テントは5万円台からで高いものになると20万円を超える。テーブルと椅子で5万円台、調理用具もスプーンが1本3000円とかなり高い。キャンパーの声を反映した商品開発なので使いやすさ、品質の良さには定評がある。
ちなみに2022年にキャンプ用品市場に参入したワークマンは、品質と価格の安さで殴り込みをかけてきた。1人用のテントなら4900円。これに、キャンプ必需品のチェア1780円、シュラフ1500円、テーブル980円、ランタン780円を加えて1万円以下の9940円で揃えられる。初心者には非常にありがたい価格設定になっている。
なぜ、メーカー役員がスノーピークを選択したかというと、キャンプ場でスノーピークのロゴが入ったテントを張るだけでも一目置かれるからだ。優越感と自己顕示欲に浸りたい心理もあるようだ。
スノーピークの愛用者であるメーカー役員にとって衝撃的なニュースが飛び込んできた。
スノーピークの2023年度売上高は、約257億円と前年比で16.4%の落ち込みを見せた。営業利益は74.3%減の約9億円、最終利益に至っては99.9%以上も減少し、わずか100万円となった。
コロナ禍でキャンプがブームになり、生活が日常に戻るに連れ、ブームも落ち着きを見せて来ているとは言え、競合他社はスノーピークほどの激しい落ち込み方をしていない。スノーピークの1人負けだ。
この事態にパチンコ業界のメーカーを重ね合わせてみた。
スノーピークの商品はどれも高額だが、長く大切に使うので、一度買うと買い替え需要はほとんどない。高額なのでユーザーのすそ野も広くない。弱点はまだ買い替え需要があるアパレルの割合が3割と少ないことだった。
一方の遊技機メーカーが取り扱う商品も高額だが、それでも新台入れ替え、という買い替え需要があるからメーカーは持っているとも言える。
特にホールも新台がなければ商売ができないと頭に刷り込まれているので、「高い、高い」と文句を言いながらも買ってもらえるので、その点ではパチンコ業界は楽な商売だと感じている。
スノーピークのように利益が99%も下がることはないと胡坐をかいていたら、いつかしっぺ返しが来ると社員にも発破をかけている。
昔は営業の第一線で仕事していた役員は、過去をこう振り返る。
「新台の販売サイクルが半年に1回の頃は、機械の使い方をアドバイスして、うまく使ってもらって、次の新台を買ってもらうためのアドバイスだった。今は新台ありきの意識をホールさんが変えた時にメーカーがヤバくなる。ヒット機を長く使うようになると、メーカーにとってはヒット機を出すことは自分の首を絞めることになる」
ホールが1台の機械をそれこそみっちり6年間使うような営業発想になった時、メーカーが倒産ラッシュを迎えることになる。
幸い、大切に使う発想も人材もいないので、助かっているだけである。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。