ホールへ店舗責任者を訪ねて飛び込み営業マンがやってきた。業界の営業マンではなかった。
用件は在庫処分品の一掃セールだという。ホールの駐車場には、クロネコヤマト使っているような背の高いトラック一杯に商品を満載していた。在庫処分品は低価格帯の家電から衣類、日用雑貨まで多岐に亘っていた。
「在庫は倉庫代もバカにならないので、早く処分したいんです。トラック30台分在庫があります。トラック1台分で10万円。激安です、早い者勝ちです」と営業マンは一掃セールの事情を煽るように説明した。
トラックの中身は、スマホのサンプル写真を見せた。
「〇〇ホールも買ってくれました。同じ地区では競合他店には声を掛けません。この地区ではおたくが最初です」と畳みかけてきた。
トラック1台分で10万円は確かに安いと感じた。ホールの景品としても出せるような商品だったので、店長の気持ちは買う方に傾いた。
その心理を営業マンは見逃さなかった。
「手付金として半額の5万円でいいです。納品は後日ということで、都合のいい日を教えてください」とクロージングに入った。
営業マンのケータイ番号を聞いた。その場で電話を掛けると営業マンのケータイが鳴った。
納品日は5日後になった。
当日、夕方になっても営業マンは納品には来なかった。電話を入れた。呼び出しはするが営業マンは出てこなかった。
「やられた!」
店長はこの時初めて騙されたことに気づいた。
翌日も店長のケータイの他、ホールの事務所の電話、公衆電話からも営業マンのケータイに電話を入れたが、電話口に出ることはなかった。
結局約束の日から2週間が経ったところで、詐欺被害に遭った自分を責めた。
5万円は店長の自腹だった。会社に請求することもできない。
景品関係でこの手の話は結構ある。
別のホールでは偽ブランド商品を掴まされていた。客が景品で取った偽ブランドバッグを質屋に持ち込んで、偽物であることが発覚した。
ホールは客の苦情を聞き入れ、玉で返金した。
仕入れ業者には早速クレームの電話を入れた。相手の返事はこうだった。
「正規品の10分の1の値段で仕入れていて、それが本物と思っているのならバカでしょう」と相手にもされなかった。返す言葉もなかった。コピー商品でなければブランド品がそんな安いわけがない。
また、別のホールではたまごっちが大ブームになった時、どこも品薄で入手が困難な時に、200個のたまごっちを仕入れることができた。ただし、定価だ。利益はゼロ。換金差益でなんとか利益は出すことができた。
後日、警察がホールに来た。たまごっちは盗難品だったことが分かった。

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出た結果に対して論じる事は簡単。たらもればも必要無い。
この様なケースに実際遭遇した時、どう対処すべきかという未来予測を共有し、読者が切磋琢磨できる有意義な場になる事を願ってます。
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