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釘学校の真実 上

釘学校が消滅して釘の技術が劣化してきていると言われている。警察庁が釘調整問題をより厳しく指導するようになってからは、部備品商社のカタログから釘調整に関わるハンマーやゲージ棒、板ゲージなどのページが消えた。違法行為を幇助すると見做されるからだ。カタログからは消えているが、もちろん関連商品は扱っている。その際も釘は毎日玉が当たっていたら曲がって来るので「出荷時の元の状態に戻す道具として使ってください」と念を押す。

では、釘学校ではどんなことを教えていたのか振り返ってみよう。

学校で習ったベーシックの技術だけでは、現場でいきなり業績を上げることはできない。次のステップとして、スキルアップコースで成績を上げるための考え方と技術を身に着ける必要がある。スキルアップで修得した技術を現場実戦でしっかり落とし込むことで、初めて成果は生まれる。

元講師はこう話す。

「釘の答えはすべて現場にあります。学校で習ってきたことを現場で実践して現場が変われば、必ず何らかの成果は出ます。オーナーからは売り上げ、利益を求められる中で、現場実戦は数字が顕著に表れます。だから現場は面白い。現場では、来ていただいているお客様に喜んでいただき、また来たくなるようなストレスのない釘を教えています。それを日々、積み重ねることで、稼働は自ずと上がっていきます」

釘学校はボッタくることを教える場所ではないことが分かるだろう。今のお客の不満は全く回らないから、ストレスが爆発する。それが業界全体に向かい、「こんな業界潰れてしまえ」と罵る。

現場実戦で最初に行うのは命釘の腰折りだ。これは命釘の台形の面積を統一する意味合いがある。これを実践することで調整精度がより高まる。

「メーカーのゲージの精度が悪いから腰折りが必要です。板ゲージで合わせているのに、スタートが揃わないのはそれが理由です。例えば10台のコーナーでスタート平均は6回に揃ったが、個別にみると6.5回があったり、5.2回があったりでの6回です。最初から腰折りをすれば、その誤差が少なくなり、利益の取りこぼしを防げます。最初に腰折りをすることでスタートのバラツキが解消できます」

そんな理論を口で言われても、中には素直に聞き入れない受講生もいる。

講師が現場実践でその受講生のホールに入った時だった。

「講師は本当にスタートを合わせることができるんですか?」と喧嘩を吹っかけてきた。

そこで現場実践の初日から2人だけで新台コーナーを担当することになった。叩きながら話をしていくうちに、理論は頭で理解しているつもりでも、懐疑的であることが分かった。自身が一生懸命やってもスタートが合わない苛立ちがそこにはあった。

ここで講師の腰折りの技は冴えわたった。腰折りをコンマ0.1まで揃えることでスタートを全部揃えて見せた。それを目の当たりにした教え子は「そこまでやらないといけないんですね」と開眼した。

それからは見違えるように釘の技術も上達していった。微調整のプロと言われるまでになった。


つづく


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