例えば大阪メトロでは、一部の改札で顔認証ゲートの実証運用が進められている。ICカードやスマホを取り出すことなく、改札を通過するだけで決済が完了する。「顔パス」が現実のものとなりつつある。
実は、この顔認証技術を早くから実用化してきた業界の一つがパチンコ業界である。
その技術力を改めて印象付けたのが、ダイコク電機が公表した「遊技人口1600万人」という推計だった。
レジャー白書が発表した660万人とは大きく異なる数字であり、業界内でも驚きをもって受け止められた。
この推計の特徴は、同社が保有する会員データだけでなく、「顔認証ファンSIS」による実際の来店データを活用している点にある。
入店時や遊技中にAIカメラが顔の特徴を読み取り、目や鼻の位置などを暗号化したIDへ変換。同じ人物が何度来店したかを、個人情報を保持することなく識別できる仕組みだ。
従来のホール分析は、会員カードを持つ常連客のデータが中心だった。しかし、年に数回しか来店しないライトユーザーは会員カードを作らないケースが多く、データ上では存在しないことになっていた。
顔認証システムなら、カードを持たない一見客でも「一人の来店客」として把握できる。その結果、これまで見えなかった膨大なライトユーザーの存在が浮かび上がり、遊技人口1600万人という新たな推計につながったのである。
この事例を見ると、パチンコ業界における顔認証技術の活用レベルの高さがよく分かる。
一方、日遊協はキャッシュレス化を推進している。その目的の一つが依存症対策である。現金では歯止めが利かなくても、キャッシュレスなら利用金額に上限を設定できる。使い過ぎを防ぐ有効な仕組みとして期待されている。
そして、その先にある究極のキャッシュレスが顔認証だとすれば、依存症対策でも顔認証は最も強力なツールになり得る。
現在でもホール内には防犯カメラが数多く設置されている。自己申告・家族申告プログラムと顔認証を連動させれば、対象者が来店した時点で検知し、遊技機で遊技できないようにすることは技術的には十分可能だ。
顔認証は単なる本人確認のための技術ではない。経営分析にも、安全管理にも、そして依存症対策にも応用できる。
パチンコ業界は、こうした世界でも先進的な技術をすでに持っている。その技術を社会的課題の解決へどう活用していくか。今後は、その視点が一層重要になってくる。
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