「データが欲しい…!」と叫ぶ店長。無料Wi-Fiを導入したことで稼働率が上がったかどうかの具体的なデータを探しに奔走したが、手に入れたのは空っぽの報告書ばかり。関係各所に問い合わせても、「そんなデータ、ないです」という冷たい返答が返ってくるばかり。もしかして、Wi-Fi導入の効果なんて誰もわかってないんじゃないか?と疑念が浮かび始める。
そう考えると、ホールが絶好調だったあの時代なら、こんな悩み事はなかった。Wi-Fi設備くらい、店長がちょっと眉毛を上げればすぐに稟議は通り、「どうぞどうぞ、ご自由に設置してください!」と会社もニコニコだっただろう。しかし、今やその時代は過去の話。会社からは「コスト削減だ、利益率を上げろ!」と口うるさく言われるばかり。Wi-Fi設置なんて、「ホール運営の必須項目」とはほど遠い?
500台クラスのホールにおけるWi-Fi導入費用は、初期工事費だけで30万円から100万円。アクセスポイントの数で金額は上下する。さらに月々の使用料は5万円から20万円、加えて保守・管理費用として毎月1万円から5万円がかかる。つまり、月々のコストは最低でも5万円、高ければ25万円にもなる。
「これで稼働が上がるなら、まぁ…コストは吸収できるだろうけど…」と、店長は独り言をつぶやく。
しかし、このWi-Fi導入、実際に集客にどの程度効果があるのか? そこが一番の悩みどころだ。確かに、スマホを手放さない若者たちにとって、Wi-Fiがあるかないかは大きなポイントだ。パチンコの合間に動画を見たり、SNSで「今日も勝った!」と自慢するには、インターネット接続が欠かせない。Wi-Fiが使えると知れば、他のホールと差別化できるし、若年層が流れ込むかもしれない。
とはいえ、そんなに簡単な話でもない。ある飲食店では、無料Wi-Fiを導入した結果、食事が終わった客が店を出ずにスマホをいじり続け、回転率が激減。結局Wi-Fiを撤去する羽目になったという話もある。しかし、パチンコホールでは滞在時間が長くなることがむしろ歓迎される。Wi-Fiを導入して滞在時間が増えれば、自然と売り上げも増える可能性がある。
ここで店長の悩みはさらに深まる。「Wi-Fiがあると、若者が来るかもしれない。でも、Wi-Fiが遅くてイライラさせたらどうする?」
無料Wi-Fiは万能ではない。同時に多くの人が接続するため、回線の帯域が限られる。500台規模のホールともなれば、数百人が一斉にスマホをWi-Fiに接続しようとする。するとどうなるか?帯域がパンクし、通信速度が激遅になるのだ。「全然繋がらない…!」と、イラついた若者たちはWi-Fiを切り、自分の4Gや5G回線に戻ってしまう。せっかくの「サービス」が、サービスにならない瞬間だ。
「これはよくある話だ…」店長はため息をつく。もしWi-Fiが遅くて使えないなら、結局導入しても無駄な投資になる。高いお金をかけて設置したWi-Fiが、使えないと悪評を広めるリスクすらあるのだ。
そして、再び店長は悩む。「じゃあ、Wi-Fiを導入するべきかどうか?」
最後の結論。導入すべきかどうかは、ホールの規模やターゲット層、予算とのバランス次第だ。若年層を狙った戦略を立てるなら、Wi-Fiは一つの魅力的な要素になる。しかし、それだけに頼るのは危険だ。最終的には、Wi-Fiを使ってどれだけ顧客満足度を高め、長期的なリピートにつなげるかが鍵になる。Wi-Fiが顧客体験を向上させ、売り上げに結びつく見込みがあるなら、慎重に検討して導入する価値はある。
でも、くれぐれも「ただWi-Fiを入れたから集客できる」とは思わない方がいい。
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