大好評だったあの「元店長」から寄稿が届いた。
元店長シリーズの再開だ!
今回はコスト管理シリーズだ。何回続くかはまだ不明だが、しばらく続きそうだからお楽しみに。
以下本文
先日ある会合で、30分程度の講演を依頼された。
内容はパチンコ業界にないもので、視野を拡げてガツン!と来るもの、と頼まれた。
曖昧過ぎて難しい・・・と思いながら、結果質疑応答も含めて2時間。盛況で終わった。
自分でいうのも何なのだが、好評であったために寄稿させて頂く。皆様の参考になれば幸いである。
ある上場メーカーに在職していた経験をもとに、厳しいコスト管理について話した。
理由は機械台メーカーは別として、ホール関係者に足りない要素だからと感じたからである。
加えて、これから数十年先までを見据えると、ホール関係者に必要と感じたからである。
大手小売業やメーカーで当たり前のコスト管理が、丼勘定のホールが目立つ。
友人の中小企業診断士や税理士らも、パチンコ店関係はコスト管理が甘い、と口を揃える。
原因はこれまでの商慣習も影響しているのだろう。
また不振の大手チェーンも、その辺りの感覚が希薄に感じられる。
友人の税理士は「利益が上がっているホールだから、無駄遣いが多くても、そこまで気にしないオーナーが多い」と指摘する。
(ホールオーナーの一部には、節税=コストダウンと考える人もいる)
オーナーがそういう意識なら、部下のSVや店長も同じ色に染まる。
そりゃ、そうだろう、コスト管理は厳しい仕事だから。
メーカーでは当たり前の「生販バランス表」の話をしても、殆ど認識(知らない)していなかった聴講者。
話はそこからする他なかった。
つまり、生産(製造)と販売のバランスを、数値化して一目瞭然になったものが、生販バランス表である。
製造が多すぎてもいけないし、少なすぎてもいけない。
在庫が増えると、金利負担や倉庫コストもかかる。
逆に在庫が足りないと、商機を逃すばかりではなく、信用問題にも関わる。
メーカーは勿論、サービス業でもコスト管理は当たり前だ。
そのコスト管理先は多岐に及ぶ。
運営費で無駄な点を見つけ出して、それらを1円以下の単位で見直す。
大企業になれば、事業先が多くなり、チリも積もれば数千万円単位になるからである。
それらの話を、ホール関係者にお話をしたのだが、予想以上に反応があり嬉しかった。
その話をホール向けにアレンジした。
大手チェーン数社の教育資料を見たことがある。そこにも書かれていない内容の話も参考になった、と評判がよかった。
それは、従業員の「玉やコインに対しての愛情が足りない!」という話である。
ホールがパチンコ玉やスロットコインを,購入する際の価格(コスト)は、1個数円であるが、その認識を変えなければならないということである。
あるホールの閉店作業のゴミ捨てを見た際、ゴミと一緒にパチンコ玉数個がゴミ袋に入っていた。
それくらいなら、清掃の手間に関する効率(コスト)と比べたら、「大した損害ではない!」との意見も出た。
確かにそうであるが、責任者のコスト管理意識、認識がその程度なら、本当のコスト管理は、末端の従業員までは伝わらないと私は話をした。
つまり貸出料金4円、購入代金数円のパチンコ玉やコインだが、その1個が数百万数千万円を生み出す物だという認識を従業員に持たせることが、パチンコ業界におけるコスト管理の第一歩なのだ!と力説した。
店の稼動にもよるが、パチンコ玉1個の生涯打ち出し回数が例えば300万回としたら、
300万回×4円=1200万円になる。
店長がこのことを認識して従業員にも徹底すれば、パチンコ玉1個の有難さが身にしみるはずである。
そら、そうだろう。小さな、小さな直径11ミリの銀玉が1200万円を生み出すとは、想像もしていないだろうから。
このことを新人教育の時から叩き込むのが、パチンコ業界のコスト管理の第一歩である。
以下続く。
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