そもそも法制度上、IRカジノは国内で最大3カ所に限定されている。それを無視して7カ所を言い出す時点で、政治家の思惑か幻想か、どちらにしても胡散臭い。
狙いは明快だ。まずはIRカジノを通じて国民にカジノへの抵抗感を薄め、やがて単体カジノを合法化してしまおうという“ソフトランディング”である。
引き合いに出されるのが韓国だ。日本の半分の人口でありながら、外国人専用カジノが17カ所も存在する。ソウル、釜山、済州島、仁川など各地に点在し、観光客が気軽に立ち寄れる。日本のように入場料もなく、カジノは観光インフラの一部として機能している。
これを根拠に「韓国が17なら、日本は7でちょうどいい」といった机上の空論がまかり通っているのだ。
しかし、この構想の“本丸”は別にある。
「パチンコを“準ギャンブル”に格上げする案も検討されています。カジノオペレーター並みの厳しい審査をパスしたホールだけを認め、換金時に10%の換金税を徴収する。3店方式を続けたいホールは取り締まりを強化して市場から退場させる――これが政府のシナリオです」(前出関係者)
要するに、政府の狙いは税収だ。カジノを解禁し、パチンコにも“ギャンブル税”をかける。財源不足を補うためなら、長年「遊技かギャンブルか」でごまかしてきた業界のグレーゾーンも、都合よく塗り替える。
パチンコ業界が築いてきた3店方式という奇妙な仕組みも、国の都合ひとつで「はい終了」となるわけだ。
しかし、冷静に考えれば、これは財源確保という名の“焼畑農業”に過ぎない。大阪IRですら開業に漕ぎつけていない時点で、依存症対策や地域への悪影響が議論の渦中にある。それなのに、さらに単体カジノを7カ所もつくり、パチンコに課税網をかけるなど、本気で国民の理解が得られると思っているのだろうか。
一方のパチンコ業界も業界で、長年「遊技産業」などと自負しながらも、実態は遊技とはかけ離れている。
結局、遊技かギャンブルかの曖昧さに甘えてきたツケが回ってきただけだ。依存症問題にはいち早く取り組んでいるが、換金システムの抜け道に依存してきた業界に対し、政府が「税金を払いたければ生き残れ、嫌なら退場しろ」と迫るのは、むしろ当然の帰結とも言える。
結局「カジノ7カ所」「準ギャンブル化パチンコ」といった話は、財源確保に血眼な政府の願望であるが、実現の可能性は限りなく低い。だが、今まで“遊技”と“ギャンブル”の境界に居座ってきたパチンコ業界にとっては、これが最後通牒になるかもしれない。
夢物語のカジノ7カ所。悪夢として現実化するかもしれない「準ギャンブル化」パチンコ。どちらにしても、業界にとっては甘い話ではない。むしろ淘汰の合図なのかもしれない。
※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。
ピンバック: いまや完全にギャンブル
ピンバック: 消費税廃止(パチンコ税導入を求める会)
ピンバック: 1番