パナソニックが1990年代後半に発売した32型ブラウン管テレビだ。同社初の「フラットテレビ」で、従来の湾曲したブラウン管と違い、ほぼ平らな画面が特徴だ。映像の歪みが少なく、当時は家電量販店でも注目の的だった。
もちろん、このテレビはアナログ放送専用。2003年に地上デジタル放送が始まり、2011年7月の完全移行でアナログ電波が止まると、そのままでは番組を映せなくなった。それでも女性は捨てられなかった。理由は、このテレビが亡きご主人と一緒に選び、ボーナスで買った思い出の品だからだ。いわば、ご主人の形見のようなものだった。
彼女は地デジ対応のDVDレコーダーを購入し、外部入力経由で今も視聴を続けている。最新の液晶テレビに比べれば重く、場所も取る。それでも、落ち着いた発色と重厚な存在感は替えがたい。「壊れるまでは使い続けたい」と思っている。
そんな彼女には、もう1台テレビがある。5年ほど前、「パチンコファン感謝デー」で引いたくじが1等賞で、42型液晶テレビを当てたのだ。
店内でも拍手が起こり、店員からも羨ましがられた。しかし、そのテレビはいまだに箱から出されず、押し入れの奥に眠っている。理由は単純。「ブラウン管がまだ壊れてないから」。形見を捨てるのも忍びない。
家電製品は普通10年も経てば寿命がくる。しかしこのフラットブラウン管は頑丈で、画面の色も変わらず、電源も一発で入る。女性は笑いながら「きっと主人があの世から直してくれてるんじゃないかしら」と話す。
この光景は、実はパチンコ業界にも通じる。ホールの設備や機種も、本来は新陳代謝があってしかるべきだが、経費削減から古い機械を長く置き続けるケースがある。
確かに入替しなければコストは抑えられるが、遊技客は常に新しい刺激を求める。入れ替えが滞れば、店の魅力はじわじわと薄れていく。
一方で、この女性のように「思い出」や「愛着」が理由で使い続けるケースは、パチンコでもある。例えば、常連客が打ち続けるお気に入りの台や、かつての大当たりの記憶が染みついた機種だ。しかし、業界としてはそこに甘えすぎると、市場全体が古びて見えてしまう。
押し入れに眠る新品の液晶テレビは、業界にとっての「最新設備」や「新機種」に重なる。導入はしても稼働させなければ意味がない。倉庫に眠らせるより、タイミングを見極めて活用することが重要だ。
壊れないブラウン管は美談だが、ホール運営で同じことをやれば衰退の一途だ。女性のリビングでは、思い出のテレビが今も主役だが、パチンコホールは“思い出”だけでは生き残れない。業界は時に愛着を断ち切り、新しい画面に切り替える決断を迫られている。
※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。
ピンバック: crazydoctor
ピンバック: 猫オヤジ
本当にずっと野放しだったら隣国のようにそもそも衰退せずにある瞬間に即消滅とかしそうなくらいの業界ですけどねココは
流石に古き良き想い出だけをピックアップしすぎですね
衰退を十八番の他責思想で転嫁しようとしてますが
結局は監督庁に温かい目で野放しされるような自浄作用ある営業が出来なかっただけでしょう?笑
自業自得ですよ客と一緒でね
で、本題
確かにたまに行くホールでほぼ毎回同じ老人が同じ台をずっと遊技してる、なんてこともありますよね
そういう台は店的にも撤去しにくいでしょう
でも記事の〆ようにそれだと店として進歩しませんよね
店舗単位だとしても改革していくにはそういう情はいらないのかもしれません
ピンバック: ベイさん