2022年11月、社長の耳に衝撃的なニュースが飛び込んできた。2025年11月から始まる新たな排ガス規制によって、50CC以下の原付バイクの生産が困難になるというのである。これはカブファンにとって一大事である。カブの生産が終了してしまうかもしれない、という一抹の不安が社長の胸をよぎった。しかし、このニュースを聞いた社長は、ただのカブ好きでは終わらなかった。彼はこの状況をビジネスチャンスと捉えたのである。
社長の行動は早かった。まずは、自宅に眠っている程度の良いカブを見つけ出し、そのハンドルに「買取希望」の紙を貼り付けるという奇策を実行した。その文面は至ってシンプルでありながらも、カブ愛に満ち溢れていた。「私は業者ではありません。カブのファンでカブを集めています。業者よりも本当に高く買い取りますのでご連絡ください」という心からのメッセージが書かれていたのだ。
この手法が功を奏し、社長は街中をくまなく歩き回り、次々とカブを手に入れた。その数、なんと250台! 昔のカブから最新モデルまで、色とりどりのカブが集まり、その光景はまるでカブ博物館のようである。しかし、時の流れとともに、排ガス規制のニュースが広まり、カブ好きたちも自分の愛車を手放すことに慎重になり始めた。昔ほど張り紙の効果は薄れてきたが、それでも社長のカブ集めの情熱は衰えを知らない。
これだけのカブを集めると、当然、保管場所が問題となる。だが、そこはホール経営者ならではの発想で乗り切った。廃業したホールをそのまま倉庫代わりに使うことにしたのだ。ホールの大空間にずらりと並ぶカブたちは、さながらバイクフェスティバルのような壮観さを誇る。
だが、社長の野望はこれにとどまらない。彼はカブの輸出も視野に入れているのである。カブは日本国内だけでなく、世界的にも熱狂的なファンが多い。特に東南アジアやヨーロッパのバイク好きたちは、カブを「バイクの神」として崇めている。そんなカブファンとの交流を通じて、彼は日本から世界へ、カブを広めることを目指している。
さらに、社長はテレビ東京の「Youは何しに日本へ」で登場した外国人たちが、日本をカブで旅する姿を見て、カブのレンタルビジネスを思いついたのだ。
「自分が好きなことを商売にするのは楽しい。息子もバイク好きなので、息子にもこの商売を続けさせたい」と社長は目を輝かせる。
カブを250台も買い集めることができたのは、ホールを経営していたからこそ成し得た偉業である。彼のカブ愛が生んだこの商売大作戦は、今後もますます拡大し、日本だけでなく世界中のカブファンたちを魅了することだろう。カブが持つ可能性は無限大であり、それを信じる社長の挑戦は、まだまだ続くのである。

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同じ経営者の端くれとしてとして私がいつも感じるのは
「この方達ってスタッフさん達からの評価」みたいな物を
全く意に介さず平気で居られる(としか感じられない)
メンタルの強さが非常に羨ましいですな(´д`)
あと全くの異業種にチャレンジ出来る様な気概が有るのになんで
ノウハウが有り問題点もハッキリとしている本業の
立て直しにチャレンジしないのですか不思議ですな(・∀・)
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挑戦、頑張ってくださいwww
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