パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

貧乏ゆすり王との共存やいかに

貧乏ゆすりの激しい客が初めて来店したのは、約1年前のことだった。その様子たるや、まるで椅子の上に振動モーターを仕込んだかのような激しさで、隣に座った客が「地震か!?」と錯覚するほどだった。それはボタンを狂ったように連打するおばあちゃんに匹敵する迷惑ぶりだった。

貧乏ゆすり選手権があれば優勝しそうな勢いに、隣に座った客が「気が散る」と嘆き、「これじゃあ当たりを引ける気がしない!」と憤慨するのも無理はなかった。では、この1年間でどれほどの苦情が寄せられたのか? 答えは実に20人ほど。多いのか少ないのか微妙だが、確実に波風は立っていた。



※注 この動画は文中の本人ではありません。イメージです。

事態を重く見た店長は、ついにオーナーに相談を持ちかけた。「このままでは他の常連客が離れてしまいます!」と案じた。オーナーがどのような策を授けるのか…と期待したが、返ってきたのは予想外の一言。

「ほっとけ」

店長は耳を疑った。

「ほっとけ!?」

オーナーは続けて、こう説明した。

「もし注意して、その人がエコノミー症候群にでもなったらどうする? 長時間座りっぱなしで血栓ができて命に関わったら、こっちが責任を問われかねないだろう」

一見突飛に聞こえるこの理屈。しかし、じっくり考えると一理ある。貧乏ゆすりは無意識の癖であり、指摘されても完全に直すのは難しい。それどころか、せっかく常連になっているのに、注意されて不満を募らせ、「もうこの店には来ない!」と憤慨して去っていくリスクすらある。

そこで、オーナーと店長は直接の注意ではなく、もっと柔軟で穏やかな対応を模索することにした。

第一歩は、貧乏ゆすり王とのコミュニケーションだ。単刀直入に注意するのではなく、まずは軽い世間話を通じて信頼関係を築く。例えば、「今日は調子どうですか?」とか、「この前のイベントの景品、結構人気でしたね」など、日常会話で心の距離を縮める作戦だ。

十分な関係性が出来上がったら、次のステップへ進む。貧乏ゆすりが特に激しくなったタイミングで、さりげなくこう声をかける。

「最近お疲れですか?ちょっと休憩されてはいかがでしょう?」

これがポイントだ。直接「貧乏ゆすり」とは言わず、さも心配しているかのように促すことで、相手に気付かせるのだ。

もちろん、この方法だけで全てが解決するわけではない。ルールやマナーに関する掲示物を設置し、店としての姿勢を示すことも必要だ。

それでも改善が見られない場合は、最終手段として入店を控えてもらう判断を下さざるを得ない。

しかし、そこに至るまでのプロセスが重要だ。オーナー曰く、「客商売はバランスが命。1人を守るために20人を失うようなことがあってはならないが、逆もまた然り」と説く。

こうして、貧乏ゆすり王との共存を目指す日々が続いている。



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遊びとは何か──メダルゲームに学ぶ心の居場所

NHKの人気番組「ドキュメント72時間」で、メダルゲームの魅力に焦点を当てた回が放送された。題して「メダルゲームに誘われて」。舞台となったのは埼玉県ふじみ野市にある一軒のゲーセンだった。

メダルゲームは、景品がもらえるわけでもなければ、メダルを現金に換えられるわけでもない。いくら増やしても、現実的な見返りは存在しない。にもかかわらず、老若男女がこのメダルを求めて夢中になる光景は、ある種の不思議さを感じさせる。

パチンコ業界同様、ゲーセン業界は逆風の中にある。クレーンゲームこそ人気を集めてはいるが、1985年に全国で2万6000店あったゲーセンは、2021年にはわずか3900店にまで減少している。約6分の1である。主力であったアーケード機は、家庭用ゲーム機やスマホゲームの登場によって、その役割を終えつつある。

そんな中、今回取材対象となったふじみ野市のゲーセンは異彩を放っている。メダルゲームを主体に据え、特に1998年製のひと昔前のスロット機を目当てに遠方から客が訪れる。現行の最新機では味わえない“古さ”が、むしろノスタルジーとして支持されているのである。

メダルゲームの最大の特徴は、ひとつのメダルで多種多様なゲームが楽しめる点にある。ある9歳の男の子は「スロットは当たったら大量に増えて、他のゲームができるから楽しい」と無邪気に話す。メダルという「通貨」を増やすことで遊びの幅が広がるという感覚は、射幸心をあおるものではなく、純粋なゲームとしての魅力を持っている。

さらに、獲得したメダルは貯メダルができる。次回来店時に引き出して遊ぶことできるのでおカネもかからない。中には111万枚ものメダルを貯め込んでいる猛者もおり、その存在は店内に掲げられた獲得ランキング表で明らかになる。ランキング上位に名前を刻むことが、ここに自分がいた証となり、誰かに認識されるきっかけともなる。

その証を守るため、愛知県から泊りがけで通う者もいる。ランキングの維持は、単なる数字の問題ではない。自己承認欲求を満たし、社会の中で居場所を持つことへの願望が、こうした行動を生んでいるのだろう。

ある国家公務員の男性はこう語る。

「仕事では意味のあることをしているので、プライベートでは意味のないことをしていたい。仕事で嫌なことがあっても、ここで遊んでいれば気がまぎれる」

生産性を求められる日常とは真逆の場所に身を置くことで、人は精神のバランスを取ろうとする。意味のなさが、逆に意味を持つという矛盾の中に、遊びの本質がある。

また、30年間同じゲームに興じる主婦も登場した。

彼女は「これがあるから来ている。息子が結婚して一人ぼっちになり、ノイローゼになって鬱状態にもなった。でも、子どもは離れていくものだと気づいて、ここで遊んでいるだけで元気になれる」と話す。

彼女にとってメダルゲームは、子供と遊んだ過去の自分を慰め、新たな自分を保つための儀式のようなものである。

人はなぜ無意味な遊びに熱中するのか。その問いに対する答えは、十人十色。そこには共通して「救い」が存在する。現実のしがらみから解放される時間、自分を見失わずに済む場所、誰かと関わる小さなきっかけ。それらが集約された空間がここにはある。

「遊びの力で心を元気に」

これはパチンコ業界が掲げるパーパスだ。しかし、今のパチンコはもはや「遊び」ではなく、「金儲けの道具」と化している。対照的に、メダルゲームには景品も換金性もない。ただ、遊ぶためのメダルがあるだけである。そこには、「遊びとは何か」という根源的な問いへの一つの答えが隠されている。

パチンコ業界がいま最も問われているのは、「遊び」としての原点をどう取り戻すかである。かつてパチンコは娯楽であり、時間を忘れて楽しめる空間だった。しかし現在は、換金性と射幸心に依存しすぎた結果、「遊び」ではなく「金儲けの手段」としての色合いを強めてしまった。

今後業界が再生していくには、金銭的リターンではなく、心の充足を提供する方向への転換が必要である。時間制や定額制といった仕組みによる“非換金”遊技の導入、地域とのつながりを意識した店舗づくり、そして何より「遊んでよかった」と思わせる体験価値の再構築が求められる。

メダルゲームが示したように、人は何も得られなくても、そこに意味を見出せる。パチンコもまた「おカネを得る場所」ではなく「何かを感じられる場所」になることが求められている。



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万博が先導するキャッシュレス社会とパチンコ業界の未来

4月13日に開幕した大阪・関西万博では、注目すべき特徴の一つとして、会場内における完全キャッシュレス決済の導入が挙げられる。これは単なる決済手段の変更にとどまらず、日本社会全体が目指すキャッシュレス化の実証実験の場でもあると言える。


このキャッシュレス決済の導入によって、万博来場者の支払い体験は大きく変化している。たとえば、現金での支払いに伴う「おつり」の受け取りという煩わしさがなくなり、会計がスムーズに進むようになった。

また、電子的な支払い履歴が自動的に記録されることで、家計簿をつける際の手間も減り、個人の支出管理が格段に容易になるという利点がある。

さらに、利用する決済アプリやサービスによっては、ポイントが貯まるなどの特典も用意されており、来場者にとっての利便性は確実に向上している。

加えて、現金を持ち歩く必要がないことから、スリや盗難といった犯罪被害のリスクが低減される点も重要である。特に海外からの来場者も多い万博では、安全面の向上は歓迎されるポイントであり、グローバル基準を満たす取り組みとも評価されている。

また、万博とスマホは切っても切り離せない関係にある。入場券の購入も、スマホを通じたオンラインでの決済が主流で、入場時にはQRコードを提示することでスムーズにゲートを通過できる仕組みだ。


さらに、人気パビリオンの事前予約、飲食物やグッズの購入、さらには来場記念の写真・動画撮影やSNS投稿など、あらゆる場面でスマホが不可欠な存在となっている。そのため、バッテリーの消耗が激しく、万博運営側も来場者に対してモバイルバッテリーの持参を強く推奨している。

さて、話をキャッシュレス化に戻そう。パチンコ業界でもキャッシュレス化を検討しているように、将来的にはパチンコ業界にも必ずキャッシュレス時代は訪れる、はずだ。

現在、ホールでは台間サンドに現金を投入しているが、これもいずれ過去のものとなるだろう。将来的には完全にスマート遊技機に移行した頃には、QRコード読み取り機が遊技機本体に内蔵され、遊技客はスマホをかざして玉貸しを行うスタイルになっているはずだ。

ただし、パチンコ業界におけるキャッシュレス導入にはいくつかの課題がある。中でも最大の障壁とされるのが、ホール側にとって「日銭」が入らなくなるという問題である。現金であれば、その日の売上が即座に手元に残るが、キャッシュレス決済では売り上げの入金が決済代行会社を経由するため、タイムラグが発生してしまう。

ここで重要な役割を果たすのが、決済代行会社の存在である。あるシンクタンク関係者によれば、現在一部のネットバンクがホール向けの決済代行業務への参入を検討しており、その手数料は業界水準(QR決済で約2%)を大きく下回る「1%以下」で設定する構えであるという。これはホール側にとっても非常に魅力的な条件であり、導入へのハードルを下げる要因となる可能性がある。

さらにこのネットバンクの狙いは、単なる決済代行にとどまらない。通常、売上金の振込は「末締め翌月1日払い」「末締め翌々月」などの支払いサイトがあるが、ネットバンクが自らホール向けに口座を提供することで、即時入金やより短いサイクルでの支払いが可能となる。その結果、ホールとしても資金繰りの不安が軽減され、キャッシュレス化への移行をより現実的に捉えることができるようになる。

また、法令改正が行われる頃には、ネットバンクが現在一部のホールで行われている「2店方式」問題の解決策として、景品買取所の役割を果たすようになるという見方もある。

これは業界の構造を根底から変える可能性を秘めており、パチンコ業界が長年抱えてきた制度的課題の解消にもつながるかもしれない。

パチンコ業界がキャッシュレス化を果たす時期については、現時点では未定だ。しかし、社会全体がスマート化・デジタル化の流れに乗る中で、遅かれ早かれホールもその波に飲み込まれることは避けられない。

万博が描き出す未来の縮図は、単なるイベントの枠を超え、パチンコ業界の在り方そのものに大きな影響を与えることになるかも知れない。



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遊技機が作れなくなる時代が来る?

メガバンクの法人部担当がホール企業についての考察を展開する。

「本業以外に新たな柱を求めて新規事業に挑戦しているが、95%が失敗している。特に飲食業はコロナ禍で撃沈した。もう1回頑張ろうというホール企業はない。飲食業で10年持つのは一握り。5年持てばいい方だが、タピオカのようなブームに乗りやすい傾向がある。地銀は融資を渋って何年も経つが、ちゃんとした事業計画でなければ融資はできない。その場合も不動産を持っていることが条件になる」と指摘するように、新規事業では相当苦戦を強いているようだ。

さらにホール企業の傾向として、フランチャイズでは儲からないので、フランチャイズの本部になろうとしているが、「そんな甘いものではない」と一刀両断。

実際、日報の過去記事でもこんなケースがあった。

飲食業界の専門誌の編集長によると、後継者のいない加工食品の会社にホールが出資しているほか、4店舗のパン屋チェーンを買収したホールもあるという。

「余剰資金のあるところが、地道な商売に目を向け始めている。ホールと言えば、今まではフランチャイズばかりに手を出していたが、買収した会社のノウハウを基に、フランチャイザーの立場になろうとしている」(専門誌編集長)

また、こんなケースもあった。

フランチャイズでクイックカットを3店舗、タコ焼き屋を1店舗経営しているホールオーナーには歯医者のフランチャイズを考えている。息子の歯医者は地元でも評判がいいのだが、ホールで接客教育をするときに息子も一緒に受講した経緯があり、そのことが歯医者でも患者と接する時にその時の教育が活かされている。

丁寧な接客は評判となって口コミで広まることを学んだ。今は口コミからSNSの時代に代わったが、実は信頼性が高いのは時代が変わろうとも口コミの方が強い。

これまではフランチャイジーだったが、歯医者ではフランチャイザーを目指す。

以上のケースから見てもフランチャイザーを甘く見ていることが分かる。ホール経営者には地道にやるDNAがないようだ。

では、ホール業界の将来はどうなるのか?

「カギは日本は30年間給料が上がっていないと言われているが、給料が上がるかどうかにかかっている。東京ディズニーランドは年々入場料を上げているが、給料が上がらなければいずれ行き詰る。このまま給料が上がらなければ、30年後はパチンコ業界は消滅していく。業界を挙げて遊技人口を増やす努力はしていないし、市場規模が縮小すればそのうち遊技機も作れなくなることが大きい」

そうなっても大丈夫なように第二、第三の柱を建てようとしているが、なかなか軌道に乗らないのが現状のようだ。



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池袋で出会った「フィーバー外国人」物語

池袋の某ホールでの出来事だ。隣の台に腰を下ろしたのは、見るからに観光客らしい白人男性。挙動からして初心者らしく、玉の買い方全然分からない様子だった。

日本人は親切なので片言の英語で助け舟を出した。

ジェスチャーを交えながら、「こうやって玉を打ち出して、スタートに入れたんだよ」と一通りの遊び方を教えた。

理解した外国人はパチンコを打ち始めた。しばらくしてからの展開が面白かった。 なんと、彼は大当りを引き当てたのだ。すると一緒に来ていた仲間の3人が加わり、連チャンモードに突入したのか大当たりするたびに、「イエーイ!」と叫びながらハイタッチだ。

これには、さすがにちょっと辟易した。「五月蠅い奴らだな」と内心思いながらも隣でド派手に盛り上がっている彼らを静観していた。

ある程度遊んだところで止め方や景品の交換方法を聞いてきた。

一緒に景品カウンターまで行き、特殊景品をもらい、TUCまで案内した。何と換金額は6万円だった。

ここで驚きの展開が待っていた。 別れ際、外国人が「チップ」と言って渡してきたのは、なんと半額の3万円だった。欧米では確かにチップ文化があるが、まさかここまで太っ腹なチップをもらうとは夢にも思わなかった。

「彼らは日本円の価値が分かっていないのか?」と一瞬疑ったが、その厚意をありがたくいただいた。本日の負けが帳消しになったのだから、これ以上ないハッピーエンドだ。

それにしても、日本人と外国人の違いがこんなところで浮き彫りになるとは思ってもいなかった。 日本人なら、大当たりしたところで静かに喜ぶのが一般的だ。パチンコに慣れてきた我々にとっては、大当たりは特別な出来事ではなく、ゲームの一部に過ぎない。

しかし、初めてパチンコを体験した外国人は、大当たりのたびに熱狂し、その興奮を全身で表現する。

かつての日本人だって大当たりに対する反応は今とは違っていた。フィーバー機が初めて登場した頃、ホールは今の彼らと同じような熱気に包まれていた。止めどもなく出てくる玉に驚きすぎて心臓発作を起こしてお年寄りまでいた。

外国人が本格的にパチンコのことを理解して、楽しむようになったら、「これは大変なことになる」と感じたのが率直な感想だった。

それは大当たりした時の彼らの熱狂ぶりから感じたものだった。

こうやって実際にパチンコで勝った体験を外国人自らが伝えることで、ジワジワと広まり、ある時点で加速度的に広まり、インバウンド需要が伸び続ける中で、パチンコが観光産業の一部として外国人に受け入れられる可能性がある。

そのためにも、言語の壁や文化の違いに対応するためのサービス改善が求められる。英語やその他の多言語に対応した案内表示、スタッフの言語力向上も必要だ。

それらが整えば、パチンコは日本独自の魅力的なエンターテイメントとして観光の目玉になる。

3万円のチップからそんな思いを馳せるようになったようだ。


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