この発想をパチンコ業界に応用しようと考えたのが業界のメーカーだ。着目したのは補給装置の自動洗浄だ。パチンコ玉にはポリ研磨や布研磨といった方式があり、いずれも長期間使用すると玉の汚れが研磨材に付着し、交換が不可欠になる。また、樋部分には埃が溜まり、メンテナンスの手間が常に付きまとう。こうした作業を自動化できれば、ホール運営の効率化に直結する。
メーカーはオートメーション技術を持つ企業に開発を依頼した。依頼内容は補給装置の洗浄にとどまらず、景品周りの自動化にも及んだ。具体的には、景品自動払い出し機と景品買取機だった。
景品自動払い出し機では、人の手を介さず金庫から特殊景品を払い出し機へ自動搬送する仕組みを依頼していた。これが実現すれば、カウンター業務の負担軽減やセキュリティ向上が期待できるものだった。
しかし、開発は途中で頓挫してしまう。背景には、業界全体の「スマート機」への移行がある。今後5年から10年のうちに補給装置そのものが不要になる可能性が高い。補給洗浄の完全自動化システムに多額の開発費を投じても、業界の構造変化によって投資が無駄になりかねない。そうした判断から、計画は凍結されたと考えられる。
とはいえ、自動化の必要性が消えたわけではない。むしろ深刻な人手不足を背景に、その重要性は高まっている。
例えば、500台規模のホールを最小限の1人でオペレーションできる仕組みを整えることは、経営効率の観点からも避けて通れない課題だ。
補給装置の自動洗浄構想は一時的に頓挫したが、それは将来を見据えた「過渡期の実験」だったともいえる。ホールオペレーションの完全自動化に至るまでには、まだ時間がかかるだろう。しかし、労働力不足とスマート機の普及が進む中で、自動化の流れは確実に強まっていく。エアコンの自動洗浄が家電の常識になったように、パチンコホールでも「人手を介さない運営」が当たり前となる日が、そう遠くない未来に訪れるのかもしれない。
※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。