ここでランチを楽しむには寿司が1万6500円もかかるのだ。ターゲットにしていたインバウンド客は、そんな高額な食事には見向きもしないし、日本人観光客も「庶民には手が届かない場所」として敬遠している。
豊洲の「千客万来」も、当初は賑わいを見せたが、今では一部店舗で閑古鳥が鳴いている。7000円以上もする海鮮丼は「インバウンド丼」と揶揄された。SNSで「街中にもっと安くて美味しい店がある」との情報が広まると、外国人観光客も足を向けなくなった。まさに「価格設定のミス」であり、こうした戦略の失敗が日本人客をも遠ざける原因となっている。
麻布台ヒルズや千客万来の戦略ミスは、パチンコ業界にも通じるところがある。遊技人口が年々減少している原因の一つは、射幸性に頼り過ぎた戦略のミスとも言える。
一時的に売り上げを上げるために射幸心を煽りすぎた結果、客の懐はどんどん寂しくなり、最終的にはパチンコから離れていく。今、業界は1パチで何とか高齢者層をつなぎとめているが、その層も10年後にはいなくなっている。
また、パチンコ業界は、百貨店業界とも似ている。百貨店業界も統廃合を繰り返しながら生き残りを図り、都市圏ではインバウンド客が高級品を購入してくれるため業績を維持しているが、地方では商圏が縮小し、次々に廃業している。競合がいなくても、地方では生き残るのが難しいのだ。パチンコ業界も、人口が多い都市圏ではなんとか営業を続けているが、人口が少ない地方では百貨店と同様の運命を辿る可能性がある。
店舗数が減少しても大型化による設置台数の帳尻合わせが続いてきたが、その限界はすでに見えている。メーカーの販売台数も、今後増加する見込みはない。こうした状況を打開するためには、業界全体が一致団結し、遊技人口を増やす方向へと舵を切る必要がある。
これまで「高コスト体質からの脱却」がホール組合で叫ばれてきたが、掛け声だけで終わることが多かった。メーカーも利益確保のために値下げを渋り、ホールとメーカーの間には深い溝が生まれている。しかし、ここでこそ両者が手を取り合い、新たな戦略を打ち出すことが必要だ。
例えば、遊技にかかる費用を軽減するための施策や、パチンコをエンターテインメントとして再定義する試みが考えられるだろう。また、地域に根ざしたコミュニティイベントをホールで開催し、パチンコをただのギャンブルではなく、地域活性化の一環として位置づけることも有効だ。
業界が一つになり、カネがかからないパチンコの楽しさを再発見させるような取り組みを進めていけば、遊技人口は再び増加に転じる可能性はある。
大事なことは、遊技客に「安心して楽しめる場所」としての信頼を取り戻すことだ。4パチ、20スロでも手軽に楽しめる遊技性を提供することで、新たな顧客層を取り込み、業界全体の活性化を図ることだ。
結局のところ、笑顔で遊べる場所こそが、最も強力な集客のカギとなる。
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