人事課の採用担当が彼の履歴書を見て驚愕したのは言うまでもない。超難関大学を卒業してホールに就職するというのは、一般的なキャリアパスからは大きく外れているからだ。
このクラスの大学なら官僚の道に進むか、一流大企業に入社するとろだが、この異例の経歴こそが、彼の個性と能力だと読んだ。
採用担当は、彼が一体どんな変わり者なのか興味を持つと共に、いきなり社長面接を提案した。その結果、一次面接から社長が同席することになった。面接の場面で、彼の独特なキャラクターが如何なく発揮された。一種の“天然”だった。社長に対する口のきき方も独特で、相手が不快に思うようなことも平気で言ってしまうような“逸材”だった。
採用担当はすぐに彼は周りの空気が読めない大人の発達障害であることを悟った。しかし、それ以上に彼の能力に注目した。
発達障害のある人々の中には、天才と呼ばれる人が多くいる。エジソンやアインシュタイン、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズなど歴史に名を残す人たちも発達障害の傾向が指摘されている。
彼もまた、そのような人材になるのではないかと「大化け」を直感した。
晴れて採用された。
入社後も、彼は一言余計なことを言わずにはいられなかった。あるプロジェクト会議で、企画が煮詰まっている際に「みんなバカだからそんなことも思いつかない」と新入社員でありながら先輩や上司に対して平気で言ってしまうのだった。
しかし、その発言の裏には鋭い洞察力と革新的なアイデアが隠されていた。彼の発案した業務の効率化策が実行され、会社に大きな利益をもたらした。
彼は5年間ほど勤めた後、第三の人生へと旅立つことになる。
彼の成功は、障害のある人に対する理解を深めるきっかけとなった。発達障害のある人をゼネラリストとしてではなく、特定の得意分野で活躍できるスペシャリストとして育成することで、企業全体の生産性を向上させることができる。
このエピソードは、障害のある人たちが持つ潜在的な能力と、その能力を引き出すための適切な環境の重要性が分かる。
ホール企業に採用されるとまずは現場へ配属される。発達障害の彼の性格からするとコミュニケーション能力が問われる接客では、トラブルが生じることも想像に難くない。
彼が持つ鋭い洞察力は、顧客のニーズや行動を観察し、分析する能力につながったかも知れない。顧客の動向や嗜好を細かく読み取ることで、サービスの質を向上させるアイデアで、ホールの業績アップに貢献したかも知れない。
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