ホール企業に入社して、ホール業務を覚え、ホールの接客も学んだ。
接客マニュアルは立派な内容であり、非の打ち所がない内容でもあった。
新入社員時代にそのマニュアルを体に覚え込ませホールで、実践する日々を送るうちに、疑問を持ち始めたことがある。
その点を後で書く。
私が所属していたホールは、「駅前店」「郊外店」「漁港前店」「田んぼのど真ん中店」などがあった。
私は全てのタイプの店舗を体験をしたのだが、この時に上記に書いた疑問を持ち始めた。
最初に教え込まれた接客マニュアルの内容だが、これが全部の店舗に当てはまらないことを肌で感じた。
話は少しそれる。
店側としてはお客様からの贈り物を受け取れないのは、常識であろう。
しかし、こんな例があった。
その店の周りは田んぼだらけ。
国道沿いにある店舗だが、周りに民家はほとんどない。
隣のホールまでは自動車で15分。
農繁期は夕方まで稼働率は10%で、夕方から60%に伸びる。
農繁期でも朝から豪雨が降ると、開店から稼働が70%になる。
こんな田園風景が似合うパチンコ店のお客様は、半分以上が農家の方々である。
50歳代のご夫婦が、軽トラックで来店される。仲良くパチンコをしながら、一日の農作業の疲れを癒す。
夕食の支度は嫁がやるから大丈夫だと話すおばちゃんもいる。
こんな環境だから、駅前店の様な接客をやっていたら、お客様から「あの新人は気取り過ぎだ」と言われたりしてしまう(笑)
お客様が大勝ちすると、翌日はお客様の畑で採れた野菜を持ってくる事もしばしば。
こんな品を贈られることもある。
「店長、昨日は4万円も勝たせてもらったから、有名な団子をそのうち買ってくるからなー」と言われた。
こちらとすれば「いやいや、いつも負けているでしょうから、お気持ちだけ頂戴します」と答える。
でも数日後、そのお客様は団子50本を手にして来店される。
従業員が「店長!店長!山田さんが団子を持ってきました、受け取ったら駄目ですよね勿論!」
店長とすればこんな時が一番困る。
先に書いた野菜もそうだし、団子やお菓子類も、受け取ることは「基本的にダメ!」
でも受け取りを拒むと、お客様も気分が悪くなる。
こんなケースは田舎のホールではよくある事かも知れない。こんな時は皆さんはどうするか?
話を戻す。
会社でのマニュアル通りにすると違和感のある地区があるのは事実。
目の前が有名な漁港の店舗では、もっと大変だった。
荒々しい漁師さんが来店する。
海がシケた日は、漁が中止になる。
そうなると開店からホールは大変な賑わいになる。
稼働は90%!
その理由は、大勢のお客様とその店で自然に発生したルール。
そのルールは、今は厳しく規制されているが、当時は甘甘の規制だったからできた。
お客様の手が届く範囲は掛け持ち遊技をする。これを店側は黙認。
掛け持ちを注意するとキレル人もいた。
漁業で景気がものすごく良い時代だった。
手が届く範囲とは3台まで掛け持ちが可能になると言うこと。
こんな店は極端なケースですが、ここで駅前店の様な接客をしたら大変だ。
お客様から「あの店員は何なんだべな?」と言われる。
過去のコメントの一部に、この点に関しての私の見解を誤解されている人もいた。また一部のブロガーさんもそんな感じだった。
その誤解は、このエントリーをご高覧頂ければ気づくだろう。
マルハンの成長創生期に、この接客に関係することをマルハンから学んだことがある。
それはこのシリーズ中に書くが、当時のマルハンの接客のレベルは、店舗ごとにマチマチだった。
一方、あるチェーン企業は、どの店舗も接客は金太郎飴の様に均一だった。
どのロケーションのホールでも均一なレベル。
これを悪いと書いているのではない。
東京など集客の見込める立地にあるホールは、ある程度大雑把に接客しても、人口密度に助けられる面がある。
しかし限られた資源を有効活用しなければならない地区では、大雑把な接客や営業をしていては【それ以上は望めない】のだ。
お客様のことを今回は、分かりやすい表現で「資源」と書いた。お許し願いたい。
その資源の数と資源のもつ資産を採り合うのが、商売の醍醐味の一つでもある。
簡単に書くと接客でお客様を増やす可能性は少ないけれども、接客でお客様を逃がす可能性は高い、というのがホール運営だ。
店長に与えられたノルマを達成させる努力をする時に、新人店長が陥る盲点がある。
新人店長だけではない。ベテラン店長にも同じ傾向を示す人もいる。
それはノルマ達成に必要なものは、集客が一番だと思う発想だ。
多くの新人店長が最初に考えるのは「新台入替をして集客したい」。
自店の成績が上がらない理由を競合店舗に比べて、入れ替えが足りないからで、もっと新台を入れて欲しいと積極的にアピールする。
そんな新人店長を「やる気がある店長」と見るエリア長もいる。
新台に頼る新人店長もそれを評価するエリア長も大したことはない。
もっとデキル新人店長やエリア長は、違う角度から物事を考える。
ホール運営で新機種の入れ替えは欠かせない。それはそれで重要なポジションを占める。
でも、次のような発想があれば、成績は安定したものとなる。
それは既存のお客様の滞留時間を延ばし、来回数を増やす、ということ。
限られた経営原資を有効にするのは、こうした戦略が必要で、繁盛ホールはこの戦略に長けている。
しかし、私が今までお付き合いのあった弱小ホールは、この思想が欠けているケースが多い。
この違いが長い時間をかけて「差」となり現れてくる。気づいたときは、その差を埋められないぐらいの差になっている。
常連様1000人を1100人に増やす作業に合わせて、常連様1000人の遊技時間や来店数を10%増加させる努力や戦略、それを可能にする店長やエリア長の思考があれば、数年後には今より安定した営業が望める。
この考え方は、オーナーや本部長レベルでは分かっていても、その下の人材まで教育されていないことが実に多い。
このことと接客の関係は密接で、ただ本部から与えられた接客マニュアルの合格点を目指すことで満足している店長は、近所にマルハンが進出してきた場合は、撃沈する。
今のマルハンを見るのではなく、成長過程でのマルハンの各店舗を思い出すことや分析する事が重要であり、その過程があればこそ、今のマルハンがある。
今後はその話も書いていく。
20年以上前、チェーン展開していたホール企業の接客は、マルハン以上のレベルだった。
マルハンが躍進する過程で、そのホールはある歪みが生まれて、売上や店舗数に大きな開きが出た。
だから、今のマルハンを分析する前に、過去のマルハンも分析材料にすると、成長のヒミツが分かる。
つづく
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いやー今日のエントリーは読み応えがありました。
でもこれ2回分分けても良いと思います。だって読んでいてなかなか終わらないんだもん!
ダンゴ50本のお話、片田舎のホールならばありますよね。
こちらではトウモロコシでしたw
最終的には、そのお客さんのトウモロコシ畑のモロコシを景品にした事があります。
ピンバック: Unknown
お客様の格や常連客の顔でメリハリつけれるバイトが少なくなりました
休憩時間を10分遅れたらすぐ注意するバイトとかね
常連客がそれ言われたらどうなるか
ホール業務とは壮大な接客業なんです
業務をこなしながらインフォメーションの役割も必要
優良客ほど食事時間も長く所用も多く離席回数が増えます
これをやかましく言うとどうなるかよく考えてほしい。
ピンバック: Unknown
言うべきことは言えないとダメでしょう
言い方やそれまでの接し方も影響しますが
お客様に恥をかかせないよう配慮できるかどうかでしょう
ペコペコするのが接客ではないと思うな
他のお客様が不平等を感じたらダメだと思います
ピンバック: Unknown
例えば空いている隣に座って会話
これをすぐに注意する店がある
稼働率が高いならわかるががら空きで注意されたら気分悪くないか?
マニュアルに固まりすぎたバイトを抱える店は考えないとね
ピンバック: Unknown
>>今のマルハンを見るのではなく、成長過程でのマルハンの各店舗を思い出すことや分析する事が重要であり、その過程があればこそ、今のマルハンがある
この言葉にグッと来ました。そういう観察の仕方があったとは。マルハンを語るときに、今のマルハンで分析する人ばかりです。やはり元店長さんの寄稿は素晴らしい観点を教えてくれますね(元店長さんを賞賛すると嫌味を書く人がいますが、このマルハンの分析の視点は、業界でといた人はいません)。
シリーズが楽しみになって来ました。
それと、漁師の多い店舗のお話には驚いたし笑いました!
ピンバック: Unknown
多くのタイプの店舗を経験している、経験出来るのが、チェーン店の強みでもありますね。
元店長氏の寄稿内容の展開の多彩は、ここに在ったのかと納得した。
最近の従業員は、臨機応変の言葉を理解できないのが多くて困っとります。
ピンバック: 現在店長
大手三社の一つのだが、同じ駅前の店舗でも、接客のレベルがバラバラです。やはり店長の差が現れるのでしょうか?
ピンバック: Unknown
題名を読んだだけで、自分を戒めました。
そうです私は社内接客規定しか見てませんでした。
会社も同じですよ。
私(店長)も会社も、その規定だけに目が行っております。それで査定もするし昇格にも影響します。
そうですよねそうなんだよね・・・・と心の中で反省中。
ピンバック: Unknown
弊社(20店舗以上)で下位店舗の成績を上げられる人は4人だけです。
あとは現状維持がやっとかなw
その4人の思想は元店長の思考回路に似ています。
彼らは会社から与えられた現状に妥協しない。
そして彼らは、ホール運営の経験の無い人の話を信用しない。4人とも同じです。
ホール運営の経験の無い人の話は全て中途半端だと言います。
その理由は、お客さん目線でも無くて経営者目線でも無いからだそうです。セミナーを聞いても本や業界誌の受け売りが多かったので、彼らは信じるものは〔自分たち〕と〔経験者〕だと社内セミナーで話しています。
店舗運営が無い人の通りに運営して過去に成績が上げられないコトがありました。
元店長さん彼ら4人はあなたの話を読んでますよ。意味分かりますよねw
ピンバック: Unknown
常連様1000人を1100人に増やす作業に合わせて、常連様1000人の遊技時間や来店数を10%増加させる努力や戦略、それを可能にする店長やエリア長の思考があれば、数年後には今より安定した営業が望める。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
どこかの誰かがセミナーでぱくりそうな話ですね
ピンバック: Unknown
現状で語る業界人が大いる中でこの切口は新鮮です
ピンバック: 業務管理女主人@初コメ
このエントリーを読んだら、景品交換所のエントリーの意味が理解できました。なるほどね ー
ピンバック: 劇団エリア長〓
私もこの記事を拝読して、交換所の記事の意味がわかりました。
元店長さんは、単に接客を良くしなさいと訴える訳ではない。
改めて、もの事の考え方がわかりました。
ここのコメント欄に直リンクしている考え方とは違い、考え方の深さを改めて考え直した。
ピンバック: Unknown
元店長が接客については、こう考えてたんだ!誤解してました
ピンバック: Unknown
手段と目的のお話。目的(CS向上)の為の手段(マニュアル)
まぁCS向上もお店の存在意義を考えたら手段の一つになるんだけど。
手段が目的化している店舗って結構多いよね。
必要条件と十分条件。
ピンバック: Unknown
今後もお願いします
ピンバック: Unknown
[資源]・・許しません(笑)せめて[滋養成分]と呼んでください!!養分エキスが循環しないことには、回らないではないですか。。。ん?
ピンバック: Unknown
>>>せめて[滋養成分]と呼んでください
激ワロタ!
>>>休憩時間を10分遅れたらすぐ注意するバイトとかね
マイホは食事休憩30分
その時点で居ないとマイク放送
それで10分待ち、来ないと、空き台整理
すげー厳しくてトラブル多発
だから皆、店内の自販機で飯を済ませている(笑
近くに飲食店は1件あるが、徒歩5分w
ピンバック: Unknown
資源でいいんです
我々も外食産業からみたら資源なんです
パチンコ店の店員には二通りあります
商人になりきれる人
内面的には客を卑下する人
後者は必ず顔にでます
副主任から上の立場のスタッフには後者は向きません
箱を投げたりマナーが悪い客に対した場合に顔に出ます
それは人格的なもんですね
サービス業で頂点は目指せない人なんです
商人
あきんどになりきれる人材を集めて初めて理想像が完成されます
食事時間をオーバーして引き上げるスタッフにシンパシーが生まれますか?
30分で何が食べれますか?
休憩は食事とは限りません自営業のお客様が一旦店に帰ったりもします
負けて腹がたち休憩のまま帰ってやろうって状態の台はなんとなくわかりますよね?
その判断が出来ないスタッフがいるのが情けないと思います
ピンバック: Unknown
みなさん従業員のせいにしてますが
店舗方針の伝達
従業員の教育は
誰の責任なんでしょうかね?
ピンバック: Unknown
資源で補足しますが
業界は資源食い付くしたんですよ
潜伏がそれにとどめさしました
潜伏を把握しない客
でも新台だから打つ客
潜伏待ちしている乞食プロ
狂った業界だと思います
資源の客をバカにしてるんだから。
高換金共有から資源食い付くす流れは読んでました
出玉1900玉
42玉換金と
出玉1400玉
33玉換金とでは42玉時が換金したら多いんです
数年かけて42玉の還元に戻して利益だけを上げてきました
民主党がこれからじわじわ増税していくようなものです
子ども手当は潜伏確変と同じです
汚いやり方です
で結局は資源ですが
資源の取り合いです
4円店がそうなります
4円の資源を取り合う
負けた店は一円二円に走ります
しかし後手を踏みます
負けた店が一円に走る時はすでに手遅れ
地域の一円の需要は既にいっぱいなんです
これから少ない資源をどう奪い合うのか
ピンバック: Unknown
大手チェーンの郊外店で閑古鳥が大きな声で鳴いているのに、従業員だけは駅前繁盛店と同じ接客状態の店があります。
見ていてこっちが恥ずかしくなるくらいの接客で、しかも閑古鳥鳴くでは無くて閑古鳥泣くです。あれはどーにか成りませんかねー。
ピンバック: Unknown
「社内基準の接客マニュアル達成で満足してはいないか?」…とても深い問いかけですね
改めて考えさせられます
社会人一年目の某社の新人研修で、その会社の接客マニュアルを徹底的に叩き込まれました
そして、その研修の最終日に本社の販売部長から伺った一言
「単純なマニュアル接客だけでは通用しない。現場では常に状況が変化していくのだから、常に臨機応変に対応していく事が大切」
今でこそ理解できますが、その当時は意味不明でした
それなら、こんな研修意味ねぇだろ!ってww
現場に入って、先輩の接客スタイルや、自分がお客様と直に接するようになってから暫くして、とても簡単なひとつの結論に至りました
「自分をお客様の立場に置き換えて考える」
とても簡単です
ですが、それこそ接客サービスに携わる以上、生涯かけて取り組む大切な勉強ですね
今回の元店長氏の寄稿を拝読して、改めて思い出し、さらに考えさせられました
同業他社の「今」だけでなく、「過去→現在」を学び、そこから「未来」を考察する
それを自分に置き換えて考えて、さらに深く…
この先の、更に深い展開が楽しみです
まだまだ勉強する事が多いですね
宜しくお願いいたします
ピンバック: タクシー乗務員
資源のミイラ化
ピンバック: Unknown
>>みなさん従業員のせいにしてますが
従業員のせいにしているコメントはお客さん側の人のコメントだろ
ピンバック: Unknown
そういうのってアルバイトより上の人の意識の問題ですよね。
近くのパチンコ屋は『休暇時間を過ぎるようでしたらここにお電話下さい』とコインサンドに貼ってありますよ。
お店の心感じます。
ピンバック: サイ
城門突破の為に、ボーダ-の罠を解いてあげる。上部のPマネー撒き散らかしに、進言する勇気。機種のレンタル制。そして信じる心と誇り。何よりPしましょう
ピンバック: Unknown
ピンバック: 寿司