ひげ紳士には一つの夢がある。定額制パチンコを浅草に出店してインバウンド客に日本のパチンコ文化に触れてもらい、パチンコ・スロットの素晴らしさを認めてもらうことだ。実際、物件交渉に入ったが、あまりにも浅草は家賃が高いので断念。2号店となる東京・神田の「ゲームセンター神田センター」は3年間の期間限定ながら格安で出店できた、という経緯があった。
ひげ紳士が経営する東京・福生の定額制パチンコ「タンポポ」がNHKのドキュメント72時間が取り上げられたのは、昨年11月4日のことだった。これについては、日報でも取り上げているので、詳細はそちらに譲る。
ひげ紳士のことを語るには「チャレンジャー幸手」から始めなければならないが、それも過去記事に譲る。
2020年7月にオープンした「タンポポ」は、「チャレンジャー幸手」から撤去されたみなし機のファンをつなぎとめるためでもあった。古いレア台を4号営業では使えないので、5号営業のゲーセンで、しかも定額制で始めた業態が「タンポポ」であった。
「タンポポ」のコンセプトは80年代のパチンコ店の再現だった。従って、ゲーセンを運営しているのではなく、パチンコホールを運営している感覚に拘っている。それが、打ち止め制であり、スタート札であり、昭和の音楽が流れるBGMであり、大当たり放送に、マイクパフォーマンスであり、事務服の様な女性スタッフの制服だったりする。
ただ単にレトロ台を揃えるのではなく、80年代のホールの空間再現を徹底した。NHKのドキュメント72時間がスポットを当てたのは、そこに集う人間模様だった。レトロ台を打っていた頃の自分に戻れる場所でもあった。当時の記憶が走馬灯のように蘇る空間でもある。中には、死んだ母親の初七日に、母親が大好きだったスーパーコンビを泣きながら打っているお客さんの姿もあった。
テレビ放映の反響は大きかった。放送後は一度もパチンコを打ったことがない人も来たが、大半は20~30年も休眠していたユーザーだった。一度パチンコを止めると二度と戻る人は少ないが、定額制のゲーセンだから戻ることができた。タンポポをきっかけに「チャレンジャー幸手」に来てくれているお客さんもいるようだ。
定額制パチンコのターゲットは、レトロ台を懐かしむ層だけではない。コロナで外出が制限された時、中古のスロット台を買って自宅で打つ「家スロ」が増えたが、そういう本来の遊技性を楽しむユーザーでもある。
定額制パチンコには、勝ち負けが存在しない本当の遊びだ。ちなみにタンポポの平日の平均客数は70人で、客単価は2500円。日売り17万5000円。景品交換がなくとも採算ベースには乗っている。
定額制パチンコは、5号営業用に遊技機を改造する必要がある。4号営業と5号営業の明確な差が必要なためでもある。80~90年代の遊技機は蒐集マニアがいるので、意外と存在している。ひげ紳士の倉庫には約5000台のレトロ台が保管されているほか、仲間内では2万台を確保している。レトロ台を運用するには当然メンテナンス力は必須となるが、昔の台はアナログな部分が多いのでそんなに難しいことではないようだ。
定額制パチンコで重要なことはドル箱。5号営業用のパチンコ台は外に玉が出ないように改造されているが、それが出るのが定額制パチンコだ。
「出玉で見せないと純粋にパチンコを楽しめない。ゲーセンの玉が出ないパチンコ台ではパチンコの楽しさが伝わらない」というのがひげ紳士の持論だ。
80年代をコンセプトにした定額制パチンコは、レトロ台は確保されているようなので、主要都市に1カ所ぐらいは欲しいところだ。次は是非、大阪に出店してもらいたい。休眠ユーザーが戻り、さらにはインバウンド客のファーストパチンコの理解にもつながる。
定額制パチンコはすっかり死語となった大衆娯楽を取り戻すこともできる。
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