それはパチンコ業界が3000万人のファンを抱えた時代と今の700万人を比較した場合、何が原因でここまで落ち込んだかという検証だ。
業界的には等価交換と遊技機代の高騰を挙げることが多いが、主因は「情報公開」だったと仮説を立てている。つまり、ユーザーに情報を与え過ぎてしまったがために、賢くなり過ぎたことが原因で業界の縮小を招いた、と。
業界にディスクロージャーという聞き慣れない言葉が流行り出したのが、平成に入ってからだ。本来の意味は財務内容や業務内容などの経営内容を開示するということ。情報を公開することは正義という風潮に倣い、パチンコ業界にも導入したのが始まりだ。
業界の情報公開は、ホールの経営内容ではなく、パチンコ台のデータ公開だった。当時は業界誌で、ディスクロージャー機器特集なども組まれたことがあった。コンピュータメーカーなどがこぞって参入した。
それまでの大当たり回数は、従業員が手作業で札をめくる、という非常に原始的な方法だった。そこで、ホールコンのデータの一部を開示する機器が発売された。1社が作れば同業他社はもちろん、押しボタンメーカーまでが追従し、公開情報内容はより深まっていった。
当時はホールも儲かっていたので、競うように導入して行った。
その結果、ボーダー理論が生まれる。大当たり確率と1000円スタートの組み合わせで、何回以上回れば、そのパチンコ台は勝てるかどうかが分かるようになる。
情報をあまり出していない時代が全盛期で、情報をガンガン出してから業界が衰退するとは本末転倒である。設備機器メーカーが自社の利益を追求した結果が招いた悲喜劇だ。
情報公開が業界衰退を招いた、という話を聞いた情報サービス企業が改めて検証することになった。選抜されたのは3名。いずれも50代。理由は社内でパチンコ経験者は20~30代では5%、40代で10%、50代では45%だった。40代と50代で極端な開きがあることが分かった。この世代間で、ある種のビッグバンが起こったことになる。その時代を知るのは50代の経験者しか適任者はいない、ということでもある。
で、話を戻す。
すべては客のため、客のためと推進してきたことが業界にとって良かったか、悪かったかは現状をみれば自ずと答えは出ている。
カジノのスロットマシンがデータを公開しているか、という話でもある。
賭博罪は偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為を指す。パチンコは遊技だから情報公開はむしろ出そうな台を推理することにより、偶然性が薄められるということがある、ということか。

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