新規出店のペースは鈍化し、閉店も珍しくない。社員の中には退社する者もいるが、それでもなおポストが足りず、主任クラスが社内に溢れている企業も少なくない。
背景にあるのは、組織の構造と人件費の問題だ。ホール企業にとって、今後の経営課題の一つは、いかに人件費などのコストを抑えるかにある。特に利益を直接生まない間接部門では、AIの導入によって業務の効率化が進み、人員を大幅に削減することが可能になりつつある。
問題は、現場の人員だ。
かつてのホールでは、玉箱を運ぶ作業などで多くの人手が必要だった。しかし現在は各台計数機の普及により、重い玉箱を運ぶ光景はほとんど見られなくなった。表周りの業務は大幅に簡素化されている。それでも正社員として雇用している以上、簡単に人員を減らすことはできない。
そこで、一部のホール企業の間で構想として浮上しているのが、人材派遣会社の設立だ。複数の企業が共同出資し、専門の派遣会社を作る。そこで教育された即戦力のスタッフを必要に応じてホールへ派遣する仕組みである。イメージとしてはスキマ時間にすぐに働けるタイミーだ。
派遣スタッフの時給はアルバイトより高くなるが、企業側から見れば教育コストや福利厚生費が不要になる。長期的に見れば、直接雇用よりもトータルの人件費を抑えることができるという考え方だ。
そもそも、ホール業務自体も変わりつつある。パチンコホールは長らく「接客業」と言われ、顧客とのコミュニケーションを重視してきた。しかし実際にスタッフとの会話を楽しむ傾向が強いのは高齢層であり、若い世代の客は必要最低限の対応しか求めないケースが多い。
接客のあり方も時代とともに変化している。
さらに技術の進歩によって、ホールの省人化は一段と進む可能性がある。設備の自動化が進めば、将来的には無人営業に近い形も不可能ではないといわれている。極端な話、ワンオペでも対応できるような店舗運営の姿が現実味を帯び始めている。
そうなれば、現場対応のために多くの正社員を抱える経営モデルは見直しを迫られる。人材不足が問題となる業界も多い中、パチンコ業界ではむしろ「人材の余剰」が課題になりつつある。
ホール企業の人材戦略は今、大きな転換点を迎えている。これまでの雇用モデルを維持するのか、それとも新しい仕組みに踏み出すのか。業界の未来を左右する選択が迫られている。
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