環境整備大臣に任命された責任者が臨店する日は恐怖の1日だった。店舗周辺を細かく点検し、わずかな乱れでもあれば強く叱責され、パワハラが常態化する原因となった。点検は項目ごとに配点が決まっており、一定以上の減点があれば店長は降格させられる。店長は点検の1週間前から、従業員に店内外の掃除の徹底を指示。部下はサービス残業で掃除し、前日は未明まで作業させた。
ホール企業でもこの環境整備の教えを導入していたケースがあった。で、環境整備に力を入れた結果業績は駄々下がりになった。
環境整備の基本理念は、朝、30分の掃除をすることで社員1人ひとりの業務の見える化・改善・習慣化まで整える仕組みだ。ただ掃除をするだけでなく、業務の見える化や改善、習慣化まで整える毎朝の環境整備の仕組みは、多くの企業を成功に導いているとされている。
整理・整頓・清潔を徹底することで無駄に気づき、仕事の効率化が図れ、ひいては業績アップにつながる。また、社員のコミュニケーションの向上やルールを守る習慣作りを通じて、企業文化が育まれる…はずだった。
これが行き過ぎるとビッグモーターのように間違った企業文化を作り上げてしまったわけだが、ホール企業も変な方向へ走って行った。
社員は事務所の整理整頓ばかりに腐心した。その方が評価の点数が上がるからだ。結果、ホール現場まで手が回らなくなり、本業の業績が下がった。これでは本末転倒だった。
こんな状態が2年続いた。オーナーは一線を退き、社長にすべて任せているので、口出しするのを我慢し続けた。
「パチンコはサービス産業でスタッフ自身を売り込むことを教育してきた。小さな感動の積み重ねがお客様の思い出を作る。環境整備ではロボットのような人間を作ることになった。言われたことだけをやればいいポジションに付ける。これで本来のわが社の革新性が失われて行った。環境整備を取り入れて一時的に業績が上がることもなかった。店長になりたがる社員まで減った。のびのび会社でなければ、イノベーションも起きない。自由に羽ばたける環境がないと成長はしない」と振り返る。
オーナーは環境整備を止めさせた。ビッグモーターの事件が発覚する前だった。以前のイズムを再導入し、店長になれば年収1000万円に戻すと、店長になりたがる社員も増え、業績もV字回復しているところだ。
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