店名は「パーラー大学」。みんなは「パチンコ大学」と呼んでいた。店内に入るとお客さんがいっぱい! これまで遊んできたホールの中では1番の稼働率であろう。
ウロウロ見て回るとパチスロコーナーが9割稼働していて賑わっている。パチンコはどうだろうか。キングと麻雀物語がドル箱を積み上げ盛り上がっている。羽根物コーナーもあまり空き台がない。
さて、どれで勝負しようか。今こうして回想記を書いていて、「楽しむ」が「勝負」に変わった時だったのかもなぁと感じる。そして初めてお目にかかったのが、91年発売の「名人会」(三共)だった。
役物を見ると、お正月テレビで見た事のある傘をクルクル回す人がいる。そして何よりも驚いたのが羽根。見た感じ、どう開閉するのだろうと謎だった。さっさと両替を済ませて着席する。
面白そうと思うドキドキ感と、資金残り1万円のヒヤヒヤ感。普通は13歳で味わうことのない気分だろう。
打ち出してすぐに1チャッカーに入ると羽根が1回スライドして開閉した。
「すげー!真横に動いた!」
微笑みながら興奮したのを覚えている。興奮はいいが、打てども、打てども当たらない。あっという間に3000円溶かす。残り7000円。このまま打ってていいのだろうか?
でもゲームボーイの転売で楽して儲けたお金。いいよ。このまま使っちゃえ!なくなったら、なくなった時のことだ。またお金は作ればいい。自暴自棄になるどころか開き直った。
開き直りが肝心だったのか、二度目の両替からすぐに初当たりがやってきた。1チャッカーに入るとスライドした羽根に2個拾った。拾われた玉の1個が役内の端から暴れる様にV入賞した。
「よしっ!」
1ラウンド目が始まると傘が上昇してストッパーが出現。拾われた玉が傘の上でクルクル回りながら貯留されていく。
「なんて面白い造りなんだろう」
西陣の機種ばかり打ってきているが、三共の機種もなかなかじゃないか。9カウント目に貯留が解除されると、傘の上にあった玉が一斉に下段ステージに流れ落ちる。そしてV入賞して次のラウンドへ。
一斉に解除された玉は狭い役内いっぱい入り乱れるので、個人的主観だがとても安定して継続するように感じた。結局最終ラウンドまで危なげなく続いて完走した。
「よし。これならいけそうだ」
何となくそう思った私。しかし、ぱちんこ。そう甘くはなかった。持ち玉遊技続行も、徐々に玉は減っていく…。7&15の賞球だからこそ、鳴いて拾っての返しで遊ばせられてる事に気づいていなかった。
それでも勝てると信じて、勝利という小さな夢を追って台と闘う私。なんてロマンチックなんだろう。全然惜しい当りもなく出玉は消滅する。少しだけ上皿に玉を残し店外へ。
負けることに焦りを感じてタバコに火をつけると店員のおじさんが話し掛けてきた。
「お兄ちゃん何処から来た?」
素直に答えると意外と優しい言葉が返ってきた。
「ここの店はね、警察署前だから、よく警察が見回りに来るんだ。もし警察が来たらすぐに教えに行くから、こっち側の出口から逃げるんだぞ! ここ学生ばかり来るからみんなそうやって逃がしてるんだ!」
今まで何軒ものホールに遊びに行ったが、こんな会話をした店員さんは初めてだった。まさかこの会話から20数年の付き合いになるとは思ってもいなかった。
「分かった!」と言い、また店内に戻って打ち出し開始する。そしてまたすぐに当たり軽々と完走も、また出玉は消滅。再度投資するも、当たっては飲まれて当たっては飲まれて。
結局帰りのバス賃を残してぱちんこ打つお金が底をついてしまった。外で話し掛けてきた店員のおじさんに「またぱちんこ打ちに来るね!」と挨拶すると、おじさんは景品カウンター前にあった小さな冷蔵庫からヤクルト2本取り出し、私にくれた。
外に出て溜息をついたのを覚えている。羽根物で3万円以上溶かす中学1年生の冬。悔しくて涙が出た。
貰ったヤクルトを飲み、バス停まで歩く。どうしたらぱちんこで勝てるんだろう。そもそもぱちんこで勝っていられる人っているのだろうか? ぱちんこを打って初めての疑問が生まれた。そして波乱の冬休みが幕を開ける…。
つづく
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ローカルルールかもしれませんが、羽根モノは羽根に玉が引っかかった状態で店員さんを呼べばチャッカーに玉を入れた上でV入賞大当たりにしてくれたのと、一発台も命釘に引っかかった状態なら大当たりにしてくれました。ところが一店舗だけ厳しい店があり、そこはどんな状態でもダメでした。台移動不可、休憩なしなどかなり殺伐とした店だったのですが、不思議なことに地域最後まで生き残ったのもこの店でした。
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