたことは二の次になるから、ナットクというより負けた事実を考えたくないのが本音ではないか。
新台や好きな台に着いた時、深層心理には「勝ちたい」と思って打ち始めるが、その結果「負けた」時に「今日は運が悪かったな。」と自分を慰める。
そうやってナットクするのは「早く負けた事実から逃避したい」との働きを脳に命令しているのではないか。
1パチユーザーは、4パチユーザーよりはその傾向は低いと思うが、できれば勝ちたいハズである。
約15年前の調査、サンプル数100あまり。
パチンコ常連客に聞いた質問の一つ。
Q)あなたは家計簿か小遣い帳を付けていますか?
驚くべき結果は、付けている人は「0名」であった。
これは心理学の研究と整合性があった。
ギャンブルをやる人は、ギャンブルの成績表をつけている人はいるが、その結果を生活環境内に持ち込むことは少ない。
つまり家計簿をつけている人は、ほとんどパチンコをしないのである。(今この調査をやると、どの様な結果になるか興味があるので、大手コンサルさんお願いします)
もっと突くとこうなる。
パチンコする人は、勝敗の負けの部分をある一定期間が過ぎるとその記憶を自動的に消去しようとする心理が働く。
家計簿をつけていたら、その自動消去ができなくなるのだ。
この心理を利用するのが、先日の「不規則な快感」なのである。
不規則な快感は、期待を倍増するだけではなく、自分の都合の悪い部分を「自動消去」する心理の手助けとなる。
前回の内容は、出玉に対する不規則な快感のことだけではなく、それ以外の「ホール運営における不規則な快感」を暗示したのだが、気づいていただけただろうか?
ホール運営における不規則な快感とは何か。
それはいくつも項目があるのだが、次回はその例を紹介する。
つづく
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