「3年前に異動で呉に来た時、店の閉店は既定路線でした。それで、それまでの延命措置を講じてきました。椅子は背もたれもないぐらい古くて硬い椅子でしたが、これをうちのチェーン店で外した背もたれのある椅子に替えたりしました。それだけのことでも喜ばれましたが、スタッフとお客様の距離がものすごく近いことに気づき、延命よりも建て替えを考えるようになっていました」(橋本店長)
橋本店長は1年目で数字を作れる組織を作り、2年目で結果を出し、3年目で行動に移す計画を立てていた。実際、2年目で売上、粗利、販管費の部門で表彰されるまでになった。3年目で行動に移そうとした矢先に天井崩落事故が起きたため、急きょ建替えの提案書を提出した。
「従来はこれだけの粗利が欲しいから、これだけの投資をする。そのためにはどれだけの規模にするか、どれだけの売り上げにするか。短期でどう回収するかばかりを考えていました。その考え方では主役のお客様が抜けていることに気づきました」(中野社長)
パチンコ業界全体に自社の利益を最優先する考え方が蔓延しているといっても過言ではない。売り上げを求めるばかりに、高射幸性の遊技機を大量導入しては、お客の懐を疲弊させて来た。主役のお客が置き去りにされている。
中野社長が橋本店長に求めたのは具体的な客層だった。誰に何を売るのか? 従来の不特定多数ではなく、客層を限定する考え方を求めた。
橋本店長が出した結論は「高齢者の女性が喜び、過ごしやすい店」だった。健康にも気を使っている人たちに長く過ごしてもらうためには、全館禁煙とした。高齢者や障害者にも対応できるように社員は、ユニバーサルマナー検定2級の実践研修を受講した。若者はターゲットにしていないのでパチスロは併設せずに、パチンコ専門店とした。
総台数は248台。貸し玉料金は4円、1円、025円。損益分岐は従来の11割営業から14割営業へ転向。パチスロがないために一物一価の壁もなくスムーズに移行できた。
低射幸性営業に舵を切るに際し、コストの見直しも徹底的に図った。従来は台当たり200万円かかっていた建築コストを半分の100万円まで下げた。直接目に触れることもない各台計数機などは中古品を導入してコストダウンを図った。反面、椅子は業界初の低反発シートを採用。お年寄りが長時間座っても疲れない。

7月1日、「プローバ呉店」としてグランドオープンした。待ちに待った1年以上の再オープンにお客さんの方から「あんた元気にしとったん?」と従業員にハグする光景があちこちで見られた。
低射幸性時代に合わせて回収は通常の倍以上の長期に変更した。お年寄り相手に無理な営業はご法度だ。同社では損益分岐点を押し上げる機械代については、2013年から機械代は粗利の20%までと決めている。
パチンコ業界初の高齢者をターゲットにしたプローバ呉店は、高齢化が進む地方での一つの形ともいえる。パチンコは短期で回収できて大儲けできる商売という時代はとっくの昔に終わっている。オーナーは大儲けした時代が忘れられないが、オーナーの考え方を改めることが低射幸性時代のホール経営の第一歩と言える。

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どうしてそんな集客の見込める店舗に0.25円パチンコを新設しなければならないの?
65歳以上の高齢者って今の日本の最高の金持ち世代だと思うけど、
充分に4円で打てる財力のある高齢者まで『パチンコで勝つ事を諦めた人達』を低貸しコーナーに流していたら、
日本のパチンコホール業界全体で莫大な損失になっちゃうと思わないのかな?
ピンバック: イケロン
むしろ、残りの人生を考えて、資産を多く残すことに主眼を置く人も少なくありません。
飛行機のファーストクラスとエコノミークラス、新幹線と青春18きっぷ、高級車と軽自動車、高級ホテルのスイートルームとビジネスホテル、いずれも後者の方がシニア層に人気です。
彼らや彼女らが現役層より多く使えるのは、金銭よりも時間なのでしょう。
そういう意味で、低レートを提示するのはマーケティングとして正しいと言えます。
ピンバック: 通りがかり
女性の方が平均寿命がはるかに長いですし、高年齢女性層にターゲットをあてる戦略は理にかなっています。
若者はターゲットでないとおっしゃってますが、初めての客には入りやすいお店のはずですよ。高年齢女性中心というだけで雰囲気は明らかに穏やかになるはずですから。
ピンバック: 元ベビーユーザー
その分4円が回収になっていそう。
地元密着型の店舗は地元のニーズに合わせないといけない部分があるからこれはこれで成功するのではないでしょうか。
ピンバック: 123
どっちつかずではないかと思われますが
低貸しに専心すべきではないかと
ピンバック: ●
は感心する。
経営陣の理解が得られないと現場サイドの努力だけでは、な
かなか実現は難しい。
経営陣の英断だと思うし、他店の経営者も参考にすべきだろ
う。
しかし、この方法は薄利多売で高稼働率維持が必須となり、
相当なコスト削減と集客努力を必要とする。
少しの顧客減少でも経営不振(⇒閉店)となるリスクと表裏
一体である分、迅速且つ正確な経営分析・判断が求められ
るので店長を含め経営陣は漫然としては居られないだろう。
マーケティングはどうだろうか。
老婦人をターゲットにすれば確かに5~10年は安泰かもしれ
ない。
だが、スロットも無く養老院と化したホールに若者を含む将
来世代の来店は期待出来なくしてしまっていないだろうか。
10年先を見越した継続的経営の視点から見れば疑問符だ。
せめてジャグラーの様な「エイジフリー」機種は設置すべき
であろう。
それとも、若者や新規客の獲得は他店に任せ、年を取ったら
「当店にぞうぞ!」という「カッコウ(托卵)戦略」なのだ
ろうか。
数年間の利益追及では無く、そこまで考えてという事であれ
ば、なかなかしたたかである(笑)
しかし、現役世代が将来的に年金を貰う頃、、派遣・非正規
組の比率が高く低年金受給者が増え、正社員でも今の様な年
金額は貰えないので、遊興費が生活費に回る可能性が高
い。。。
ピンバック: 遊漁
全館禁煙ですか。
>回収は通常の倍以上の長期に変更した。
羽根ものやセブン機が出る以前のパチンコ店(当然スロット
も存在しない)頃の新装開店は年に数回程度で、その代わ
りガバ出しして(と言っても多くて2000個程度の打ち止め、
2.4円交換)ゆっくりゆっくり回収といった感じでしたけど、
当時と同じ動きは無理にしても今回の記事の流れでは限り
なく穏やかに進めていこう、という信念が感じられますね。
ここ数年の規制の強化は何と言っても射幸性の抑制でしょ
うから、今回の前後編の内容自体が自然にそれをクリアして
いる形になっているのもなるほどと思えます。
>待ちに待った1年以上の再オープンにお客さんの方から「あんた
>元気にしとったん?」と従業員にハグする光景があちこちで見られた。
開店を心待ちにしていた常連客が相当数存在する、というの
もありがたい事ですね。
労力を掛けずに行ける所に期待感のある(華美でない)遊び場
がある、というのは結構な事だと思います。
パチンコ店を検索できるサイトで観るとここの商店街の周辺に
は結構な数のパチンコ店があるんですね。希望的な推測です
けど、こうした緩やかな営業方針の実践が成功して逆に商店街
の賑わいの一助になれば更に結構な事でしょうし、生活に支障
が出ない範囲での出費に収まりさえすれば、休日に気軽に遊び
に行けてツキ次第で至福の時間も有り得る「パチンコ」はやはり
魅力的な遊び(にしてギャンブル)と感じます。
この「挑戦」は是非成功してほしいですね。そろそろパチンコ歴
40年になるジジイですが、時代々々に合せて姿を変えてきた
パチンコの柔軟性には今でも感嘆しきりです。頑張ってください。
ピンバック: tameiki
ピンバック: 獣
地域や客層に合わせることは、正しい経営と言える。
全国のパチ屋で同じことができるわけではないし。以前からパチ屋は
全部同じラインナップばかりになり、個性も何もない。
他のパチンコ店との差別化はいいことだと思います。
まあ、パチで一儲けしたい人にとっては、こういうスタイルが主流に
なられては困るでしょうけど。
ピンバック: 一般ゆーざー
ピンバック: 7743
エンタープライズでは今月の稼動率一番低くて14~18%程度でお盆でも22%程度でした。コツコツと客数を上げていけば強い店になると思いますので諦めずに頑張ってください。
ピンバック: 無双一閃@オールリプレイ
ピンバック: ザルバ