でも、これは本質的な解決策ではないということは、すでに何度も日報で指摘してきたことでもあり、読者にとっても耳にタコができるほど聞き飽きた話であろう。
射幸性の強化によって一時的に売上や集客が伸びたとしても、それは既存のギャンブラー層の引き留めに過ぎず、新規客の獲得にはつながらない。
このことをメーカーが理解していないはずはない。メーカーもまた、30年後の業界をどう生き残らせ、そのために何が必要かという問いに、日々頭を悩ませているはずだ。
これまで業界が警察行政に求めてきたのは、主として出玉規制の緩和、つまり射幸性の上限を引き上げる方向での要望だった。しかし、いま求められるのはその方向性の転換だ。
ズバリ、ゲーム性の発展を可能にするための規制緩和、より創造的で建設的な自由度の高さが必要な段階に入ったと言える。
これを具現化したものが「対戦型パチンコ」の実現だ。これは、従来のような一方通行の遊技とは異なり、通信機能を用いて他の客とリアルタイムで対戦する形式を指す。
ゲーム業界を見れば、対戦要素はもはや主流である。eスポーツに代表されるように、勝敗やスコアを競い合う要素こそが、若年層を中心とする新しいプレイヤー層を引き込む要素となっている。パチンコもその潮流を無視するわけにはいかない。
ここで重要なのは、対戦型パチンコが単なる「大量出玉をかけた戦い」ではないという点である。あくまで本来の「遊技」としての面白さ、スキルや戦略によって勝敗が左右される、真の意味でのゲーム性を追求することが鍵となる。
つまり、パチンコをギャンブルとしてではなく、エンターテインメントとして再構築するための試みなのである。
振り返れば、三共が「フィーバー機」を誕生させてからすでに45年が経過した。この間、目立った技術革新があったかというと、答えは否である。液晶のサイズと画質が上がった、筐体が派手になった――それらは確かに進化ではあるが、真の意味での革新とは言い難い。
では、これだけ長きに亘って停滞が起きたのかといえば、ひとえに業界全体が「儲かりすぎた」からだ。危機感が希薄だった。成功体験から抜け出せず、守りに入ってしまったツケが、いま回ってきている。
かつて自動車業界は、オイルショックという外圧を契機に燃費性能を飛躍的に向上させた。変化を迫られた結果、技術革新を生み出した。パチンコ業界もまた、今やっとその「オイルショック」に直面している。遊技人口の激減という現実が、ようやく業界の尻に火をつけた格好である。
対戦型パチンコが実現すれば、ゲームメーカーとの連携による新しい形の遊技機開発も期待される。例えば、得点制やチーム戦、協力プレイなど、従来のパチンコにはなかった色々な要素が加わることで、まったく新しい客層の取り込みが可能になってくる。
未来のパチンコとは何か。それは単なる出玉競争から脱却し、遊技そのものの楽しさ、奥深さを追求する姿勢に他ならない。メーカー、ホール、そして行政が一体となり、新しいビジョンを描くべき時が来ているのである。今こそ、惰性の45年に終止符を打つべき時である。

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で、素人狩るプロが出てきてハイエナと同等の嫌われ者になるでしょう
ピンバック: ナナシーの打ち手
>対戦型パチンコが実現すれば、ゲームメーカーとの連携による新しい形の遊技機開発も期待される。
原因が「業界全体の儲かりすぎた」なのに、対策は「対戦型パチンコ」?
何故、原因が明確なのに、原因の対策をしないの?
ピンバック: トクメイ
パチンコそのものが他責思考を是とするからだ。
コメントを見てもそれは明らかだと思うが?
ピンバック: アホくさ