遊技機開発とドローン開発は技術的な延長線上にあるとは言い難く、あまりにも畑違いに思えたからだ。
ところが、その後の取材で見えてきたのは、どうやら単なる与太話ではなさそうだということだった。
しかも、ドローンに関心を示しているメーカーは1社だけではない。
複数の遊技機メーカーが、水面下で可能性を探っているという。
ただし、その内容は「自社でドローンをゼロから開発する」というものではなかった。
むしろ現実的なのは、既存のドローンメーカーへ出資し、製造パートナーとして関与する形だ。
遊技機メーカーの強みは設計力だけではない。量産体制を持つ工場や品質管理能力、精密部品の組み立て技術など、製造業としてのノウハウを長年培ってきた。
その強みを活かし、ドローン製造の指定工場になることを狙っているのではないか、という見方が強まっている。
もちろん、日本の軍需産業の中核である 三菱重工業 や 川崎重工業 と正面から競争する話ではない。
両社は自衛隊向けの迎撃システムや無人機、防衛インフラを支える高度な技術開発を進めており、遊技機メーカーが入り込む余地はほとんどない。
となれば、狙う先はより専門性の高いドローンメーカーとの提携になる。
興味深いのは、ドローンが軍事用途だけの産業ではないことだ。
ロシア・ウクライナ戦争以降、ドローンは「戦場の主役」として注目されるようになったが、一方で民間用途も急速に広がっている。
その代表例がドローンショーだ。
夜空に数百機、数千機のドローンが飛び立ち、光の演出で巨大な絵や文字を描く光景は、今や大型イベントの目玉になっている。
大阪・関西万博でもドローンショーは高い人気を集めた。
従来の花火大会は一度打ち上げれば終わりだ。
しかも警備費や人件費、火薬代の高騰で中止や縮小に追い込まれるケースも増えている。
その点、ドローンは繰り返し使用できる。
初期投資こそ必要だが、長期的にはコストパフォーマンスに優れている。
演出内容も自由自在で、スポンサー名やキャラクター、企業ロゴまで空中に描ける。
エンターテインメントとの親和性は極めて高い。
考えてみれば、遊技機メーカーも長年「人を楽しませる演出」を追求してきた業界だ。
光、音、映像、演出。
そのノウハウはドローンショーの企画や演出にも応用できる可能性がある。
つまり、遊技機メーカーが狙っているのは単なる軍需ビジネスではない。
製造業としてドローン市場に関わりながら、イベントやエンターテインメント分野にも進出するという、より広い構想なのかもしれない。
パチンコ市場の縮小が続く中、新たな収益の柱を探すことはメーカーにとって避けて通れない課題だ。
かつて液晶技術や制御技術を武器に成長した遊技機メーカーが、次は空を舞台にしたビジネスへ挑戦する。
そんな時代が、本当にやって来るのかも知れない。
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