その後始めたのがフランチャイズの中華料理チェーンだった。長年ロイヤリティーを払ってフランチャイズ経営を続けていたが、料理のノウハウも修得したことから、チェーン店の看板を下ろしたのがコロナ前だった。
ロイヤリティーを払うのをケチった結果、コロナ禍に突入すると売り上げは激減した。弱り目に祟り目。追い打ちをかけるかのように小麦や食料油の値上げや、光熱費の高騰が経営を圧迫する。自分の手元に残るのは、月40万円ほど。年収に換算すると500万円ほど。これでは一国一城の主の魅力もなくなった。
製麺所に値下げ交渉に行ったら「なら、他で買ってくれ」と冷たくあしらわれた。1店舗の購買力など知れている。値段交渉するにはスーパーチェーンのようなバイイング・パワーが必要になる。
人件費も払えないほどの窮地に立っている。その噂を聞いて、関西のテレビ局が「苦労している飲食店」をテーマにした番組の取材対象となった。
テレビカメラも回し、取材も終わった。後日、ディレクターの下に放送を断る電話が入った。
理由を聞いて明らかになったのは、オーナーにガンが発見されたことだった。
「ラーメンは600円だったが、材料費の値上げで10%は上げたかったが、客離れが怖くて、それもできなかった」と話し始めた後、ホール経営時代の話になった。
「パチンコは玉貸しで、飲食店のように美味しいか、不味いかではなく、玉がでるかどうかの判断になる。出る、出ないは時の運。出なければ運が悪かったで、終わった。かなり曖昧な経営でもよかった。そんな状況で大型店が出店してきた。大手に対抗しないとお客さんは飛ぶが、大手には付いていけなかった。飲食店は美味しいかどうかで固定客が決まる。ホール経営をやっている時に中華屋をやって苦労していたら、ホール経営も変わっていた」と反省しきり。
ホールの売り上げ、粗利を飲食店と比べると桁が2つぐらい違う。売り上げの上がらない飲食店では身が入らないのはやむを得ない。ホールでも飲食店経営をしているケースは少なくないが、逆にそういうところが生き残っている。
「昔は1店舗でも十分に儲かった。1店舗クラスのオーナーたちとよくゴルフにも行ったが、1店舗の同業者は誰一人として残っていない。今、またホール経営をするとしたら、お客さんが美味しいと思うかどうかの判断を加えたい。そんなホールはないけど」と我が半生を振り返る。
現役ホール経営者はどう受け止める?
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