そのメーカーの社長と出会ったのは、10年ほど前になる。スタート当初は自宅マンションが事務所の一室だった。メーカーでありながら、製造は外注に出していた。製品の企画を考えるのが社長の仕事で、社員といっても身内の少人数でずっとやってきた。
社長のこだわりをもった製品はやがて市場に受け入れられる。専門メーカーとして、握り具合やカーブにも徹底してユーザーの立場に立って製品を開発した。
マンションを出て、自宅兼事務所の立派なビルが建ったのは4年ほど前。事務所前には高級外車が並ぶ。成功した証だ。
もう一つのこだわりが、広告である。
「これを作るために1年働いている」
撮影現場に立ち会うようになって5年ほどになる。いつもモデルの美しさには目を見張らされる。オーディションにも立ち合わせて欲しい、とお願いしているがまだ一度も叶っていない。
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